事業拡大中のAlibaba(阿里巴巴)に対し、近頃のベンチャーキャピタル:「東南アジアのスタートアップは気にする必要はない」

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今やAlibaba(阿里巴巴)が大企業であることは周知の事実だ。大企業といっても世界中のインターネット企業の中で3番目の大きさとなっているくらいビッグだ。衝撃的なIPOデビューの後、Alibabaが急速かつ集中的にグローバルに拡大していく段階へと移行していく可能性は高い。しかし、それは東南アジアのスタートアップにとってはどのような意味を持つのだろうか?

Alibabaは投資の素人ではない。ウォールストリートジャーナルによると、2014年のAlibabaは投資に関して、異常なほど積極的に資金調達ラウンドに参加し、総額は100億米ドルを上回った。

アクティブなAlibabaの潜在的な影響についてより知識を得るために、Tech in Asiaは東南アジアにおいて非常に活動的であるArbor Venturesの創始者Melissa Guzy氏と、Golden Gate Venturesの創始者Vinne Lauria氏の両者に話を聞いた。以下が、彼らが述べたことである。(THE BRIDGE編集部注:太字がDavid Corbin記者の質問)

AlibabaのIPOは、アジアのスタートアップにどのような影響を及ぼすでしょうか?

M Guzy氏(以下MG):成功は成功を生むものです。記録的なIPO査定額は、もちろん若い起業家に強い印象を与えるものでしたでしょうし、彼らに株価が長年の苦労の結果であるということを示したでしょう。

V Lauria氏(以下VL):かなり確かなのは、特にこれが歴史上で最も大きなIPOとなるため、この地域への注目が高まるということ、そしてより多くのアメリカ及び国際投資家がこの地域を注視するようになるでしょう。

Alibabaは意欲的にアジアの外に拡大しようとしているという話は今までもありました。どこかとパートナーシップを組むのでしょうか、それともアジアの潜在的な競合相手に対して独自のアプローチを取っていくでしょうか?

MG:Alibabaは既に中国国外に精力的に投資しており、特に巨大な軍資金を持っていることから考えても、これからもそうし続けるであろうと考えられます。先端技術、及びエンジニアリングにおけるグローバル人材を取得できるだけの余裕があります。

VL:Alibabaは、東南アジアの他の地域では、競合する立場と地域での勢力拡大をねらいM&Aを進めていく立場を上手く組み合わせていくと思います。一部のスタートアップにとっては、売却するのに良い機会になるでしょう。またアジア以外の地域では、引き続き単独でB2Bビジネスの基準を確立し、中国の小売業者を世界中の顧客に繋げていくでしょう。

Alibabaが、東南アジアで最も成功しそうなマーケットは、また最も成功しそうにないマーケットはどこですか?

MG:地元企業が提携しているマーケットの規模にもよります。東南アジアには、規模的に単独マーケットとして成り立っているマーケットはほとんどなく、また簡単に成立することもありません。インドネシアは、単独型のマーケットとしては最も規模が大きく、Alibabaの様な企業にとっては無視できないマーケットです。

VL:インドネシア、タイそしてベトナムでは全て成功しそうです。インドネシアは人口の点で、またタイはeコマースが現在成長している点、またベトナムには非常に勢いのある国内市場があり、海外企業にとっては参入し難いですが、Alibabaなら上手く事業展開していけそうな点が挙げられます。

最も成功しそうにないマーケットは、ミャンマーとカンボジアで、Alibabaのサービス展開には、少し時期尚早な気がします。

Alibabaは、グローバル展開に取り組んだ際の楽天から何か学べることがあるでしょうか?

MG:楽天は、アメリカのインターネット企業が中国に進出する際に学んだことと同じ様に、文化的な違いやローカリゼーションの重要性を学んだと思います。

VL:現地の決済サービスプロバイダーと連携し、決して自分達でやろうとしないことです。Viber、Ebates等のように流通、提携や顧客とのアクセスを手助けしてくれる大手のグローバル企業を買収することです。

そもそも、Alibabaの拡大はどれくらい急を要していることなのでしょうか?なぜ中国にとどまり続けてはいけないのでしょうか?

MG:Alibabaは、中国人の中間所得層がさらに増えるにつれ、中国においてこれから何年も成長し続けることができます。同社はグローバル化の野心があり、これはGoogleやFacebookとなんら変わるものではなく、東南アジアではとてもよく見られることです。

VL:そんなに急を要するものではないと思いますが、アメリカの公開市場は勢いのある持続的な成長を好みます。Alibabaもしばらくは中国国内でそれを実現できるでしょうが、アメリカの投資家が強く期待する、テクノロジー企業によく見られるように毎年どんどん成長を続けるには、他の市場で大きな一歩を踏み出さないといけません。つまり、Alibabaにとっては、新しい縦型市場、新しい製品群、新しい地域への拡大、ということになります。

Khailee氏の参加

500 StartupsのベンチャーパートナーであるKhailee Ng氏も加わった。彼はAlibabaのIPOを、東南アジア全体のテクノロジー系エコシステムにとって有益なものとして見ている。彼はTech in Asiaに次のように語った。

「Jack Ma氏は世界に向けて、グローバルな大企業を確立する道のりはシリコンバレーだけのものではないことを世に知らしめました。アメリカや中国以外のマーケットが成熟している中、このような思いをさせてくれたのはタイムリーなことです。将来、何十億ドルもの巨大企業が東南アジアから現れてくるでしょうか?Alibabaのストーリーで新興市場にいる会社設立者の勇気が奮い立たされ、『そうだ』と言えるようにしたいですね」

【原文】

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

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