WebRTCによる負荷分散システム「MistCDN」のMist Technologiesが、グローバル・ブレインから資金調達

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リッチコンテンツの配信に特化したCDNサービス「MistCDN」を開発・提供する Mist Technologies は、東京のスタートアップ特化VC であるグローバル・ブレインが運営する「KDDI Open Innovation Fund」から資金調達を実施したことを発表した。なお、調達金額や割当株式比率などについては、明らかにされていない。今回の投資は、Mist Technologies にとって、昨年9月のシリウス・パートナーズからの7,500万円の調達に続くものだ。

MistCDN は WebRTC を使った CDN(コンテンツ・デリバリ・ネットワーク)だ。WebRTC はサーバを置かず、Skype などと同じ要領でユーザ同士がウェブブラウザだけを使って、ピア・トゥ・ピアで通信が行える技術。MistCDN はネットワーク的に近い他のユーザから、データの配信を受けられる技術を確立しており、ネットワークに負荷がかかる視聴ユーザの多いリッチ・コンテンツの配信においても、Akamai、Amazon CloudFront、Limelight などの従来の商用CDNを利用せず、スムーズなデータ・トラフィックの確保が可能になる。

Mist Technologies は KDDI∞Labo 第6期の卒業生であり、同アクセラレータのパートナー連合プログラム参加企業であるテレビ朝日への MistCDN 導入が検討されているほか、KDDI の法人顧客への導入が決定している。

今後、Mist Technologies では調達した資金を使い、製品開発や事業展開の強化に加え、アメリカ市場への進出を始める意向だ。

WebRTC は、ユーザの増減に関わらず安定したデータ配信を可能にし、サーバ環境のスケールアウトが不要なので、大量のトラフィックが生じるサービスを提供しているのにもかかわらず、インフラ整備のためのコストを捻出できないスタートアップにとっては理想的なソリューションだ。しかし、技術的に複数レイヤーにわたる広範な知識が求められるため、日本国内で WebRTC をビジネスにしているスタートアップはまだ数多くない。

NTTコミュニケーションズは昨年、WebRTC を使ったアプリを開発できるプラットフォーム「SkyWay」を公開、またスタートアップの中では、公開されている情報では、SENSEI NOTEWebRTC が活用されている事例がある。

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KDDI∞Labo のデモデイでピッチする、Mist Technologies CEO の田中晋太朗氏(2014年7月・東京)

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