きたる、株式型クラウドファンディングの法案施行に向けて注意すべきポイントとは

by Eguchi Shintaro Eguchi Shintaro on 2014.9.30

Image by Martin Fisch on Flickr
Image by Martin Fisch on Flickr

先日、クラウドバンクが応募総額10億円突破という記事を書いた。日本におけるクラウドファンディングの広がりを示す一つの事例といえるだろう。他にも、CAMPFIREやReady for?などの日本でも初期に立ち上がったクラウドファンディングも順調に流通総額を伸ばしている。全国各地のローカルに根付いた活動を支援するFAAVOも、全国20ヵ所以上の地域に広がりを見せている。

アメリカでも、融資型のクラウドファンディングの最大手のLendingClubがIPOを申請して大きな話題となっている。2007年にスタートした同サービスは、急成長で事業を拡大しており、貸出総額も日本円で5000億円を突破するなど流通総額は日に日に増している。

時価総額も2000億を超えるとも言われており、IPOによってクラウドファンディングがこれまで以上にさまざまな分野に影響を及ぼすことになるかもしれない。アメリカ以外でも、イギリスのZOPAも860億円程度まで貸出総額を伸ばすなど、世界的に融資型クラウドファンディングの勢いは伸びているといえる。

「Kickstarterでも、Pebble Watchを越える史上最高額のプロジェクトのThe Coolest Coolerが登場し大きな話題を呼ぶなど、まだまだクラウドファンディングによる広がりは拡大している途中です」と、クラウドファンディング代表取締役社長の大前和徳氏は語る。融資型だけでなく、JOBS法施行を目前にアクセラレートインベストを対象としたサービスが活発化してきていると指摘。

「Niel YoungがFounder兼CEOを務める会社が、CrowdFunderで5百万ドルを越える資金調達に成功したり、イギリスではLondon-NYC間を結ぶ航空会社が設立資金1百万ポンドの募集に成功するなどといった事例が増えています。日本でも2014年に実施される株式型の事例が、すでに海外でも出始めています」

融資型、株式型のそれぞれのクラウドファンディングにおいても、まだまだトラックレコードの更新は続いている。もちろん、これがどこかのタイミングで推移が鈍化したり、配送や商品トラブルによってクラウドファンディング業界全体に対する評判が低下する恐れもなくはない。

しかし、こうしたP2Pによるお金の流れを生み出すプラットフォームの登場によって、さまざまなサービスや製品開発を可能にする基盤が生まれていることは間違いない。日本としても、こうした先行事例を俎上に、業界全体としての動向や、業界を健全化するための規制や制度なども、併せて議論していくべきなのではないだろうか。

きたる、株式型クラウドファンディングに向けた現在の動きと注視すべき議論のポイント

さて、日本では2014年5月に法案が成立し、2015年の施行に向けて現在議論が続いている通称「クラウドファンディング法案」。1つの企業に対して投資できる金額を50万円を上限とし、企業側も調達金額を1億円未満という制限ではあるが、日本でも株式型クラウドファンディングを実施することがいよいよ可能となる。

法案成立から、現在の状況について、大前氏に伺った。

「ややスケジュールが遅れているようですが、金融庁では内閣府令の準備を進めているようです。先日金融庁とも議論する機会がありましたが、業務実態調査を続けている中で、どのくらいの新規参入事業者が出てくるのか、当局も気にしているようでした」

大前氏のところは、株式型クラウドファンディングの新規参入を検討する企業や、あるいはクラウドファンディングでエクイティファイナンスをしたいというベンチャー企業からの問い合わせがきているという。しかし、大前氏が以前指摘しているように、株式型クラウドファンディングだけの事業で事業を成立させることは難しい。株式投資からエクイティまでの長期的な時間や、投資先の成功確率など、さまざまな要因が挙げられる。投資を受けるベンチャーも、多くの投資家を抱えることにもなるため、コミュニケーションコストが上がる可能性もある。

また、今回の株式型クラウドファンディングは二次流通の場(セカンダリマーケット)がないため、株式募集を行う証券会社も、株式としての商品価値を付けにくいものでもある。安易に飛び込むのではなく、しっかりとした議論を重ねた上で判断を行ってもらいたいものだ。

大前氏は、今後の株式型クラウドファンディングに関する改正金商法について、いくつか注目すべきポイントを挙げた。

1)個人一人当たり上限50万円、一社調達額の上限1億円というルールに何らかのexemption(例外規定)が認められるかどうか
2)設立1年未満の企業が、資金調達手段として利用できるような制度設計になるかどうか
3)プラットフォームを運営する証券会社に、企業の審査を含めてどの程度の役割が求められてくるか
4)企業と投資家との接点(募集行為)でどのような制約が課されるのか、課されないのか?

こうした改正に関する議論のポイントは、最終的にどのような設計になるかによって株式型クラウドファンディングを利用する企業、投資家、募集を取り扱う金商業者の参加意欲に大きく影響を与える要素だ。

「改正金商法の成立によって、せっかく非上場企業にネットでエクイティファイナンスの機会を提供するという画期的な制度ができようとしているわけですから、その理念が諸規則で尻すぼみにならないことを願っています」

まだ、現在も議論が続いている段階ではあるが、施行に向けてそろそろ具体的な内容が決まることだと思われる。

大前氏によると、株式型クラウドファンディングの施行は2015年4月頃なのでは、と予想している。具体的な全体像はまだ完全には見えていないが、2014年内にはある程度の形が見えてくるのではないだろうか。引き続き、法案の動きについて注視していきたい。

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