シンプルなデザインに定評があるスマホ連動の暖房制御システム「tado」のデザイン責任者にインタビュー

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今年の6月に紹介したスマホと連携した暖房制御システムの「tado」。人が家を出たり、外から家に近づくとそれを探知して、エアコンを自動的に操作してくれるもの。tadoを使えば、冬の寒い日、家に帰って真っ先に暖房をつけるのではなく、すでに心地よく温まった家が出迎えてくれます。

tadoは、そのグローバル展開に際してKickstarterで2,000万円を超える資金を集めました。支援者へのプロダクトの出荷は2015年頭を予定。支援しそびれた人は、tadoのウェブサイトで事前予約することができます。

シンプルで無駄のないデザインに定評があるtado。ドイツのミュンヘンにあるデザインチームを率いるJens Pohlさんにお話を伺いました。

ーtadoのデザイナーになるまでの経歴を教えてください。
ミュンヘン工科大学で工業デザインの修士号を取得した後、フリーランスでプロダクトデザイン、インタフェースデザイン、またブランド コンサルタントの仕事をやっていた。tadoに参画する前は、同僚3人とブランド アイデンティティ コンサルタント会社を立ち上げたこともある。だいぶ前に取得していた商品開発(機械工学)の工学の学位があったおかげで、tadoのようなテクノロジー企業にも馴染むことができたと思う。

ーtadoのデザインチームについて教えてください。
工業デザインから、プロダクトの体験、インタフェース、ビジュアルデザイン、全てのデザイン要素の責任者だ。デザインは全て内製しているよ。僕たちチームの素晴らしさは、チームがみんな密接に関わって仕事をしていること。ビジュアルデザイン、工業デザインなどと分けて考えることをあまりしない。一緒にコンセプトやソリューションを考えて、それぞれの技術力でそれを形にするんだ。

ーtadoが大切にしているデザイン原則は?
僕たちは、人の生活をより楽にするためのプロダクトをつくっている。だから、不必要な複雑性が加えられるべきじゃない。tadoのデザイン原則は、飾り気のないシンプルなものをつくること。技術的側面から考えると、これはすごく難しいことなんだ。

デザイナーは誰もが、プロダクトはシンプルであるべきだと言う。僕は、何もかもがシンプルにデザインされるべきだという考え方は好きじゃない。中には、もっと複雑でもいいものもある。実際、tadoのユーザーの中には、一般的な使い方以外のオプションを求める人もいる。シンプルにも使えるし、求めればより複雑な使い方もできるように設計しているよ。

ープロダクト デザイナーが心がけるべきことは?
デザインは、プロダクトを美しく飾るための美容部門ではない。デザインは、プロダクトの中核にあるべきもの。中核に間違いがあれば、いくら外側が美しくてもいいプロダクトはつくれない。デザインはデザイン部門だけの仕事ではなく、プロダクト開発全体のミッションだと思う。

デザイナーが、自分に何度言い聞かせても十分過ぎることはないコモンセンス(常識)がある。それは、机から離れて、顧客やユーザーからデザインのフィードバックを得ること。まだ未完全でも人に見せることを恐れないこと。手遅れになる前に。そして、人の意見を聞く。自分のサジェスションへの賛同を得るために説得しようとしないことだ。

ーtadoをデザインする上での最大の課題は?それをどう乗り越えましたか?
技術的なアイディアをもとに、プロダクトをつくることかな。形のある、出荷できる、わかりやすいものをつくる。それはまだこの世に存在しない新しいものだから余計に難しい。それを形にするために、精神的概念、言葉、ビジュアル・ランゲージを考え出し、プロダクトに独特のキャラクターを吹き込むんだ。既にあるものを再デザインするより、真っ新な状態からつくりだす方がよっぽど難しいけれど、その分エキサイティングだったよ。

ーtadoをデザインする中で学んだ最大の教訓は?
tadoはすごくダイナミックなスタートアップだ。この会社を作り上げて行く上で、デザインはその本質的要素であり続けてる。過去3年、いかにスピーディにプロダクトを開発し、出荷するかに集中してやってきた。この経験から学んだことは、密接に働く、高いモチベーションとスキルを持ち合わせたチームがあれば、短期間で素晴らしいことができるということだ。

ープロダクトデザイナーにとって大事な素質は?採用するデザイナーに求めることは?
賢さと細部にこだわる情熱。僕たちは、すごく複雑な世界のためのプロダクトをデザインしている。一番大切なことは、何のためのデザインしているかを理解していること。その理解なしにデザインしたものは、意味のない美しさにしかならない。いいデザインは、十分に情報を熟視した上で生まれる。本当にいいデザインをするためには問題をしっかり理解して、そのルーツを探る必要がある。それがあって初めて、その問題へのソリューションを提案することができる。

細部へのこだわりは、多くのデザイナーが生まれ持っている性質だと思う。このこだわりは、素晴らしいプロダクトをつくるために必要なものだ。なぜなら、全てのディテールには意味があるから。もちろん、ビジネスとしてやる以上、デザイン面で妥協を余儀なくされることもある。でも、どんな状況においても最良のディテイールを生み出すこと。それこそ、ずばぬけて素晴らしいものをつくるために必要なことだと思う。

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