Conyacがクラウドソーシングでサイトを多言語化するプラットフォーム「Conyac Front」を公開

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credit: Free Grunge Textures – www.freestock.ca via FindCC

クラウドソーシングでの翻訳サービス「Conyac」を提供するエニドアは9月24日、ウェブサイトの多言語化を自動的に実施するプラットフォーム「Conyac Front」のβ版を公開した。Conyac Frontはサイトユーザーがアカウントを開設してサイトURLを指定、クラウドソーシング方式で翻訳したい言語を指定するだけで、ウェブサイトの多言語化ができる仕組み。

料金体系はホスティング料金(1言語月額1万円程度を予定)と言語翻訳料金、それにオプションなどの追加がある場合はそれが加わる。現在はモニター期間中でホスティング料金のみを無料にしたテストユーザーを12月末までの期間で20社限定で募集しており、有料でのサービス開始については「来年1月頃を考えている」(エニドア代表取締役の山田尚貴氏)とのことだった。

さて、このConyac Front、多言語化を否応なく求められている企業にとっては救世主のようなサービスだ。本来、ローカライズというのは大変な工数を要するもので、特に言葉の選定は難しい。

私たちTHE BRIDGEでも英語サイトを提供しているが、その文言ひとつとっても決めるのは難しい。ネイティブのスピーカーが聞いておかしいかどうかだけでなく、業界的に使われている言葉なのかどうか、現地の人が自然に受け入れられる表現かどうかは正直、その言語圏で生きていない人に判断は無理だ。ここにさらにサイトを構築する工数がかかるのだから手に負えない。こういった内容から海外展開を掲げつつ、サイトの準備を後回しにしている人も多いだろう。

ではConayac Frontは本当にURLひとつで簡単に多言語化を実現してくれるのだろうか?

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山田氏に詳しくサービスについて聞いたのだが、どうやらプロキシ(中継サーバー)を使った動的な翻訳置換を提供する、ということだった。まずConayc Frontは多言語化したいサイトURLから言語情報をクロールして抽出、それをリストとして整理する。ここからサイトオーナーは例えば見出しやメニュー、サイトの説明など「固定」されている情報などを選んで翻訳依頼をかける。

翻訳はConaycが提供しているクラウドソーシング方式で実施され、1文字単位で費用が発生する。この翻訳が完了したらサイトの多言語化は終了だ。

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多言語サイトは構築の必要がない。

これはサイトを訪問したユーザーは多言語化されたサイトURLを叩くと、その言語圏に応じて中継サーバーが翻訳が必要かどうかを判断し、主言語とは違う地域からのアクセスに対してはその翻訳された情報を置換して表示させる、という仕組みを取っているからだ。

動的に置換を実施するので、例えばWordPressなどのようなコンテンツマネジメントシステムを導入しているようなサイトでも対応は可能になるとのことだった。ただし、会員制サイトなどログインが必要な場合など、一部システムによっては中継サーバーが上手く稼働しない場合もあるという。

この方法であれば、サイトオーナーは「言語の翻訳」と「多言語サイトの構築」という二つの手間を省くことができる、というわけだ。

もちろん不便がないわけではない。サイトは基本的にオリジナルサイトを閲覧するので、言語圏によってインターフェースを分けたい場合などはやはり個別に作る必要が出てくる。また、私たちのようなニュースサイトは、そもそもアップデートされる情報が多く、不向きと言えるだろう。※ちなみに情報開示も含めて、このサイトで提供しているパートナーメディアの日本語翻訳はConaycで実施している。

基本的にはコーポレートサイトなど、あまり動きの多くないサイトを手軽に多言語化するにはもってこいのサービスになるかもしれない。あとは前述の通り、翻訳の精度、特に専門用語の使い回しなどが奇麗にはまるかどうかといったところだろうか。

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