経費記帳クラウドソーシングのメリービズがサービスを一新、ウェブ画面から領収書のスキャン画像を確認可能に

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メリービズは、東京を拠点として、クラウドソーシングによる経費記帳代行サービスを提供するスタートアップだ。同社は今日、サービス内容を刷新し、ウェブ・インタフェースを追加したことを発表した。これにあわせて、社名も以前のリブ株式会社からメリービズ株式会社へと変更した。

メリービズは2012年10月に設立、今年5月には三井住友海上キャピタルから5,500万円を資金調達している。従来の方法では、ユーザは経費の領収書をメリービズに郵送すると、それが代行入力されて Excel、CSV、マネーフォワードにインポート可能なファイル形式で、メール添付で送り返されていた。ウェブ・インターフェースの追加により、ユーザはこれらのファイルがオンデマンドでダウンロード可能になり、必要に応じて、領収書のスキャンイメージを閲覧できる。

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領収書を送るだけで経費記帳の代行してくれるサービスとしては Dr. Wallet の「レシート便」、ユーザ自らがレシートをスキャンし経理作業を効率化するクラウドキャストなどがある。果たして、メリービズの強みはどこにあるのだろうか。メリービズの創業者兼代表の工藤博樹氏に聞いてみた。

領収書を経費記帳する場合、それぞれの経費をどの勘定項目に入れるか、仕訳が素人に難しい。そこで、我々がインターネット越しにクラウドソーシングしている人達は、簿記検定2級以上、経理経験3年以上の実務担当者に限定しています。ウェブ・インターフェースのメモ帳の機能で連絡してもらえれば、ユーザごとに特有の、ある飲食支払の領収書を接待費扱いにするのか、会議費扱いにするのか、などの融通にも対応できます。

企業向けの経理支援のしくみとしては、日本のスタートアップからは、他に Freeeマネーフォワードなどが存在するが、メリービズは元帳管理はやらず、あくまでアナログなデータからデジタルへの変換に特化するのだそうだ。したがって、マネーフォワード、弥生会計、会計王をはじめとする、他システムに対応するフォーマットでのファイル出力が可能になっている。将来的には、ファイルのエクスポート/インポートを必要としない、リアルタイムの API 連携の可能性もあり得るだろう。

また、同社は会計事務所によって、彼らの顧客である中小企業や個人事業者にメリービズの利用が促進されることも期待している。

会計士の市場は供給過多になっており、会計事務所同士の競争意識は非常に高くなっています。立ち上がったばかりの小規模な会計事務所は、経費記帳代行も含めた、あらゆる業務を引き受ける必要があるため、我々の競合になるかもしれません。

しかし、中堅以上の事務所になれば、付加価値の高いサービスを顧客に提供することに注力するため、経費記帳代行はアウトソースしたい業務なのです。ウェブインターフェースで領収書の証憑も確認でき、ユーザ企業には、業務を請け負っている会計事務所向けを含め複数のログインアカウントを発行できるので、我々のサービスを使ってくれている会計事務所からも好評を得ています。(工藤氏)

新しいインターフェースのローンチにより、メリービズはクラウドソーシングのルーティンを効率化できるため、ユーザ向けの料金も値下げし、仕訳量に応じた3種の定額月額料金制に移行する。

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筆者は工藤氏と以前から面識があるが、本件に関するインタビューを通じて気付いたのは、これまでメリービズが、ウェブ・インターフェースやモバイルアプリを提供していなかったことだ。言い換えるなら、アイデアさえあれば、ウェブやアプリを必ずしも持たなくても、テック・スタートアップは成立するわけで、特にB2B向けのサービスであれば、ワークフローが確立し、アイデアのユーザ・バリデーションが取れるまで、ウェブやアプリの開発に着手しないのは、バーンレートを上げずに済む賢明な手段である。

今回のインターフェース公開により、さまざまな他のサービスとの連携やスケールアップの可能性が広がるだろう。

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メリービズ 創業者兼代表取締役 工藤博樹氏

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