スマホ家庭教師のマナボ、ベネッセなどから約3億3000万円の資金調達

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写真左からマナボ代表取締役の三橋克仁氏、7月に参加した元頓智ドットCTOの近藤純司氏

スマートフォンでいつでも家庭教師の授業を受けられる「mana.bo」を運営するマナボは9月18日、第三者割当増資の実施を発表した。引受先はベネッセとニッセイ・キャピタル、および三菱UFJキャピタルの3社で、調達金額は総額で約3億3000万円、払込日や割当てた株式の割合などは非公開。

また、これに合わせて同社では新たに対コンシューマー向けの事業展開を今年秋から開始することも発表、調達金の使途としては展開に際しての人員強化と対コンシューマー向けのプロモーション費用としている。

教育系サービスの資金調達が続く。8月にはやはりオンライン学習塾アオイゼミを展開する葵が1億2000万円を調達、同日にやはり中高生向けのプログラミング学習を推進するライフイズテックが総額3億1000万円の資金調達に成功している。少子化や大手予備校の代々木ゼミナールの校舎閉鎖などが報じられる中、新興企業の成長が鮮やかに映る。

2012年4月創業のマナボをここまで牽引してきたのは「B2B2Cモデル」、つまり学習事業提供企業の配下でオンラインチューターサービスのmana.boを提供するスキームだった。その代表的な提携先が今回の資金調達ラウンドをリードしたベネッセで、マナボは2014年4月から同社と共同で 「リアルタイム家庭教師」を展開している。

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サービス開始当初、もちろんマナボは独自路線でサービス提供を考えていたが、やはり教育事業というのはお金の出所、つまり支払をする人は学生ではなくその両親になるパターンがほとんどとなる。その場合、どうしてもサービス提供社の信頼度や認知度が問題になってしまう。そういう意味でマナボが取ったB2B2Cのスキームは正解だったことがよくわかる。

マナボ代表取締役の三橋克仁氏に話を聞いたが、サービス公開当初しばらくは直接学生向けのサービスも提供していたが、ほぼテストフェーズで、すぐに学習塾やベネッセなど各社との協力関係を結ぶ方向に転換したと話していた。着実な成長に合わせて優秀な人材を呼び込むことにも成功しており、2013年夏頃に元クックパッドの山下大介氏がCTO(最高技術責任者)として、さらに7月には元頓智ドットCTOの近藤氏が同社に参加している。

上手い舵取りだと思う一方、当然、これでは受託会社になってしまう。ややもするとベネッセからの出資は同社への売却へと続くストーリーの入り口に見えなくもない。関係性を構築するとビジネスモデルも若干複雑になり、生徒を獲得してくれる協力会社(この件ではベネッセ社など)、チューターを提供する会社(学習塾など)の各社と利益は分配になる。

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マナボのB2B2Cモデル図

今回、マナボが発表したコンシューマー向けのサービス展開はその考えを打破するものと考えていいだろう。

三橋氏の話によると、現在オンラインチューターとして登録する先生の数は500人超、すべて東大や慶応など「そのままほっといても教えられる人材」が集まっている。マナボ社内にある特設ブースには常に質問に答えてくれる常駐チューターも定時に在席している。

オンライン授業で十分に回答ができる体制を整え、さらにマナボでは改めて秋のサービス展開開始に向けて新しい独自アプリの準備も進めていた。ペーパーウェアの状態で少し見せてもらったが、インターフェースは洗練されていてどのように質問すればよいか、導線が練られている印象だった。新しくソーシャル的な要素も加えられており、これはまたリリースの際に詳しくお伝えしたいと思う。

課題は受講生の獲得だが、ここにはサービス開始当初に当たった壁はまだ存在している。もちろん、財布の紐を握る親への認知度や信頼感だ。この点について、三橋氏はマーケティングの新しい方法を模索しながら進める、と話すに留まった。

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