ハードウェアにゲームチェンジが起こるかーー共創エンジン「amidus」が無料でハードウェアの試作をサポートするサービスを開始

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ハードウェアを作る上で、どうしても試作というステップは必要になる。ソフトウェアと比べ、試作に必要な費用や技術が増えるため、ハードルが高い。ITスタートアップと比較して、ハードウェアスタートアップの数はまだまだ少ないという状況にある。だが、プロトタイプを作成する費用がゼロになるとしたら、どうだろうか。

スマートプロダクツ共創エンジン「amidus(アミダス)」が、ハードウェアのプロトタイピングに必要なサポートを無料で提供するサービスを開始した。同サービスは「amidus」を展開するamadanaが、開発総合支援企業の大手、日南と共同で提供する。

ハードウェアスタートアップの支援

デザイン支援、設計開発支援、モックアップ製作、プロトタイプ製作等、ハードウェアを試作する上でのあらゆるサポートを無料で受けることが可能になる。

ハードウェアを作りたいと考えている人は、事前の審査を受け、amidusでプロジェクトを公開し、ユーザの反応を見ながら、プロトタイプづくりまでを無料で行うことができるようになる。同サービスを通じて試作品を作る人は、そのプロダクトが将来的に収益を上げられるようになれば、そのタイミングでレベニューシェアすることが条件となっている。

レベニューシェアまでの期限は定められていない。これは、ハードウェアスタートアップのビジネスモデルは多様になることが考えられ、収益化のタイミングを事前に決めることが難しいためだ。amidusプロデューサーの田淵淳也氏は、「商品ではなく、ビジネスを作っていきたい」とコメントしている。このサービスを紹介する上で、試作品を作る企業である日南と、スマートプロダクトの共創プラットフォーム「amidus」についてももう少し触れておきたい。

日本のモノづくり技術が集約

日南

日南は、家電、自動車、ロケットからボールペンまで、あらゆるプロダクトの試作を行うことができる日本最大級の試作設備を保有しているモノづくり企業だ。

長年、大手メーカーや自動車メーカーから試作品の開発の依頼を受け、開発を行ってきたことで、日南には日本のモノづくり技術が集約されている。

今回のサービスでは、この日南がプロトタイプを作る上で大きな力となってくれる。

スマートプロダクトの競争プラットフォーム

その日南と共にサービスを提供するのが「amidus」を展開するamadanaだ。amadanaは元々、デザイン家電ブランドの名前だった。今ではブランド名が社名となっており、様々な活動を行っている。

デザイン家電ブランドを提供していたamadanaは、家電で重視されるのは機能性が主だった時代に、デザイン性を高めることで付加価値を提供し、プロダクトの価値を高めてきた。だが、デザイン性の高い家電が売れることがわかると、他のプレイヤーも追随し始め、デザイン家電がコモディティ化し始めた。

勝負の仕方を変える必要がある、そう考えたamadanaが注目したのが、スマートプロダクト、コ・クリエーション、サービス自体のデザインといった領域だ。

amidus

勝負の仕方を変えたamadanaが昨年12月にリリースしたのが、スマートプロダクツのコ・クリエーションプラットフォームの「amidus(アミダス)」だ。大手企業が持つ技術を何に活かすことができるのかをクリエイターやユーザとともに考える場所として活用され、今年の11月にさらにユーザやクリエイター、そしてスタートアップに開いた場としてリニューアルした。

EVを新たな視点で捉える「電気自動新発想」プロジェクト、モバイルバッテリーをもっと身近にする「W.E.A. BOTTLE」 プロジェクト、新しい時代のカギのカタチ「SMART LOCK PROJECT 246」などのプロジェクトがこれまでに掲載されている。

北米の「Quirky」などを彷彿とさせるが、モノを開発し、コマースで販売するにとどまる「Quirky」に対し、「amidus」はビジネスジェネレーションまで対応していくと田淵氏はコメントしている。

必要なのはニーズ

プロトタイプの作成を頼むにあたり、どのフェーズでも問題ないと田淵氏はコメントしている。amadanaにはデザインやクリエイティブに関するノウハウがあり、日南には設計やエンジニアリングについての知識と技術がある。そのため、たとえアイデア段階だったとしても、試作品までのサポートを行うことが可能だ。

田淵氏「求めているのは「こんなものがあったらいいのに」「なんでこれがないんだろう?」というニーズや課題です。私達はそれを形にし、ビジネス化するためのサポートをしていきます」

申し込みが行われ、審査を通過したアイデアは「amidus」に掲載され、ユーザからの評価を受ける。その中で人気のプロダクトを決めていきつつ、ニーズがあるかどうかをユーザに問いかける。

ハードウェアスタートアップがビッグビジネスを生み出すためのエンジンとして活動していきたいと田淵氏は語る。ハードウェアにとって、プロトタイプの作成は重要であり、そしてハードルが高いものだった。amadanaと日南の提携によるこのサービスでそのハードルがクリアされる。

これはモノづくりに関わってきた人も、そうでない人にとっても朗報だ。ハードウェアのアイデアを持っているという人は、「amidus」で形にすることを検討してみてはいかがだろうか。

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