Dolphin BrowserがAndroid/iOS向けに新版をリリース——日本法人代表・須賀正明氏に聞いた将来戦略

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Dolphin Browser(ドルフィンブラウザ)については、ここしばらくニュースを聞いていなかった。開発元の MoboTap が、中国のインターネット大手 Sohu(捜狐)系のゲーム・デベロッパ ChangYou(暢遊、NASDAQ:CYOU)買収されたことは記憶に新しいが、ここしばらくは、肝心のアプリについてメジャーアップデートの話はなかった。

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今月に入って、Dolphin Browser は Android 向けに v11.2.6JPiOS 向けに v7.7 をリリースした。実はこれに先立ち、Android 向けについては、Google Play における段階的公開機能 staged rollout を使って9月に v11 がリリースされている。v11.2.6JP は v11 のユーザフィードバックを受けてマイナーアップデートされたAndroid 版で、その UX が iOS 8 / iPhone 6 / iPhone 6 Plus 対応環境に反映されたのが v.7.7 と言える。

今回のバージョンで実施されたのは、ユーザからのフィードバックによる UI/UX の改善。この一言に尽きるだろう。

Dolphin Browser はモバイル先進国、発展途上国、いずれの地域でも利用されているが、総じてユーザの声からは、画面に表示される文字をできるだけ少なくした方が見やすい、というものだった。

また、以前のバージョンでは、ブラウザタブは普段は隠れていて、スクロールアップしてサイト上部にのみ表示されていたが、直前のバージョンでは常時表示されるようになり、ユーザからは邪魔だという意見が多数寄せられた。これを受けて、ブラウザタブの表示状態を任意に設定できる「タブオフ機能」を追加、画面スワイプでブックマークできる機能も、ユーザの期待に応える形で新版で復活となった。

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左:Android 版 v11.2.6JP、右:iOS 版 v7.7
 

往々にして一度廃止した機能を復活させるのは、プロダクトの開発責任者からすれば勇気の求められる行為だろうが、今回の機能追加や復活を見る限り、Dolphin Browser がどこまでもユーザの声に真摯である姿勢が見て取れる。

加えて、これまではアドオンとして提供されていた「ナイトモード機能」も、アプリ側でネイティブ実装された。暗い場所などで、液晶の青色の発色を見たりすると目に負担をかけると言われるが、UI/UX のみならず、ユーザに対する健康面でも、デフォルトで配慮がなされたことになる。

ChangYou(暢遊)の買収が持つ意味

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Dolphin Browser を開発する MoboTap は、北京の Startup Weekend から生まれたスタートアップで、現在はサンフランシスコに本社を置いている。日本で Dolphin Browser をマーケティングするドルフィン・ブラウザ株式会社(以下、日本法人)は、Mobotap とベンチャーキャピタル Infinity Venture Partners によるジョイントベンチャーだ。

先ごろ、中国のゲーム・デベロッパ ChangYou が MoboTap を買収したが、日本法人にとって ChangYou は Grand Parent Company(日本語で何と表現するのか不明)なので、直接的な資本関係は存在しない。そのような背景を考えれば、ChangYou の買収話を日本法人代表である須賀正明氏に尋ねるのは酷なのだが、彼は私の質問に快く答えてくれた。

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代表取締役 須賀正明氏

中国のゲーム・デベロッパ市場は、リソースの著しい消耗が強いられる激戦区だ(関連記事)。

そんな中で、Sohu(捜狐)/ChangYou(暢遊)陣営がユーザの獲得にあたって、ブラウザをフックにしたいと考えたのだろう。

Dolphin Browser のユーザは、国別に多い順で、アメリカ、中国、日本、ロシア、韓国…と続く。具体的なユーザ数は非公表だが、中国には、アメリカとほぼ同数の Dolphin Browser ユーザが居るため、ユーザに効率的にリーチしたい ChangYou の目には魅力的に映ったのだろう。

UX に重きを置いたローカリゼーション

前出したユーザの多い5カ国を見る限り、スマートフォン人口の多いモバイル先進国をターゲットに置いている感が否めない Dolphin Browser だが、新興国向けのローカリゼーションにも力を入れ始めている。

そのような努力の一つが Dolphin Browser Express で、通信回線の遅い地域でロースペックな端末でも、比較的コンテンツを軽く速く読み込めるように、機能が最適化された Android Browser の派生版だ。対応地域は、ロシア、トルコ、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビア、エジプト、タイ、インドネシア、マレーシア、香港、台湾、ベトナム、フィリピンの15カ国/地域となっている。

Dolphin Browser にとって、日本でのターゲット・ユーザは、これまではどちらかというとアーリーアダプターが主だった。加勢しているグノシーやスマートニュースなどのニュース・キュレーション・アプリも、考えてみれば、一つのモバイル対応ウェブブラウザであり、ユーザの可処分時間をどれだけ占有するかという観点でみれば競合という見方もできる。

日本での今後の展開については、ナビゲーションの機能に力を入れ、キャリアやコンテンツプロバイダとの連携を積極的に進めていくことになるだろうと、須賀氏は語ってくれた。

コンテンツを消費するということに対して、アプリはひもづきやすい。ユーザにとっても利便性が高い。一方、何かから何かへ、接続して他へつながっていくときには、(特定のアプリとかより)ウェブブラウザの方が強いと考えている。

一つの画面で、あらゆる情報にアクセスしてしまおうというアプローチは、必要な機能分だけアイコンをホーム画面に並べるモバイルアプリのコンセプトとは対極的だが、先ごろの KDDI の Syn. の発表にも見られるように、これからのトレンドなのかもしれない。

日本法人では、引き続き、マーケティング担当者、グロースハッカー、エバンジェリストなどを募集しているとのことだ。モバイルの UI/UX を追求したい人にとっては、打ってつけの職場だと言えるだろう。

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