gumi、Facebook、Ubisoft、Touchten、MOL〜キープレーヤーが予測する、アジアのゲーム業界の行方 #ECHELON2014

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これは、6月10〜11日の2日間にわたって、シンガポールで開催された e27 のスタートアップ・カンファレンス「Echelon 2014」の取材の一部である。2日目の午後、アジアのゲーム業界におけるキープレーヤーの代表者を集めて、この分野のこれまでをまとめ、今後を占うラウンドテーブルが開かれた。

このセッションに参加したパネリストは、

  • Rivai Adidharma – Sr VP, International Business, MOL Global
  • Hugues Ricour – Senior Producer, Ubisoft
  • Stephen Chun – Head of Gaming Sales for North Asia and Emerging Markets, Facebook Asia Pacific
  • 國光宏尚氏 – Founder & CEO, gumi Inc(gumi Asia に関する関連記事
  • Anton Soeharyo – Co-Founder & CEO, Touchten(関連記事

なお、モデレータは、e27 のゲーム担当エディタの Jonathan Leo Toyad が務めた。


まず、過去3年間にこの業界に起こっている事象を、パネリストそれぞれの視点から教えてもらうことにしよう。

MOL の Rivai によれば、ゲーム・デベロッパにとって、iOS や Android 環境からの売上の上昇は著しい。クレジットカードの普及率が乏しい東南アジアにおいては、ゲーム・デベロッパにとって MOL のような課金サービスを提供する企業は必要不可欠の存在だが、彼らは自社プラットフォームでの取引動向を通して、ゲーム・デベロッパのマネタイゼーションの動きをつぶさに感じ取っているようだ。

Facebook の Stephen は、2014年の第1四半期の実績として、同社の広告売上の59%がモバイルからもたらされていると述べた。

國光氏は日本市場におけるゲームの動向を振り返って、ミクシィを初めとして展開された PC 向けのソーシャルゲームから、ガラケーのゲーム、スマホのブラウザ・ベースのゲーム、スマホのネイティブアプリ・ベースのゲームと、非常に大きな変化があったと指摘した。そして今後、スマートテレビを使ったゲームや、Oculus などのVRデバイスを使ったゲームも隆盛してくると予測する。

Touchten の Anton は、自分が子供だった頃、友達の家にコンソール・ゲームをしに遊びに行った体験を階層し、現在は手のひらの上でゲームができるようになり、トイレの中で用を足しながらゲームする人もいると述べ、会場の笑いを誘った。

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Clash of Clans に代表されるように、欧米発のゲームがアジアの消費者を強く必要惹き付けるには何が必要なのだろうか。

ゲームを無料で利用させ(free to play)、後からバーチャル・アイテムを購入させたり、継続利用の際に料金を徴収したりする方法は、今のところ、うまく機能しているかもしれない。特にアジアにおいては、欧米に比べ、クレジットカードのような便利な決済手段が普及していないこともあり、free to play や仲間同士でゲームが対戦できる体験は重要だろうというのが、パネリストに共通する見方だった。

Facebook の Stephan は、特に長期間にわたるユーザ・エンゲージメントが重要になるだろうと指摘した。とかく、ダウンロード数でアプリの善し悪しが評価される傾向にあるが、今後はユーザのリテンション、すなわち、長期にわたって使ってくれる質のよいユーザを集めることが重要になる。MOL の Rivai は、AppAnnie の上位ランクを見ると、確かに free to play のゲームタイトルが上位を占めており、東南アジアあら始まったこの方法は、次第に世界中のゲームのトレンドに変化しつつあると述べた。

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ゲーム・デベロッパが、この地域で成功するために気にすべきことは何か。とかく各国のエンジニアの労賃やスマホ普及率に話が集中しがちなこの話題に、フランスに本拠を置く Ubisoft の Hugues は面白い視点で聴衆に答えた。

一つはアジアにこだわる必要はないということ。アジアで開発したからと言って、ユーザの市場をアジアに限定する必要はない。世界を相手にゲームをリリースすることは、現在では難しいことではない。アジアで成功すれば、市場の性質が似ているブラジルや東ヨーロッパでも成功できる可能性が高いだろう、というのが彼の見解だ。

そしてもう一つは、Android / iOS / PC などクロス・プラットフォームで同じゲームをリリースする場合、必ずしも同じゲーム体験を提供することにこだわる必要はないだろうということ。國光氏も指摘したように、スマートテレビや Occulus などでゲームが楽しめるようになれば、スマートフォンやタブレットより体験できることのバリエーションも広がる。Android と iOS では同じゲーム体験を提供するのが定説だったが、確かにこれを覆すことをためらう論理的な理由は見つからない。デバイスが違えば、同じタイトルでも、ゲーム体験が違って構わないのだ。

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2014年〜2015年にかけて気になるトレンドとして、Touchten の Anton が Kickstarter を挙げていたのが印象的だった。

ゲーム開発会社と言えど、スタートアップなら新しいゲームタイトルを開発する人員コストを捻出するため、投資家から資金調達を図るのが一般的だった。昨日の Launchpad で惜しくも入賞ならなかったが、Kickstarter と同じように、本を書く際に素案をユーザに披露し、資金集めしてから出版ができる Publishizer というスタートアップが注目を集めていたが、ゲームにおいても、同じようなプラットフォームが出て来るかもしれない。

リリース前に新しいタイトルのアイデアを公表してしまうリスクはあるものの、開発着手前にユーザ・バリデーションができるし、ユーザの期待を上回るゲーム体験を届ける方法が確立できれば、これはまた、スタートアップ・エコシステムの新たな可能性を創り出すのに役立つだろう。

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