本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」の取材の一部である。
インスタントにコマースを開設できるSTORES.jpの店舗数が10万店舗に到達した。
5月22日のパルコとの提携を発表したSTORES.jpは、リリースの際に獲得店舗数を「9万店舗」としていたが、細かい数字は特に公表しておらず実は桁替え目前だった、ということだ。この件はIVSのセッションでも発表されていた。
2012年8月末公開、3カ月で1万店舗突破して、公開約半年後には3万店舗突破。その後に次々と提携や施策を打ち続け、2013年7月にはスタートトゥデイ子会社化という道を選択した。10万店舗はちょうど1年半での達成になる。
一方でBASEは5月15日に資金調達を発表した際、8万店舗に到達していることを公開している。こちらの公開は2012年11月。比べるとほぼ、同じペースで成長しているのがよくわかる。
私は5月15日記事の取材時、BASE代表取締役の鶴岡裕太氏にこの獲得店舗数の国内上限を聞いているのだが、おおよそ30万店舗から40万店舗という数字をひとつのラインとして話していた。
光本氏や鶴岡氏に限らず、コマース全体で関係者に取材していくなかで私がよく耳にする言葉に「店舗数の増加はなかなか止まらない」というものがある。
実際、鶴岡氏も前述の上限ラインを示しながら、個人クリエイターなどへの波及があるとその上限は一気に爆発することにも言及している。
では、このインスタントな商業活動の本当の限界はどこにあるのだろうか?
光本氏との話で興味深いなと思ったのは彼のこの言葉だ。
「確かにペースは落ちてません。売る導線も仕組みも整いつつあって、流通額も増えています。面白いのはフッターリンクにあるSTORES.jpのロゴからの流入による店舗開設が全体の15%もあるんです」(光本氏)。
これってお買い物客が(もちろんどういう状況かはわからないが)気がついたら店舗オーナー、つまり売る側に変化しているとも考えられる。フリマアプリなどの登場もこの状況に拍車をかけてるかもしれない。
カジュアルにコマースを開設できる文化ができつつある一方、光本氏は「順調な成長は嬉しいのですが、どうやったら更にジャンプできるのか大いに悩んでいる」とも話していた。
恐らくこのままいけば15万、20万店舗と順調に成長していくのだろう。けど、それじゃあつまらない。もっと大きな変化、成長を得るためには今と同じ考え方ではダメだと何度も自問自答していた。ここに明確な答えはまだない。
このビジネスは流通総額と獲得店舗数が指標数値になることが多い。やりとりされる金額が大きくなればなるほど、決済や金融などのビジネスチャンスが広がり、店舗数が拡大すれば利用料などの可能性がみえてくる。
光本氏との会話では多くのアイデアが披露されていたが、これらの公開(もしくは永遠にお蔵入りするかもしれない)はまだお預けということだった。
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