ビデオの共同編集作業を支援するプラットフォーム「Remark」、日本市場の可能性をCEOに聞く #bdash

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B Dash Camp は、スタートアップ・シーンにとって夏のよい風物詩になりつつある。この機会には、海外の卓越したスタートアップの代表者らが数多く来日し、筆者にもインタビューを受けたいと連絡してきてくれる。ありがたいことだ。

そんなスタートアップの一つ、テキサス・オースティンとサンフランシスコに本拠を置く Remark は、ビデオのコラボレーション制作を支援するプラットフォームを提供しており、今年の5月に 500Startups のインキュベーション・プログラムの第8回のバッチを卒業した

創業者兼CEO の Taylor Hou の説明によれば、プロの世界のビデオ制作は、一人で完結することはなく、最低でも三人が関与する共同作業になるのだという。

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Remark CEO Taylor Hou

例えば、テレビCMを作成するとします。最低でも、撮影を担当する監督がいて、できあがりをチェックするクライアント(CM発注元)がいて、その内容が放送可能なガイドラインをクリアしているかどうかをチェックする、放送局の担当者が関与します。初版でOKということはまずありえない。クライアントがそのCMの一部の修正を依頼すると、その都度、監督→クライアント→放送局担当者間でビデオのやりとりが発生する。大容量のファイルをネットでやりとりするのも大変ですね。平均すると、ラフ編集から始まって、こういうやりとりがだいたい一本のCMの作成に、20回発生しています。

Google Doc を使って、文書をチームで共同編集できるように、ビデオの共同制作作業を支援する環境として Remark を開発しました。ビデオファイルそのものは、Remark にアップロードする必要はなく、ユーザが従来から利用している YouTube や他のクラウド・ストレージを使います。Remark ではそのビデオにリンクを貼り、タイムコード同期する形で修正指示を、ビデオにオーバーラップした描画やコメントで共有することができます。ビデオ編集は、ユーザが使っている Adobe Premiere などで実施してもらい、これらの編集ソフトウェアと Remark はAPI連携できるようになっています。

Remark の中には試写室の機能も備わっているので、テストビューアに映像を見てもらって、一般公開前に意見を募ることもできる。これらの機能をふまえ、Taylor はテレビCM以外にも、企業の社員トレーニングビデオなど、さまざまなビデオ制作現場への参入に自信を見せているようだ。

残念ながら、スタートアップのプロモーション・ビデオの制作には、我々のツールはあまり必要ないかもしれません。制作作業が少人数で完結してしまうから。想定しているのは、5人以上が関与するようなビデオの制作現場。そういうところで Remark は抜群のパフォーマンスを発揮します。(Taylor Hou)

昨年4月にローンチした Remark はこれまでに3,200のユーザアカウントを獲得しており、その中には、斬新なカメラワークによるビデオで評価の高い TED や、歴代の有名政治家を数多く輩出しているジョージタウン大学などが含まれる。

Taylor はアメリカの大手メディア企業のみならず、日本の広告代理店やテレビ局などにも加須多くアプローチしている。Remark のユーザ・インターフェイスや便利さ、そして、1ユーザあたり1ヶ月60ドルという料金の安さを考えると、誰もが競って飛びつきそうなものだが、そこには一つの壁があると教えてくれた。

メディア業界というのは保守的です。ツールがどれだけ便利でも、テレビCMや番組の制作予算の大きさを考えれば、現場ではなかなか、共同制作の環境を60ドルで手に入れたい、というモチベーションには結びつきません。(Taylor Hou)

ただ、放送業界にいる筆者の友人達の話によれば、テレビ番組などの制作現場にも変化が起き始めているようだ。これまでなら、放送局の周辺のビルなどに入居する編集センターで AD などが完パケのテープを作り、それを放送局に持ち込んで電波に載せていた。最近では、構成作家やディレクターらがルノアールのような喫茶店に集まり、Skype などで連絡を取り合って、最終的にラップトップでビデオの編集を済ませてしまうようなケースも増えつつあるという。

多チャンネル化や、インターネットに代表されるメディアの台頭によって、テレビCMや番組の制作現場にもさまざまな変革が求められる時代がやってきた。この変化の波をうまくとらえることができれば、Remark が日本で成功できる可能性も大きいのではないだろうか。

Taylor は、一般参加者として今日から始まる B Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka に参加している。既にマネタイゼーションがうまく行っているため、喫緊の資金調達のニーズは無いとのことだが、ビジネスのことを共に考えてくれる人とは協業したいようだ。Remark への投資や利用に興味のある人は、会場で Taylor に声をかけてみるとよいだろう。

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