フードデリバリーアプリのdelyは9月8日、ANRIを割当先とする第三者割当増資の実施をしたと本誌に教えてくれた。
金額や払込日などの詳細は非公開。今回の調達は7月のシードラウンドに引き続き、2度目の調達となる。シードではBEENOSをリードインベスターとし、East Ventures、partyfactoryから調達している。
dely代表取締役の堀江裕介氏は「配達の供給も整っており、平日ランチのみの提供でしたが、8月からフードデリバリーのニーズが多いディナータイムと土曜日にも対応しました。今後は契約店鋪を増やすとともに、ウェブからのユーザー獲得に力をいれていきます」と今後の展開について語る。
同社は契約店舗へのサポートとして、飲食店の多くが利用するFAXにも対応した。現在は順調に契約店舗数を増やしていて、順次対応地域を渋谷だけではなく、恵比寿や六本木周辺に拡大していくとのことだ。
今回はdelyに出資しているANRIゼネラルパートナーの佐俣アンリ氏、BEENOSマネージングパートナー前田ヒロ氏とアドバイザーとして参加するフリークアウトCOOの佐藤裕介氏に、delyと日本のオンデマンドデリバリーについて話を伺った。
既存の産業構造を変化させる会社に出資したい
「決済のコイニーや印刷のラクスル、働き方のクラウドワークスのような、インフラになるサービスなどを中心に出資しているので、物流もひとつのテーマとしてありました。日本の物流系のスタートアップの方には大体会っているんですけど、その中でも特に堀江さんは面白かったので出資を決めました」(佐俣氏)。
佐俣氏は日本での物流に関して「GDPも大きくそれなりに国土面積があることからマーケットはある」と付け加える。
「既存の物流でも十分ではあるんですけど、すぐに届くというのは実現されていない。新しい産業をつくったり、既存の産業構造を変化させるのが僕の仕事ですから、delyのオンデマンド宅配に期待しています」(佐俣氏)。

オンデマンドデリバリーは日本でも当たり前になる
BEENOSとしてInstacartにも投資している前田ヒロ氏は、アメリカではオンデマンドデリバリーが一般的になりつつあり、日本でも5年後、10年後には当たり前になっていくのではないかと予想している。
「モバイル技術で配達員の位置情報がリアルタイムに取れるようになったので、これまで配達員ではなかったような人たちも配達員になることができるようになります。デリバリーに限らず、オンデマンドで個人が個人の価値をサービスとして提供できるようになってくるのは必然でしょう」(前田氏)。
堀江氏によるとInstacartの経験のある前田氏のメンタリングは、プロダクト開発の上で勉強になったという。「サービスに対するフィードバックが本当に的確で、シードでヒロさんが入っていたのは本当にためになりました。おかげでより良いプロダクトを目指すことができます」と堀江氏は語っている。
「日本でもPostmatesのような仕組みのオンデマンドデリバリーが必要。でも簡単ではないからクレイジーな人がやるべきだと思うんです。そういった意味で堀江さんは若い分、変な固執もないし、ぶっとんでるからいいって思うんです」(前田氏)。
「頭おかしい人」に賭けたい
「日本の大手物流企業はスケールが大きくて配送に必要なリソースを安価に獲得できる上に、オペレーションの改善を積み重ねている。それなのに30分で物がとどかないっていうのは、そもそも不可能だからなんです」ーー佐藤氏はこう現状を分析する。
「しかし現在スマホの登場を契機に、配送サービスサプライヤーになり得なかった一般ユーザーを『ポテンシャルサプライヤー』とみなして安価なデリバリーネットワークを構築できる可能性が大きくなっています。不可能だったものが一気に可能になるのでは期待しています」(佐藤氏)。
堀江氏についても「不可能を可能にするのは頭がおかしいひとじゃないとできないから、頭のおかしい堀江に賭けてみたいって思うんですよね」と続けた。
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待