ランサーズがIPOではなく、850万米ドルの資金を調達、COOの足立氏がその理由を語る

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Tech in Asiaは本日(編集部注:翻訳元の原文掲載日は12月2日)、フリーランスプラットフォームサービスを提供するランサーズが、850万米ドルの資金を確保したニュースを知った。出資元は通信会社のKDDI、人材派遣会社のインテリジェンスホールディングス、ゲーム会社のコロプラ、ベンチャーキャピタルのグリーベンチャーズ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、GMOベンチャーパートナーズだ。

積極的な宣伝活動を行っている競合のクラウドワークスが存在する中、ランサーズにとってはまさに待望の資金提供である。クラウドワークスは日本のスタートアップコミュニティでは人目につくことの多い企業で、自社の宣伝に積極的である。6月以降、クラウドワークスは26回のプレスリリースを行ったのに対し、ランサーズは18回だった。

最大のニュースはもちろん、クラウドワークスのIPOだった。同社の時価総額は1億米ドルで1000万米ドルの資金を調達するとみられている。わずか3年でゼロから1億米ドルの企業にした功績は素晴らしいが、ランサーズ(2008年設立)は気にしていない。

足立和久COOはTech in Asiaに対して本日、今回の資金調達と同社の将来について語った。

同氏はまず「資金を調達すること以上に、当社はその目標に進む過程でビジネス上の関係を強固にしたかったのです」と語り、この資金調達はKDDI、インテリジェンス、グリーとの事業パートナーシップとセットでなされるものであり、「とりわけKDDI、インテリジェンスとともに国内でのクラウドソーシングビジネスを拡大させ、非インターネット企業に対するサービス向上を図ることが目的なのです」と説明した。

戦略はある重要な統計から生まれた。全ての業務依頼のうち55%が東京からのものだが、その業務の75%は東京以外のフリーランサーが行なっているというものだ。日本国内の経済力が低迷しているのは公然の秘密だが、この地域こそがターゲットとなる。

資金は採用、開発、フリーランサーのサポートなどに充てられる。楽天での勤務が長かった足立氏は、サポートシステムを楽天のeコマースコンサルタントプログラムのようなものだと考えている。コンサルタントはマーケットプレイス内の各ショップを担当し、収益を増やせるようショップオーナーに働きかけている。

今のところランサーズはIPOを急いではいない。ランサーズはクラウドワークスに3年先行してサービスを開始し業界最大手の地位を保っているが、ライバルも負けていない。IPOのほかにクラウドワークスが日本で賞賛されている理由の1つにそうそうたる提携関係がある。ソフトバンク、MIT、クレディセゾン、有名な保険会社ライフネットなどとの関係だ。

これはこれで印象深いメンバーだが、KDDI、インテリジェンス、グリーも同様に、これからしばらくランサーズを後押ししていくことになるだろう。

【原文】

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

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