「社会のバランサー」である女性が、国際協力や国連の仕事に魅せられ、活躍する理由【後編】

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Riyo-Yoshioka2013年3月、HRWチャリティディナーで、アジアの活動案内をする吉岡利代さん

世の中から人権問題をなくすために活動するNGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の吉岡利代さん【前編】」の後編をお届けします。

個性をつぶす日本の教育からの解放を求めてアメリカへ

吉岡:小さい時から日本の右向け右の文化が嫌でした。いつも、人とは違うこと、違うことって探していた気がします。その違うことの一つとして見つけたのが、世界のために何かをするということだったのかもしれません。

三橋:実際、吉岡さんはその後、アメリカに留学されたんでしたよね。

吉岡:はい。小学校の時も父親の転勤で半年間アメリカにいました。現地のインターナショナルスクールに通っていたため、現地校に通う以上に世界各国の人と接する機会を得ました。高校になってから再度、父親がいたアメリカに行って、大学はボストンのタフツ大学で国際関係論を学びました。

三橋:高校生でアメリカに行ったのは、ご自身の意志だったんですか。それも当時の環境を窮屈に感じてのことだったのかしら。

吉岡:それはありますね。個性をつぶして、みんなが同じようになっていくことが絶えられなくて。それを嫌だと思い続けた中学時代だったので、個性が謳歌されるアメリカに行って本当に救われました。家族の意見もあり大学で日本に帰るか悩んだんですが、国連の仕事をするなら残った方がいいだろうと判断しました。

三橋:大学を卒業してからいきなり国際協力の仕事に就いたんですか?すごく狭き門だって聞いたことがあります。

吉岡:新卒で国際協力業界に行くのは本当に難しいですね。JICAなどにも就職したかったのですが、大きなインパクトを与える仕事ができるようになるよう、まずは視野を広げて、ビジネスを理解したいなと思いました。会社に就職して、日本独特の新卒カルチャーから出来る限り吸収しようと思って。将来どんな道に進もうとも、一番基礎となるスキルを身に付けられる金融業界で2年間修行しました。

三橋:金融の仕事を辞めるとか、ヒューマン・ライツ・ウォッチの仕事に就くとか、仕事の転機ってどんな判断基準で動いていますか?

吉岡:私は感覚で動く人間なので、直感かもしれないです。もちろん、直感で動けるためには普段からアンテナを立てておかないといけないと思っています。あとは、運と縁ですね。あとは、主体的に動けてチャレンジが大きいかどうかも一つの軸にしています。

職場の半数以上が女性、女性は社会のバランサー

三橋:国際協力や国連のお仕事って、すごく女性が活躍されている印象があるんですが、実際はどうですか。

吉岡:ヒューマン・ライツ・ウォッチも半分以上が女性ですよ。日本人男性は、企業に勤めて家族を養うべきっていう社会的プレッシャーがまだまだ大きいので、もしかしたら女性の方が身軽なのかもしれない。あと、日本国内には、まだまだ女性が本当に活躍できる場が少ないので、力を発揮できる場として国際協力という分野が魅力的なのかもしれません。

三橋:ヒューマン・ライツ・ウォッチは、結婚や出産後の女性も皆さん働き続けていますか?

吉岡:バリバリ働いていますし、働き方もフレキシブルです。女性スタッフには、自宅から遠隔で、子どもを抱っこしながら働いているような人もいますよ。周囲の女性を見ていて思うのは、みんな自分を大切にしていること。仕事もプライベートも、まずは自分をケアして幸せでいることで、世の中を幸せにすることに力が発揮できるのかなと思います。

三橋:女性ならではの能力や素晴らしさって、なんだと思います?

吉岡:なんと言うか、世の中のバランサー的な存在であることでしょうか。視野が広いんです。足りないことに気づいて、ここをこうしたらいいんじゃない?って色んな視点から見つけられるのは女性の特技だと思います。男性社会に合わせたり、女性らしさを殺すのではなく、女性ならではの感性や気づきを活かせるといいですね。

三橋:最後に、吉岡さんはこれから何を目指しますか。

吉岡:やはり誰でも人間らしく、安心して暮らせる世界を目指したいです。そのためには、目の前のことをやって積み重ねていくことでしかないのかなと思っています。それが進化に繋がって行くと思うので。オフィスを立ち上げてからここ5年間でだいぶ景色が様変わりして、世界の人権問題に対して日本がより国際的なリーダーシップを発揮していく兆しを感じます。今の仕事や、その延長線上にあることをライフワークにしていきたいです。

三橋:今日はどうもありがとうございました。