ヒートマップ型サイト改善ツールの「Ptengine」がABテストの「Optimizely」とシステム連携

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Ptengine-website
2013年7月にサービスを開始した、マルチデバイス対応のヒートマップ型アクセス解析ツール「Ptengine」。専門家でなくても、ウェブサイトの分析やユーザー体験の向上に役立つとして、個人また企業のマーケティング担当者などによって活用されています。2013年11月には英語版もリリースしていますが、1万1000以上のサイトに導入される中、その8割を日本のユーザーが占めるそう。

「Ptengine」を立ち上げたのは、日本への留学経験を持つ、中国出身の代表取締役CEOの鄭遠さん。高校生の頃からコミュニティを立ち上げたり、日本の外資系企業で仕事をしたりしてデータ分析と向き合う中で、その手間や使い勝手の悪さを課題に感じていました。それなら、それを簡単にできるサイト改善のツールを作ってしまおうと立ち上げたのがPtengineです。

今回お話を聞いた、Ptengineを運営するPtmindの事業戦略部 部長の小原良太郎さんは、Ptengineを一言で説明するなら、「使って楽しいウェブサイトの解析ツール」だと話します。解析ツールで色々見ていると、楽しくて、ついついもっと見てしまう。それくらいの楽しさがないと、本当のサイト改善に繋がるくらいに活用してもらえないのだと言います。

直感的なデザインとリアルタイム解析

国内外の競合がひしめく「サイト解析ツール」の領域ですが、Ptengineにはいくつかの特徴があります。まずは、2013年度にGOOD DESIGN賞を受賞した、サイトの使い勝手の良さ。ユーザーが直感的に使えるデザインを徹底し、あらゆる機能の開発が、「ユーザーにとってそれがどうあるべきか」を起点に始まります。

もう1点がデータの信頼性。ユーザーからは、このデータもあのデータも見たいと要望が沢山届きますが、やみくもに機能を追加することはしません。まずは、データの信憑性、そして、そのデータが本当にユーザーのビジネス向上に繋がるかを議論します。例えば、「カーソルの動きは、人の目の動きに近いはず。カーソルの軌跡をヒートマップにしてほしい」というリクエストを受けることがあるそう。でも、ユーザーがカーソルがある場所を必ず見ているという保証はありません。サイト改善に役立つデータだけを取り込み、具体的なヒントを提供するツールを目指しています。

そして、一番の特徴とも言えるのが、Ptengineが完全にリアルタイムであること。昨日までのデータしか見られない、1時間ごとにしかデータが更新されないと言った他のツールと違って、Ptengineは完全にリアルタイム。キャンペーン施策の効果などをすぐに知りたいというニーズに応えています。

正確性を誇るヒートマップが生む、「熟読率」という新しい指標

Ptengineが提供する様々な機能の中でも、最も使われるのがヒートマップ。サイトのどこが見られているのか。どこがクリックされているのかが一目でわかります。ヒートマップに特化した解析ツールは既に存在しますが、表示に時間がかかったり、そもそもヒートマップの位置が本来の位置とズレてしまっていることも珍しくないのだとか。

「Ptengineでは、一般的なX軸とY軸の座標軸を使う計測方法を変えて、イメージタグなどのサイト内の要素で測るようにしました。そのため、スマートフォンなど機種によってスクリーンサイズが違う場合でも、正確なヒートマップが表示されるようになっています」(小原)

Ptengineは、企業による利用が4割、個人ユーザーが6割を占めています。個人ではブログへの導入、また企業のメディアなどに導入される例も増えています。そこで生まれているのが、記事のクオリティーを測るための「スクロール率」という新しい指標。ヒートマップで、記事が最後まで読まれたかを見ることで、1PVや1シェアでは測れない記事の価値を把握しています。

ABテスト世界シェアNo.1の「Optmizely」と連携し、グローバル展開に注力

Optimizely-Ptengine-integration
Optimizelyとのシステム連携で、サイト改善のPDCAサイクルを高速で回せるようになる

Ptengineは、中国にエンジニア部隊を中心に60人、日本には営業やマーケティングなどを見る10名ほどの、約70名のチーム。無料の文化が強すぎる中国では、そもそもプレミアムモデルがあまり機能しません。でも、事業開始当初から中国と日本で展開したのには理由があります。

「日本のユーザーさんは、サービスやその精度への評価が厳しい。ですから、日本という市場からまず展開することで、そこで勝てるものなら、グローバルでもいけるだろうという目論みがあります。また、中国市場は、外資系企業による参入障壁が非常に高い。この業界で最大手のアドビシステムズさえ、アクセス解析ツールを撤退したほどです。中国市場に参入するためには、中国企業である必要がある。そう考えて、最初から日本と中国で展開しています」(小原)

そんなPtengineが今日発表したのが、世界で7,000社以上が利用するABテストツール「Optimizely」のシステム連携。Ptengineのヒートマップを基に課題の特定や仮説構築を行い、それに基づいてOptimizelyでABテストをし、その結果をヒートマップでまた確認するというサイト改善のPDCAがスピーディに回せるようになります。

アメリカを中心としたPtengineのグローバル展開はまだ始まったばかりですが、今回のOptimizelyの連携でその流れがいっそう加速化されることが予想されます。近い将来にも新しい動きがあるとのこと。また追ってニュースをお届けします。

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