福岡市、創業特区としての次の一手へ。スタートアップを目指す人たちの創発を生み出す「スタートアップカフェ」をオープン

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政府の国家戦略特区の1つである福岡市は、創業特区として日本で最もスタートアップが集まる場所を目指そうと大きく舵取りを行っている。

そのきっかけは、2012年の明星和楽で発表された、高島福岡市長による「スタートアップ都市宣言」だ。ロンドンのTechCityとの提携や、さまざま創業関連の取り組みなどを通じて、福岡市主導でスタートアップ支援を行ってきた。

政府による国家戦略特区の認定は、国として新しいチャレンジを生み出しやすい環境を後押しする流れとなった。国としての創業支援のみならず、創業5年未満の企業の法人税をアジアでも最も低い数字にする提案など、福岡としても特区に関するさまざま提案を行っている。

そうした取り組みを通じてスタートアップエコシステムを構築する大きな一歩として、多種多様な人たちが集い、新しい価値を生みだすプラットフォームとしての「スタートアップカフェ」が、このたび福岡市内にオープンした。

10月11日には、オープンを記念したイベントが開催され、福岡市長や行政関係者、スタートアップ支援を行うさまざま企業や団体が集まった。

時代の変化とともに、新しい価値を生み続けることを目指す

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スタートアップカフェのオープニング飾った高島福岡市長による、創業特区のこれまでと今後に関するプレゼンが行われた。

オープニングイベントでは、高島福岡市長による雇用創出特区としてのこれまでの取り組みや、「スタートアップカフェ」についての概要の説明を行った。

高島氏は「現在の子どもの65%は、いま存在しない職業につく」といったことや「現在の職業の約半数は、20年後には雇用がない」といったこと言説を引用すると同時に、私たちの生活はテクノロジーの進化ともに歩んできており、そこにはベンチャーのアイデアによって私たちの生活を日々進化させてきたと指摘。

「時代を変化させるためは、技術革新による付加価値の付与が大きく寄与している。今回のスタートアップ特区では、新規起業のアイデアはもちろん必要だが、それ以外にも既存企業の第二創業、既存企業と新規企業とのコラボなどを生み出し、新しい価値をつくる場所として福岡を位置づけたい」

ただ単に会社を創業するのではなく、価値を生み出すこと。これが、スタートアップ特区の目的だ。

さらに、創業の大きな意味として、経済活性や雇用創出との関連も強い。統計でも、創業10年未満の企業によって日本全体でも200万人以上もの雇用を生んでいるというデータもある。こうしたことを踏まえ、「創業が盛んになることによってイノベーションを創発し新規企業や既存企業が成長」し、さらに「新しい雇用を生み出し自治体にとっては地元就職の機会も増える」という効果を見出すことができる。

誰もが自由に使い、新しい創発を生む場としての場にしていく

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今回、スタートアップカフェを運営するCCCのスタッフたち。右から二番目が、コンシェルジュの藤見哲郎氏だ。

福岡市は、もともと日本全体としても開業率が高いことで知られている。しかし、日本全体としては開業率4%と世界に比べると低い。だからこそ、福岡が日本全体の創業をけん引する存在となるよう、2012年の「スタートアップ都市宣言」を行い、全国の知事や市長らとともに「スタートアップ都市推進協議会」も立ち上げるなど、スタートアップ都市としての形を模索してきた。

そこに、政府による成長戦略の一環として、国家戦略特区が打ち出された。雇用や農業、教育など、さまざま分野に特化した特区が設置されるなかで、世界で最もビジネスをしやすい環境づくりに力を入れることとなり、福岡市が認定されたのだ。

そうしたこれまでの福岡市の施策、そして国家戦略特区による取り組みを通じて、人材教育やマッチング、創業に関しての情報交換の場を、従来の行政サービスにありがちなお固いものではなく、より敷居を下げた場所としながら、さまざまな行政手続きをワンストップで簡便に行える窓口として機能を集約する場所を作ることとなった。

それが、「スタートアップカフェ」という位置づけだ。運営にはCCCが参画している。今回のスタートアップカフェは、福岡市今泉という市内の中心地にあるTSUTAYAの3階に設置されており、誰もが利用できる場所に設置されている。

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スタートアップカフェは、同ビルのTSUTAYAと同じく朝9時から明け方の4時までの利用が可能だ。さらに、ビジネス書などを含む3万書もの書籍も閲覧可能となっている。創業をサポートするコンシェルジュには、DOGANの藤見哲郎氏が就任している。

その他、セミナーや開業相談会、定期的に開催する交流会やビジネスマッチングなどが行われる。もちろん、スタートアップ自身でイベントや勉強会などを企画することも可能だ。

「誰もが自由に使い、利用し、成長する場にしてほしい。この場所から、国内外からチャレンジしたい人と企業が集い、新しい価値を生み続けること。そうした取り組みを今後も福岡市は応援し、そして福岡市自体がそんな都市となれるようにしていきたい」

スタートアップ都市としての新たな一歩を踏んだ福岡市。今後、日本におけるスタートアップのメッカとして、今後10年20年後を見据えた、さまざま取り組みが行われることを期待したい。

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オープニングには、急きょUSENグループ会長の宇野康秀氏(下段右)も応援にかけつけ、高島市長とトークセッションを行った。

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