主婦の働き方を変える「Shufti」運営会社、みんなのウェディングなどから6.3億円の資金調達

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SHUFTI

主婦などの在宅ワーカーを中心としたクラウドソーシング事業「Shufti」を展開するうるるは10月1日、ニッセイ・キャピタルおよびみんなのウェディングを引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。調達金額の総額は6億3000万円で、出資額の比率や払込日などの詳細は非公開。

うるるはBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業を手始めに2001年に創業(2005年に現経営陣でMBO実施)。国内でまだクラウドソーシングという名称がない2007年頃に主婦向けの在宅ワークサービスとなる「Shufti」を開始、現時点で7万6000人以上が登録するプラットフォームに成長させた。今回調達した資金はShuftiを始めとするクラウドソーシング事業の開発や管理などの人材強化に当てられる。

さて、クラウドソーシングばやりだ。彼らもまた投資トレンドに乗っただけだろうか?

Shuftiは同カテゴリで最古参となるランサーズやリクルートのC-team(リクルート時代のnanapi古川健介氏、KAIZEN Platform須藤憲司氏らが携わったことで知ってる方も多いかもしれない。)と同時期に立上がったサービスで、前者が共に2008年なのでその1年前から事業に取り組んでいることになる。クラウドワークスは2012年だから約5年の開きがある。

Shuftiとうるるの展開の面白さのひみつはその成り立ちにある。

取締役副社長の桶山雄平氏に話を聞いたところ、うるるは創業期からアウトソーシング事業に携わってきたのだが、実は今もこの部分が会社としての収益の柱になっているのだそうだ。特に全国の入札情報のデータベース事業「NJSS」は1500社近くの企業ユーザーを抱え、同社取締役の小林伸輔氏によれば、シェアは6割から7割にのぼるという。

njss

入札情報のデータベースと聞いても携わってる人以外はピンとこないかもしれない。入札とは国や地方自治体が実施するいわゆる発注業務に必要なプロセスで、例えば机をいくつ購入とか、道路工事など役務や土木といった国の事業を民間に下ろす際に実施される価格コンペを指す。受注したい事業者はこのコンペに勝たなければならず、その際重要になるのが昨年落札した業者の価格情報や、そもそもの公示されている入札情報だったりする。

NJSSは国が発注する20兆円規模の情報を取りまとめているデータベースで、落札情報は過去6年間で400万件を保有しているという。

ここからが本題だ。

何がすごいかというと、この入札情報、目視で集めているのだという。つまり、クラウドソーシングのShuftiを自社の事業展開に活用していたのだ。このモデルは特化型クラウドソーシングとしてキャラクター制作のMUGENUP、動画作成のCrevoやViibar、翻訳のConaycやgengoなどが採用しているパターンに近い。違うのは彼らはプラットフォーム型として一般事業者の注文も受け付けているところにある。新しいパターンだ。

元々のBPO事業とそれを効率化するためのクラウドソーシングプラットフォーム。この二つが両軸になっている強さこそ、うるるの特徴だ。今後、うるるはこのモデルを横展開することで事業の拡大を狙う。この辺りの興味深いアイデアはいくつか聞いたが、またそれが実際にスタートした時点で披露することにしよう。

今回引受先となったみんなのウェディングとのシナジーも触れておこう。うるるが展開するShuftiは結婚後の女性が多い。一方でみんなのウェディングはその前だ。お互い人生の転機を迎えるターゲット層が近く、相互に送客することでシナジーも想像しやすい。

結婚退職や子育て、職場復帰といった女性につきまとう「仕事環境の変化」にもクラウドソーシングが担える役割は大きい。小林氏はそういった女性のキャリア形成にも今後積極的に関わっていきたいとしていた。

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