アジア発メッセージ・アプリ対決談義——LINE vs. WeChat(微信)vs. カカオトーク【前編】

by ゲストライター ゲストライター on 2014.5.24

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog and the story’s author Mark Bivens.


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Mark Bivens はシリコンバレー生まれの起業家で、現在はパリでベンチャーキャピタリストをしている (@markbivens)。Jerry Yang は台湾生まれのチップ設計技師で、現在はパリの HEC経営大学院で MBA を学んでいる。 (@knopfler1013)

Mark は LINE の熱狂的なユーザであり、Jerry は WeChat(微信)の支持者だ。両者はパリの街角で顔を合わせ、それぞれの支持するメッセージ・アプリのメリットについて、ディベイト対決した。


Mark Bivens: まず、私たちは一つ考えが一致していることがあるね。WhatsApp、BBM、Viber、Telegram、 eBuddy、Nimbuzz、SnapChat、Kik——このようなアプリは、LINE、WeChat(微信)、KakaoTalk とは同じ池を泳いでいない。違う言い方をするなら、それは金魚を白鯨と比べるようなものだね。だから、本当のディベートをすることにしよう。敢えてタイトルを付けるなら、LINE vs. WeChat vs. カカオトークだ。

Jerry Yang: まさにその通り。みんな、WeChat を WhatsApp と比べるのをやめるべきだよ。さらにいうなら、ここにカカオトークも参戦させたいね。我々二人とも使っていないけど。(実際、韓国国外ではカカオトークを使っている人はいないだろう。)

Mark Bivens: 確かに。国際的なユーザへの浸透について言うなら、LINE に軍配が上がるだろう。LINE は、お膝元の日本市場を席巻している(日本は世界3位の経済大国だ)。さらに言うなら、LINE は Jerry 君の生まれ故郷の台湾も席巻し、 タイ、インドネシア、インド、カカオトークが生まれた韓国、スペイン、メキシコも支配したよ。

Jerry Yang: 僕は LINE のヘビーユーザで、LINE が WeChat より国際的に受け入れられていることは感嘆に値する。でも、明らかなのは、WeChat が生まれた中国には13.6億も人が居るのに、少なくとも短期的に考えれば、海外展開するかどうかなんて、彼らに興味は無い。しかも、中国人は歴史を見てみても、最もモバイルな人々だ。

どの国に行っても、十分な数の中国移民が居る。パリで中国人の友達ができたら、WeChat でつながりあうのは、ごく普通のことになったよね。彼らが中国に戻れば、WeChat が連絡を取り合う上で一番実用的だから、WeChat でつながらないということは考えられないんだよ。つまり、中国人と関係を持っている人は、自ずから WeChat のユーザになることになる。ノルウェーのオスロに居ようが、西アフリカのバマコに居ようがね。

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Mark Bivens: それはフェアな比べ方だね。でも、そのためには WeChat の UI や画面の流れを欧米人の習慣に合わせる必要がある。LINE と比べて、それはどうなんだろう?

Jerry Yang: 個人的には、WeChat に文化的な要素はかけらも感じられない。私は WeChat の英語版を使っているけど、iPhone 上では他の英語版アプリ同じように、ネイティブな作りになっているように思える。中国的な要素があるとすれば、当たり前だけど、WeChat 上の利用できるコンテンツ、例えば、友達からのメッセージやニュースフィードが中国語であることくらいだ。

しかし、君がインターフェイスの話を持ち出してきたので、この点には言及すべき必要があるだろう。インターフェイスに関しては、LINE は改善すべき点が多くある。メニューの階層がランダムであること、オプションが変な場所にあること、同じ機能が複数あることなど。WeChat のインターフェイスはクリーンで、直感的で自然だ。Shake のような出会い系サービスの機能に、まったく面倒さを感じずに誘導されてしまう。

私は、例えば、税金の還付申告のように、絶対に行く必要なある場合にしか足を運ばない人間だ。メインで使っているわけでもないチャットアプリで、この種の出会い系機能を私が試してしまうということは、それだけ WeChat がインターフェイスに力を注いでいるということの証だと思う。

Mark Bivens: 確かにそうかもしれない。LINE のインターフェイスは、機能がごちゃ混ぜで整理されていないような感があるが、それはユーザが急激に増えて(現在は登録数が4億人を突破)、新機能を追加しているからじゃないだろうか。LINE は定期的にアプリを更新して、さまざまな機能の結集をうまく改善していると思うよ。ただ、LINE のインターフェイスに対する私の最大の不満は、iPad 版だね。

Jerry Yang: LINE のユーザ増加の話を、防戦の論理に使うべきじゃないよ。WeChat は昨年だけ見てみても、第1四半期の1.95億人から第4四半期の3.55億人まで増えたのだから。中国国内のオペレーションを心配するまでもなく、これはもう素晴らしい成長の物語だ。この成長は、機能追加によるものではなく、3つのチャットアプリの中で最も汎用的でうまく統合されたユーザ・エクスペリエンスがもたらした結果だと言えると思う。

Mark Bivens: LINE は明らかに独創的なスタンプ戦略で功を奏しているよ。WeChat もスタンプを提供しているって、言いたいでしょ? 敬語や深い文脈を含んだコミュニケーションが求められる文化では、スタンプが大きな重要性を持つ。私は日本の電車内で、チャットで適切なトーンや雰囲気を伝えるために、慎重にスタンプを選んでいるユーザを見てきた。でも、スタンプでは LINE に軍配が上がると思う。

(昔のレコードアルバムのビジネスを彷彿させるような)スタンプのパッケージ販売から大きな売上を上げているだけでなく、これまでお金を払ってスタンプを購入してきたユーザが、他のメッセージ・アプリに乗り換えようとしても、スイッチング・コストが発生するため、もはや乗り換えられない状況を作り出している。賞賛すべきことに、LINE はチャリティにもスタンプでキャンペーンを積極的に展開している。マーケットプレースという形で、社外のイラストレーターにもスタンプを作る環境を提供している。結果的にこれは、スタンプを宣伝してくれるアンバサダーを養成することになるわけだ。

Jerry Yang: オーケー、その点については賛同するよ。私も LINE はよく使っているので、購入したスタンプを13個持っている。確かに、LINE は非常にシンプルなことから大きな可能性を生み出している。しかも、LINE のクマとウサギのキャラクタは、LINE そのものからスピンオフして単独でフランチャイズ展開しているのには、大きな可能性があるね。ハローキティーのような成功するキャラクターが生まれるのを見るのは興味深い。

しかし、WeChat のスタンプ・ショップには、バリエーションに限りがあるのに、少なくとも重要なことが一つあるとすれば、動くスタンプがあるということだ。これは新しいことではない。Microsoft Messenger の時代にも、我々は台湾で、台湾人アーティストが描いた多くの動くスタンプに慣れ親しんだ。

動くスタンプは、スタンプ体験全体に特別な次元をもたらす。LINE がまだそれを導入していないのが実に奇妙だ。WeChat には既にそれがあるし、スタンプ・セットをまるごと購入する前に、スタンプをクリックして、アニメーションのデモを拡大して見ることができる。正直言って、これは簡単に展開できるサービスだ。まさに LINE が実現すべきことだろう。台湾には、MSN メッセンジャーのスタンプを描いていたアーティストが数多くいる。彼らは自分の作品を、世界のユーザに見せたいはずだ。少なくとも、アジア圏のユーザに対してだけでも。

後編に続く

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