Alibaba(阿里巴巴)がイスラエルのQRコード作成スタートアップVisualeadへ出資

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Alibaba(阿里巴巴)はクールなQRコードをユーザが作成できるサービスを提供するイスラエルのスタートアップVisualead(視覚碼)に対し、シリーズBラウンドの出資を行うと発表した。Alibabaによる出資の規模は明らかにされていないが、CrunchBaseによれば、Visualeadが以前調達した金額は240万米ドルだったという。

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Visualead のサービスを使うと従来の白黒のものでなく、背景に馴染みやすいQRコードを作成することができる。同社のウェブサービスを利用してユーザが画像をアップロードし、URLを入力することでその画像に組み込まれた形でQRコードが生成される。作成するQRコードの数に応じて複数の料金プランから選択することができる。

Visualead の中国参入は今回が初めてではない。2014年5月には、同社は中国のFacebookとも言われ一時ブームとなったRenren(人人)とも提携しており、また上海に事務所を構え数名の中国人スタッフが在籍している。さらに同社ウェブサイトには会社ロゴが英語と中国語で表示されていることからみても、ターゲットとしているマーケットがどこなのか一目瞭然だろう。

Visualead のリリースによれば、Alibabaは同社が提供するTaobao(淘宝)やTmall(天猫)の出店者のマーケティング戦略にVisualeadを組み込めるようサポートするという。この中国のeコマース最大手であるAlibabaでは、荷物の追跡やマーケティング活動などあらゆる目的のために事業者がQRコードを生成できるMashangtao(碼上淘) という独自のQRコード事業も行っている。

AlibabaグループのMashangtao技術サービス部長 Zhang Kuo(張闊)氏は声明で次のように述べた。

Visualeadの主要サービスであるビジュアルQRコードの技術は、私たちのモバイルマーケティング戦略に貢献するとともに、私たちが中国においてO2Oブームを活用する力を高めてくれるでしょう。

Alibaba はこれまで2年間にわたり、多くの海外スタートアップに出資をしてきた。出資したいくつかの案件には、一般の人たちが気付くような成果が全く出ていないものがある。他の案件はもっと規模の大きなコラボレーションのようだ。AlibabaがQuixeyに出資すると、Mountain View に拠点を置く同スタートアップの初期のアプリ内検索技術は、Alibabaのモバイル用OS、Yun OS(阿里雲OS)に搭載された。AlibabaはQuixeyが上手く製品の調整ができるよう、実際には、傘下のUCWebやYouku(優酷)など多くの企業のテストベッドを大量に提供している。

この出資はまだ発表されたばかりだが、この時点で同様の道をたどりそうだ。中国のインターネット大手は、モバイル機器を利用したマーケティングや決済行動を店頭でショッピングする行動につなげるO2O技術に対し、積極的に出資している。Alibabaは中国ではeコマースやオンライン決済分野で主導的な役割を果たしている。Alibabaの最近の発表によると、同社のサードパーティーが運営する決済サービスAlipayの取引の54%はモバイル機器を利用したものだった。同社はAlipayのモバイルアプリAlipay Wallet(支付宝銭包)を利用しての店頭決済を促進するため、定期的にインセンティブを提供している。

しかし、Alibabaは中国のeコマース分野で優位に立ちながらも、手強いTencent(騰訊)、Baidu(百度)やWanda(万達)などの脅威に直面している。前者のインターネット大手2社は、小売店舗とオンラインショップを1つにすることに拘った合弁事業を不動産系コングロマリットと立ち上げている。3社がどのように事業を行うか詳細はまだ不明だが、Tencentのソーシャルネットワークでの優位性やeコマースに対する熱い思いは、AlibabaのAlipay Walletに対する熱い思いとも重なりそうだ。AlibabaはVisualeadのような企業に出資することでベンダーとのつながりを維持することができ、またそれが顧客離れを食い止めることにもつながっている。

ちなみに、AlibabaによるVisualeadとの取引は、同社にとってはイスラエル企業に対する初めての資本参加となる(参考までに、QuixeyやTangoの設立者はイスラエルとつながりをもっている)。しかし中国の出資者たちは、現在、周りに同調してイスラエルに対して強気にふるまっているだけである。Wall Street Journal9月号の記事によると、Lenovo(連想)、Ping An Ventures(平安創新)およびYongjin group(涌金集団)はそれぞれイスラエル企業に限定してベンチャーファンドを設立した。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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