2年の猶予を与えられ、クックパッドの新卒チームが手掛ける「Holiday」が紐解く「おでかけ」の本質

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Holiday-Tomomaki「Holiday」のプロジェクトマネージャー 友巻憲史郎さん

9月11日、クックパッドが新たにリリースした新サービスが、”いつもの休日を楽しみに”してくれる「Holiday」です。すでに数多く投稿されている休日お出かけプランから、エリアや新着順でプランが見つかるウェブサイト。Holidayのプロジェクトマネージャーである友巻憲史郎さんにお話を伺いました。

いかに楽しくおでかけプランを投稿できるか

ベータ版としてサービスを開始し、ユーザーヒヤリングなどを繰り返して今の形になったHoliday。お出かけプランの投稿者の多くは、お出かけ好きなブロガーです。自分のブログはあるものの、「ブログよりきれいにアウトプットできる」ことがHolidayに投稿する一つのモチベーションになっているそう。

「プランをつくること自体が楽しいと言ってくれる投稿者さんが多いです。マイページに行くと、各プランの閲覧数や得意なお出かけ範囲などが見やすく表示されます。お気に入りに追加されたり、たくさん訪問されることなども楽しんでくれています。また皆さん、自身のお出かけの思い出を振り返ったりもしてくれているようです」

Holiday-user-dashboardHolidayのおでかけプラン投稿者のマイページ

ユーザーから集まるこれらのフィードバックは、Holidayがまさに意図すること。プランを楽しく作成してもらい、投稿者に喜んでもらうことにこだわってサービスをつくっています。そしてこれこそが、アクティビティ系の類似サービスとの最大の差別化になると友巻さんは話します。

価値のあるものをつくるのは時間がかかる

投稿者に喜んでもらうことが、どうHolidayの強みになるのか。お出かけの際に、大きくて場所をとる雑誌を人が持ち歩く理由は、実際に「人が足を運んで目で見た」価値のあるコンテンツだから。Holidayに人が集まるかの明暗は何よりコンテンツが分ける。

「レシピと言えばクックパッド」と膨大な数の人が頼りにするのは、そこに無数のおいしいレシピが集まっているから。熱心なユーザーが投稿するレシピこそ、人気サービスクックパッドが成長した一つの要因。Holidayにもまさに同じことが当てはまります。

Holidayを開発し始めた当初、直属の上司の執行役は友巻さんにこう言ったそう。

「面白さとか、短時間でユーザー獲得することが大事なんじゃない。価値のあるものは、つくるのに時間もかかる。でも、時間をかけて積み上げたものはひっくり返せない」

この言葉を聞いて、当初Holidayをアプリとして提供しようと考えていた友巻さんは、アプリを急いで出すことが本質的な価値にはならないと気づかされました。

「現に、Foursquareなど現在地をベースに近隣の場所を発見できるアプリはありますが、まだまだ改善の余地があるのが現状です。探せる、見つかることに取り組む前に、素敵なコンテンツを集めること。何よりまず、そこにフォーカスすべきということが明確になりました」

「おでかけの本質は?」で決めたクックパッドへの事業譲渡

Holidayを手掛けるのは、クックパッドにチームごと新卒採用されたメンバーを中心とする5人の新人。友巻さんらは学生時代に一緒にサービスを開発していたチームで、そこに別の内定者1人が加わった形。サービスをつくる一方で就職活動を行い、別のIT企業に内定をもらっていた友巻さん。

「サービスを継続して運営したいという強い思いを捨てきれず、2013年10月頃に内定を辞退しました。その後、改めてVCや事業会社を回って、出資やチームごと引き取ってもらえる先を探していました」

出資や事業ごと引き取るというオファーもあったものの、そこには何か違和感が。そんな中、昔からの憧れだったクックパッドに半ばダメもとで挑んだのが、昨年のクリスマスの日の面接でした。

「サービスの性質上、育てるのに時間がかかることはわかっていました。半年、1年でサービスを打ち切るのではなく、本気でおでかけ市場に挑める譲渡先を探していた時にクックパッドの方に初めて会って、まず聞かれたんです。「お出かけの本質って何だと思っている?」って。この人、お出かけについて俺より本気で考えてる!とビックリしました」

今だから言えると話す人事の鷲見さんによると、実は当時、クックパッドではちょうどお出かけ系のサービスを検討している最中だったそう。この上ないタイミングと、本気でおでかけサービスに挑戦を挑みたいチーム。その後、チーム全員の面接を終え、1月末に正式にジョインすることが決まりました。

ユーザーの「課題解決度」を図るためこそのKPI

今は、資金調達などに頭を悩ますことから解放されて、サービスづくりに集中することができていると話す友巻さん。学生時代にこんな反省点があったと振り返ります。

「当時は、外から入って来る情報にいちいち惑わされていました。類似サービスがどれだけユーザー数を突破しただの、Androidアプリをリリースしただの。目立つことをして知名度を上げよう。そうしてユーザーを集めないと資金調達もできない、なんて焦っていました。ユーザーの問題を解決する以外のことを考えていたんです」

クックパッドでは、ユーザーの問題を解決することがすべて。今はその徹底ぶりに驚く毎日です。

「Holidayに関してもKPIは決めていますが、それはユーザーに対してきちんと価値を提供できているかの目安にするためです。KPIが伸びると思うんですがこんな機能はどうですか?と提案したら、“機能がどうのではなくて、それでどれだけ投稿が楽しみになるか、投稿したくなるかって本質的に考えよう!” と一喝されました」

今の時点で、2年間という時間を与えられているHoliday。これまでVCや事業会社と交渉を繰り返しながら、短期間でサービスを閉鎖させられてしまうのでは?という不安を感じていた彼にとって、2年という猶予は救いですらありました。

プロに囲まれてサービスを育てるという選択肢

事業会社に入社し、サービスを継続運営する。1、2年前は何となくかっこわるいイメージを持っていたその選択肢を選んだ今、自身の決断をどう感じているのでしょうか。

「クックパッドでは、本当にいろんな分野のプロに囲まれています。知らないことは全部教えてもらう、学んでやる、という思いで吸収しまくっています。本当にこの選択をして良かったと思います」

サービスをつくることに集中したいのに、資金繰りに手こずり頭を悩ます同世代の起業家がいる。むしろ昨今は、シードラウンドの資金調達のハードルが下がってしまったが故に、調達という選択をして後に引けない起業家の姿も。事業会社の傘下に入ってサービスを提供し続けるという選択肢があることを伝えたいと友巻さんは話します。

週末に電車に乗って出かけることから、泊まりがけの温泉旅行、海外旅行にいたるまで、「おでかけ」はとてつもなく大きな領域。人が「出かける」ということについて考え抜き、休日を楽しくすることで人の人生そのものを豊かにする。そんな壮大なテーマに取り組むHolidayがこれからクックパッドのなかでどんな風に成長していくのか。サービス、そしてチームの成長を今後も追いかけていきたいと思います。