Eコマース・プラットフォーム向けにパーソナライゼーション技術を提供するスタートアップ TargetingMantra は16日(米国太平洋標準時夏時間で15日)、500 Startups と、共にインド系のファンドである Nexus Venture Partners、One 97 Mobility Fund から110万ドルを調達したと発表した。今回調達した資金を用いて、同社は今後、日本を含むアジア市場へのサービス展開を強化したいとしている。
TargetingMantra は先月プログラムを終えたばかりの 500 Startups の第9期バッチから輩出されたスタートアップだ。設立には Amazon、Google India、Google Asia Pacific、Farmville などの元代表やディレクタ—らが携わっている。TargetingMantra はEコマース・プラットフォームに連携することで、そのEコマース・プラットフォームのユーザに、個人個人に合った商品購買を促すことができる。
例えば、男性ならば一般的に化粧品を購入する可能性は女性より低い。また、彼がある電気製品を購入した場合、同じ用途の商品を複数購入する可能性は低いが、その商品に関連したアクセサリーを複数購入する可能性はある(ステレオを複数購入する可能性は少ないが、ステレオを買った人がスピーカーやヘッドホンを複数使い分ける可能性はある)。TargetingMantra は、ユーザ動作から、これらのシナリオを元にユーザの関心を類推し、適切なレコメンデーションや割引等を提示して、Eコマースのコンバージョン・レート改善を試みるソリューションだ。
日本市場向けのアプローチに関連して、自身も Amazon 出身で TargetingMantra 共同創業者の Saurabh Nangia 氏がインタビューに答えてくれた。

大きなプラットフォームよりは、中小のEコマース・プラットフォームをターゲットにしているんだ。例えば、Shopify がいい例だが、彼らはサイト上に50,000軒以上の異なる小売店舗を持っている。異なるユーザに対して、異なるオーファリングを出すことができるわけだ。
名前はまだ出せないが、既に東京にあるEコマース・プラットフォーム事業者とは話を始めているよ。楽天のような、大きなプラットフォームではないけれどもね。
Nangia 氏によれば、Eコマース・プラットフォームへの TargetingMantra の導入は、大きく2つのフェーズで構成され、Google Analytics のような情報を収集するプロセスと、Java Script Library を画面に埋め込むことによるレコメンドやオーファリングの表示機能からなる。Eコマース・プラットフォームには最短で2日間程で導入でき、技術的な知識が無い人でも対応ができるのだそうだ。
オムニチャネル・コマースと呼ばれるこの領域では、日本国内にもアピリッツ(旧KBMJ)、アルベルト、シルバーエッグ・テクノロジーといったレコメンド・エンジンの老舗が存在する。TargetingMantra が差別化するのは筆者が推測するところ、おそらく2つ。Amazon が実装しているような質の高いパーソナライゼーションと、日本で言う BASE や STORES.JP のような、インスタントEコマース・プラットフォームへの B2B2B 的なサービス導入展開である。Nangia 氏自身が Amazon でパーソナリゼーションのデータ・サイエンティストをしていた人物であり、(Amazon が持つ特許は侵害できないだろうが)サービスの精度については折り紙付きと言えるだろう。
日本で最初に TargetingMantra を導入するプラットフォームは、どの社になるのだろうか。近日のリリースを楽しみにしたい。
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待