「無いものは自ら創る」:女性にとって理想的な社会を形作ることを目指す濱田真里さん【後編】

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海外の地で働く日本人女性を取材し続けて4年:「なでしこVoice」を運営する濱田真里さん【前編】」の後編をお届けします。

Mari-Hamada

そうですね。少なくとも東南アジアには、働くママや、家庭と仕事を両立する女性を許容する社会があると思います。日本のように核家族ではなくて、まだまだ大家族なので「みんなで面倒を見る」という感覚があるのかも。それに人件費が安いので、例えば子守りの人を雇うこともできます。そこに魅力を感じて、現地に働きに行く女性も多いですね。

世界を回るワークキャンプに参加して気づいた自分のおこがましさ

三橋:具体的に、世界一周ではどんな国を回って、何をしたのか聞きたいな。

濱田:NICEという団体が運営しているワークキャンプというプログラムに参加しました。200ヶ国以上を対象に、教育や地域活性といったさまざまなテーマに沿って現地で仕事をするプログラムで。分厚い電話帳のような冊子があるので、その中のさまざまなプロジェクトから、私は6つ選んで参加しました。

三橋:へー。そんなプログラムがあるんだね。世界中の人がプログラムに参加するのかな?

濱田:そうです。世界各国から同じ興味や関心を持った人が集まってきます。私が選んだ6ヶ国に行くために一番安いチケットが世界一周チケットで、約7ヶ月をかけてアジア、中東、ヨーロッパ、アフリカなど、全部で22ヶ国を旅しました。

三橋:プロジェクトは具体的にどんな内容なの?国や場所によって違うのよね?

濱田:例えば、トルコではリーダーキャンプに参加したり、ドイツやベルギーではイベント運営のプロジェクトだったので、いろいろなイベントで日本文化を紹介しました。アフリカのトーゴは肉体労働で水道工事をするために、石と砂を人力で運ぶ仕事を1ヶ月間やりました。

三橋:ワークショップみたいなものから、体力勝負の仕事まで幅広いのね。1年間各国のいろんなプロジェクトに参加して、自分がやりたい国際協力の仕事が見えてきたのかな?

濱田:ワークキャンプを通して、改めて自分の社会貢献や国際協力への興味を再確認しました。でも同時に、私が現地にいなくても回ることがたくさんあるんだなということ。最初は、何とか助けてあげなきゃっていう、ある意味、上からの視点が強かったと思います。でも、現地に行ってみることで、一時的に手を差し伸べるよりも、現地の人がやれる方法で持続していくプロセスが大事なんだと実感しました。今思えば、すごくおこがましかったと思います。

三橋:必ずしも現地にいる必要はなくて、例えば、課題を解決するための仕組みを作るところに協力するほうが価値が高いということかな。

濱田:正直、現地では自分は役立たずだなって思うこともありました。体力も現地の人のほうがあるし。直接現地で何かをしなくても、日本人として今の環境に生まれているからこそできることをやろうと考えるようになりましたね。現地への変なこだわりがなくなったと思います。

女性ならではの人生の転機やライフイベントを許容する社会を求めて

三橋:なるほど。それが濱田さんの気づきだったけれど、なでしこVoiceでは現地で何かをしていらっしゃる女性を取材してるのよね。海外という選択肢を考える女性が増えているような気がするけれど、なんでだと思う?

濱田:女性には、結婚や出産といったタイミングがあって、仕事も人生も一直線にはいかない。そもそも海外に関わる働き方をしたいと願う女性もあると思いますが、女性ならではのキャリアを、海外のほうが柔軟に歩めるのかなって思います。

三橋:これまで大勢の海外で働く女性にインタビューをしてきて、特に印象に残っている女性っているかな?

濱田:たくさんいらっしゃいますが、ベトナムでピザ屋さんを運営する益子早苗さんというとても素敵な女性がいます。もともと日本のIT企業で働いていたんですが、旦那さんと一緒に仕事を辞めて世界一周の旅に出て。その後に、Four Piecesっていうピザ屋さんをベトナムで開いたんです。私がこれまでに食べたピザの中でトップスリーに入るくらい美味しいんですよ。仕事では新しいことにチャレンジして、女性としても一児のお母さんです。

三橋:敢えてベトナムでピザ屋さん、面白い。ベトナムって子育てしやすいのかしら?どんな環境かまったく想像がつかないのだけれど。

濱田:益子さんの生き方を見て、我慢しないで色んなことをわがままにできちゃうんだなって思ったんです。女性はこうあるべきっていう固定概念がなくて。それこそ、お子さんを仕事場に連れて行くと職場のみんながあやしてくれたり、子育ても仕事も何かを本当にやりたければ、その環境を作ることができるように思います。

三橋:それを受け入れる社会やカルチャーがあるってことだよね。

濱田:そうですね。少なくとも東南アジアには、働くママや、家庭と仕事を両立する女性を許容する社会があると思います。日本のように核家族ではなくて、まだまだ大家族なので「みんなで面倒を見る」という感覚があるのかも。それに人件費が安いので、例えば子守りの人を雇うこともできます。そこに魅力を感じて、現地に働きに行く女性も多いですね。

次の世代に担う人間として、自分の欲しいものを作って行く

三橋:海外に出て、自ら何かを立ち上げているとかってお話だけ聞くと、きっとその人だからできるんじゃないかって思っちゃう気がするけれど、どうかな?

濱田:確かに、まったく同じことをしろって言われてもできないかもしれません。でも、なでしこVoiceに登場してくださるような女性がいることで、こんなに頑張っている女性がいるんだって、決して真似をするのではなく一歩前に踏み出せないような人たちの背中を押せるのかなって思っています。海外で働くという選択肢を提案したいけれど、それが絶対だとは思っていません。自分の意志で選択をして、キャリアを切り開いて行くことをしてほしいですね。

三橋:女性はこうあるべき、みたいな見えないプレッシャーや考え方にとらわれないでほしいってことかな。これから、濱田さんは何を目指しますか?

濱田:女性が自分の人生をより主体的に生きていくことを応援したいです。その手段が、私にとっては海外で働くということ。これからも、なでしこVoiceのイベントやセミナー開催、海外就職のお手伝いを通じて女性に寄り添いながら、その時その時に必要だと思うコンテンツを作っていきたいですね。

三橋:そういえば、この前ボストンに行っていたけれど、あれは何だったの?

濱田:いつも、何かの節目にリセットの意味も込めて海外に出るんです。自分を見つめ返す旅というか。旅の目的は、アメリカの大学院を見たかったから。一度海外の大学院で学んでみたくて。たくさんの海外で働く女性への取材を通して、女性にとってより働きやすい環境を作るようなことに関心を持つようになりました。次の時代を担う世代として、自分の欲しいものを作りたいですね。

三橋:“Be the Change You Want To See”ってやつだね。今日はどうもありがとうございました。これからも応援しています。