「日本のスタートアップ・エコシステムに何が出来るのか」ーー Microsoft Venturesが模索する国内展開を語る #MSVJP

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5月28日から2日間に渡り開催される日本マイクロソフト主催のカンファレンス、de:codeと同時開催となったMicrosoft Ventures Meetupで、Microsoft Ventuers(MSV)プリンシパルのAya Zook氏とTokyo(MSVT)代表の砂金信一郎氏が壇上に上がり、世界展開するMSVの活動を披露した。

冒頭に砂金氏は「日本のスタートアップ・エコシステムに対して何が出来るのか」と投げかけ、日本マイクロソフトが国内スタートアップシーンとどう向き合うべきか模索する姿勢を示した。

MSVが世界で展開するアクセラレーションプログラムと理由

日本ではまだ開始されていないMSVのアクセラレーションプログラムは現在世界で6カ所で運営されており、3カ月から4カ月ほどで会社を一緒に作り、投資家向けのDemoDayに臨むことになる。このあたりのプログラムは一般的なものと同じだ。

特徴的なのは一つの方針として現地のエコシステムに馴染んだプログラムにするというものがあり、例えばベルリンであれば金融やファッションに強いという地域性を活かした支援体制を作っているという。

ではマイクロソフトはなぜスタートアップを支援するのだろうか。

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まず、Aya氏は起業するのが簡単になり、ボトムアップでイノベーションが起こった結果、国境なきイノベーションが可能になったと状況を語る。一方で大きな企業はイノベーションを起こさないといけない。そこで投資などの関係性を求めるようになった。

「例えば、今年の3ヶ月でUSは$10Bほど投資が実施されてるが、その30%は企業ファンド(Corporate Venture Capital, CVC)になるほど活発になっている」(Aya氏)。

「スタートアップと大企業」という中間点にポジショニングを持つマイクロソフトが、まだか弱いスタートアップを支援し、大企業へつなぐというのは理にかなっている。これが彼らの支援理由のひとつになっている。

スタートアップの支援体制

では彼らはどのような体制で支援するのだろうか。

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アーリーなステージにはBizSparkによる開発環境などの提供支援や、世界で100カ所設置されているマイクロソフトのイノベーションセンターが解放されている。ここには育成プログラムが用意されており、マイクロソフト社員のアドバイスを受けられる。日本にも4カ所設置されている。

アクセラレーションプログラムは前述の通り、バンガロールなど6カ所で展開されている。

それがない場所では200社近くのパートナーと提携して何らかの支援体制を作っている。後でAya氏に聞いたが、日本ではその役割をドコモ・ベンチャーズが請け負っているのだそうだ。

また成長ステージへの支援はファンドによる資金需要への対応の他、 マイクロソフトが所有する企業ネットワークの活用をした 「カスタマーアクセスプログラム」が興味深かった。

「Fortune500などにリストされている企業とのマッチメイク」(Aya氏)は既に成長段階にある企業にとって効率のよい企業アプローチの手段になるだろう。

残念なことに日本での展開はまだ明確なものがあるわけではない。ただ、イスラエルやドイツといった既にアクセラレーションを開始している地域へのチャレンジは受け付けてくれるそうなので、腕に自信のあるスタートアップはチャレンジしてみても面白いと思う。

支援内容は具体的にこのようなものがリストされている。

  • BizSparkに代表されるクラウド環境やVisual Sudioのような開発環境の提供
  • ウィンドウズプラットフォームへのアプリ開発者へのマネタイズ支援
  • オープンソース、LinuxやHadoopなどのオープン環境に対応したリソース、チーム支援

結果として2年間で174社を支援し、DemoDayに参加した80%の企業は追加投資を決めており、シリーズAラウンドに進んでいるのは30%なのだそうだ。

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また、174社の内、既に11社のスタートアップがイグジットを果たしている。買収企業は米マイクロソフト、米ヤフー、米グーグルなどがある。

マイクロソフトが興味を持つスタートアップとは

まず、Aya氏は「テクノロジーフォーカスは確実に必要。ビジネスカテゴリよりはチームとしてビジネスに強い人物とテクノロジーに強い人物がファウンダーにいると対象になってくる」と最低限のレベルを伝えた上で、ローカルからグローバルにビジネスを考えられるチームが好ましいと話していた。

startups

そんなお眼鏡にかなったチームの例としてイスラエルのスタートアップが挙げられていたが、実は彼らはiOSでアプリを作っている。バックエンドがAzureなのだそうだが、特定プラットフォームの制限はない。このあたりはビジネス・ファーストに考えると当然のことかもしれない。

また、フォーカス分野はホームオートメーション、スマートクラウド(ビッグデータ、機械学習)、EdTech、モバイル。特にEdTechは日本でもEdTechキャンプを開催するなど力が入っており、教育現場に溢れるスマートデバイスに比較して、圧倒的にコンテンツが足りない、そういう市場課題を見据えてのフォーカスだと説明していた。

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日本でスタートアップシーンが盛り上がっていることがわからなかったと語るAya氏。私もセッション終了後に話を聞いたが、北米(シリコンバレー中心にスタートアップのメッカみたいな場所)の方々は日本市場を特別に注目していることはない。

各所から聞く話でもあるのだが、興味がないのではなく情報が足りないという場合が多い。これはメディアとして私たちの責任も大きい。

ただ、Aya氏は先週に札幌で開催されていた招待制のイベントでも国内スタートアップと交流を深めた(Aya氏の母親は日本人で日本語は大変流暢!)ということで、大いに日本市場、スタートアップへの興味を持ったと話してくれた。

国内では活動がこれからのMSVTだが、ぜひそのグローバルネットワークの力で日本発ー世界の事例をどんどん生み出す支援をして欲しい。