「好きなことを仕事にする、そのためには愚直にやり続けること」:ベンチャー社長5人が、中学生に熱い思いを語る #bdash

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明日から始まるB Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka。その前日、B-Dash Campのために集まった起業家たちが、中学3年生たちに対して起業家としての考え方や生き方について話す場が設けられた。

「福岡市中学生チャレンジマインド醸成事業」と題されたこの授業は、起業や新たな事業などのスタートアップに積極的に取り組む全国8自治体で構成する「スタートアップ都市推進協議会」が主となり、未来に対して、チャレンジマインドをもった中学生を育成し「日本をチャレンジが評価される社会に変える」ために各自治体で実施する活動の一貫としてスタートした。今回は、福岡市内にある舞鶴中学校の3年たちに対して、起業家による特別授業が行われた。

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集まったのは、ミクシィ顧問の朝倉祐介氏、クルーズ代表取締役社長の小渕宏二氏、gumi代表取締役社長の國光宏尚氏、Gunosy代表取締役CEOの木村新司氏、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏の5名だ。

5名の起業家講師たちは、中学生たちが事前に起業家の過去の経歴などをリサーチし、質問したいことや聞いてみたいことをまとめ、それらを本人にぶつける場となった。起業家たちは、それぞれの中学校時代の思い出も交えながら、起業に至るまでの道のりや、起業家として必要な考え方などを熱く語った2時間となった。

中学生たちは、事前にそれぞれのグループで企業のサービスや起業家のインタビューや経歴などを調べた上で、質問をぶつけた。
中学生たちは、事前にそれぞれのグループで企業のサービスや起業家のインタビューや経歴などを調べた上で、質問をぶつけた。

授業では、朝倉氏と小渕氏によるグループ、木村氏、國光氏、内藤氏のグループという2つに別れ、それぞれ質問がなされた。それぞれのグループの授業の内容をレポートする。

社長のイメージ、会社を始めたきっかけ

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一般的に、会社の社長というと「黒塗りの車に乗っている」「印鑑をひたすら押している」といったイメージが持たれがちで、中学生たちもそうしたイメージを持っている人たちも少なくなかった。そうした状況は、会社組織がどのように動き、経営者がどのような意識や視点をもって日々を過ごしているのかが知られていないからでもある。そうしたイメージを払拭するようにそれぞれの起業家は、「日々、社内や外部の人と打ち合わせをしたり、会社の業績などの数字や、社員の普段の様子を24時間365日意識している」と話した。

「常に会社のことを100%考えている。だからこそ、休日はしっかりと休む。そうしないと身体がもたない。自分自身の健康管理を保つことが重要」(小渕氏)

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中学校卒業後、ジョッキーを目指すためのオーストラリアに渡った朝倉氏。その後、怪我などから競馬の道を断念せざるをえず、その後東大に入学し、マッキンゼーに入社。学生自体に立ち上げたネイキットテクノロジーCEOに就任し、同社をミクシィ売却後にミクシィ代表取締役に就任という異色の経歴を踏まえつつ、中学生たちに何かをやりきることの重要性について語った。

「やりきれば、後悔はない。プロの競馬の道は諦めざるをえなくなったが、自分のなかでやりきったから悔いはない。一番いけないのは、やらずに後悔したり、やったけど中途半端でやってしまったこと」(朝倉氏)

高校卒業後、ホテルマンを目指しホテルの専門学校に通った小渕氏。人に喜んでもらおうとホテル業界に入ったものの、IT業界という転身の理由は、正しいと思うことが実現できない世界をどうにかしたいと思ったからだという。

「それまで違った分野に移り変わったのは、ちょうどPCが普及しガラケーも浸透してきた頃これからインターネットを使ったビジネスがくる、と野生の勘が働いた。自分の肌感覚や、これだ!と思ったことを信じたほうがいい。チャンスは誰の目の前にもある。それに気づくか気づかないか。気づいたものを掴めるかどうか、掴んだものを離さずにおけるかどうかだ」(小渕氏)

常にチャレンジをし続け、人を巻き込んでいくことが大切

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もちろん、会社は順風満帆な時だけではない。売上が厳しい状況に陥ったミクシィは、それまでのSNS事業ではなく、ヒットゲームのモンスターストライクなどを軸に売上を成長させるなど、それまでとは違った事業展開を行うなど、大きな舵取りを行った朝倉氏は、会社も個人も、それまでと違ったことをやることの抵抗感をどうなくし、新しいチャレンジをしていくか、といったことを中学生たちに話した。

「今の状態から脱却するためには新しいことをやったりそれまでと違った環境に身を置くことが必要。そのために、組織の人たちとコミュニケーションすることが必要。中学生でも、部活などでも同級生たちと議論したり、新しいチャレンジを提案し、説得するのと一緒。新しいことがどのように重要かを考え、提案し、人を巻き込むことが社長の仕事」(朝倉氏)

小渕氏も、何かを提案するためには「目標、目的、理由」が必要だと語る。先生や両親、友達と何か一緒にやったり説明したりするときには、この3つを常に頭に老いておくことが大切だと語った。

「社長の人たちは、なぜみんなコミュニケーションがうまいのか」といった質問に対しても、木村氏は「時に社員を鼓舞したり、社外の人たちや仕事で関わるすべての人たちに説明や説得をして巻き込むことが必要で、必然とコミュニケーションが上手になっていく」と指摘する。

「自分と違う意見を持った人と友達になれることは大切。色んな意見を聞いたり、自分の意見を言ったりしながら会話をしていくことが重要で、ぜひ中学時代からいろんな人達と出会い、話をしてみよう」(木村氏)

何か一つのことを愚直にやり続けること

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会社を作るということは、自分の好きなことに没頭するためであり、社長という職業はやりたいことを仕事にしている職業だと語る國光氏。しかし、本当に自分が好きなことをやり続けていくには、やり続けていくための努力も必要だと中学生たちに語る。

「やり続けていくことを仕事にしていくためには、毎日やり続けることの大切さが求められる。部活であれば、部活を誰よりも真剣にやり続け、結果としてインターハイや全国大会に優勝するための努力をしていくようなもの。もし仮に優勝できなくても、自分なりに納得した努力ができたなら、その努力は無駄にはならない。他のことにも活きていく」(國光氏)

中学高校といった時代は、まずは目の前にあることにどれだけ没頭できるか、それか自分の興味をとことん追求し努力し続けること、そのどちらかしかない、と内藤氏も語る。「なにかをやり続けていくこと」こそが、生きていく上で最も大切なものだと指摘する。

自分自身で選びとること

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社長という立場は、「何かを意思決定することが仕事」とも語る朝倉氏。人のせいにすることなく、自分自身で何かを選び、その責任を背負うことが求められるからこそ、自分が真にやりたいこと、自分自身で掴み取ること、選ぶことの重要性を説いた。

「人生は自分自身だけのもの。だからこそ、悔いの残らないようにするためにも、前に進むなら選んでいってほしい。選んだものが、自分の道を作っていく」(朝倉氏)

「正解はひとつではない。いろんな可能性がある。その中で自分が選んだ道を信じれるかどうか」と信じることの重要性を語る國光氏。内藤氏も、「自分の頭で考え、それを実行していくことが大切。だからこそ、常に考えることをやめてはいけない」と考えることが重要だという。

「大学に行くこともすべてではない。なまじいい大学に行ったことで満足する人も周りに多かった。そうではなく、自分がなにをやりたいかを常に考え、ひたすら追求しつづけたら、自分なりの道ができてくる」(木村氏)

多様性をもつためにも、人と少し変わっているところを卑下することなく、人と違うところを互いに認め合ったり、高め合ったりしてほしいと語る朝倉氏。なんでも自分でやるのではなく、自分ができないことは人に頼ること、いろんな能力やスキルを持った人たちと友人になることで、新しいことができると内藤氏は指摘する。

「人生のほとんどは、ドラゴンボール、スラムダンク、ワンピースに詰まっている。それぞれに個性があって違った能力がある人たちと巻き込み、一緒に取り組むことで、それまでできなかったことや難しい挑戦もクリアできるようになる。いろんな考えや特技をもった友人を見つけて、付き合ってほしい」(國光氏)

起業家を通じて、人生のさまざまな可能性を知る

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90分近い質疑応答や中学生たちにアドバイスを語った起業家たち。後半の振り返りのシーンでは、高島福岡市長も参加し、起業家精神を持って新しいことにチャレンジしてほしい、と中学生たちにエールを送った。

今回の授業は、福岡市の創業特区の一環で、起業家をたくさん作ろうと福岡市が考えている一つの取り組み。人生は、いろんな道筋があるということを中学生たちに知ってもらいたい。いろんな可能性があること、そしてそれらを自分で選ぶことがこれからの時代に求められてくる」(高島福岡市長)

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授業では、一貫して5人の起業家たちも、20年ぶりな中学校の校舎で、二回りも年の違う世代の人達に対して、自身の中学時代の過ごし方や、高校、大学、社会人、経営者といった自身の思い出や経験を振り返りながら話をしてった。2時間の授業を通じて、社長や経営者という存在が、遠いものだったイメージから、より身近なものへと感じた中学生も多く見られた。

授業を通じて、女子中学生が「私、社長になって自分の好きなことを突き詰めたい!」といった内容も飛び出すなど、授業を通して未来に対しての目標を見据えた中学生がでてきたように思える。5年後10年後に、ここから新しい次の世代の起業家がでてくることを、大いに期待したい。

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中学生たちが持ち寄ったそれぞれの質問シート。過去、現在、未来といったそれぞれの軸から、さまざまな質問が飛び交った。

 

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