今週、東京ビッグサイトで3日間にわたり、第1回ウェアラブル Expo が開催された。昨年開催された Wearable Tech Expo Tokyo を除けば、ウエアラブルデバイスに特化した大規模の製品展示会が日本で開かれるのは、おそらく初めてののことだろう。
会場で見つけた面白いデバイスをいくつか紹介したい。
ペットの気持ちを教えてくれるウエアラブルデバイス「アニコール」

アニコールは、動物向けのウエアラブルデバイスと人工知能型クラウド解析により、ペットの行動パターンや感情を教えてくれるサービスだ。言葉を話せないペットの声なき声を、スマートフォンごしに知ることができる。犬や猫の首輪に装着して利用することが想定されるが、他の動物にも適用可能だろう。
デモブースに居た犬と猫は、連日の入場者の対応にお疲れの模様。筆者がブースを訪れたときには休息中で、アニコールのデモを見ることはできなかった。ペットの意思を見える化するソリューションとしてはバウリンガルを思い出すが、声にならない意思さえをも汲み取るという点において、ペットとのより親密なコミュニケーションに役立つことが期待できる。


腕や指の動きを電圧変位で読み取る「ストレッチャブル変位センサー」
ヤマハが参考出展していたのは、ストレッチャブル変位センサー。テキスタイルに埋め込むことができるので、サポーターやグローブとして人体に装着することができる。担当者に話を聞いてみたが、ヤマハはこの基礎技術を提供し、中小企業と協業して応用事例を開発中とのことだ。
参考事例として、ピアニストがセンサーが埋め込まれたグローブをはめ、電子オルガンを演奏するデモが披露されていた。ピアニストが鍵盤を弾くのにあわせて、指の動きが電圧変位として画面に表示される。
一般的に、ウエアラブルデバイスに使われるユーザのジェスチャーを読み取る方法としては、カメラや加速度センサーなどが考えられるが、十分なスペースを確保できない場所やユーザが大きな動きをできないときには、このストレッチャブル変位センサーは活躍できるかもしれない。
ニッチかもしれないが、例えば、視聴覚障害者が必要とする指点字通訳のオンラインデータ転送やクラウドソーシングに使えるのではないかと思った。
ウエアラブルデバイスに電池がいらなくなる「発電ウェア」

拓殖大学前山研究室・ムネカタ・コーンズテクノロジーが共同開発した「発電ウェア」。関節部位など、人間が動作する際に歪みが起こる箇所にシート型発電素子を埋め込んだスポーツウエアだ。大きな電流は生み出さないものの、ウエアラブルデバイスの BLE (BlueTooth Low Energy) による通信に必要な程度の電力は供給できるので、装着したユーザが身体を動かし続ける限り電源が切れることはない。
ウエアラブルデバイスは、ウエアラブルであるがゆえ軽量化が肝だが、デバイスの稼働に必要なバッテリの重さは、依然として大きな課題だ。ユーザ自らが発電し続けることでバッテリが必要なくなれば、ウエアラブルデバイスがもう一段上のステージに進化することができるだろう。
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