目利きした日本全国の技術を商品化して消費者に届けるプラットフォーム「Trinus(トリナス)」

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Trinus

日本全国の技術を発掘し、それを使った商品を企画・デザインして一般消費者が求める商品に落とし込む。そんな技術の発掘から、商品の販売までを一環して行うプラットフォームが「Trinus(トリナス)」です。先日開催したTHE BRIDGEの会員向けイベントにもデモ出展してくれていたトリナスの代表である佐藤真矢さんにお話を伺いました。

加工技術に集まるデザイン案は2ヶ月で70件超

2014年11月17日にローンチし、開始から2ヶ月弱が経ちました。現在、「マグネシウム合金製のパイプ・棒を変形する技術」や「ウェーブ状に張り合わせることで反りにくさを実現した無垢材」など計4つのプロジェクトが進行しています。例えば、前者のマグネシウムのパイプや棒を変形する技術には、既に70点を超えるデザイン案が集まっています。

トリナスの各プロジェクトは、日本全国の中小メーカーの技術を見つけて来ることから始まります。その後、その技術を使った商品のデザインをクリエイターから募集。集まったデザイン案に対して一般ユーザーが投票し、最終的に商品化が決まると最短4ヶ月ほどで製品化される流れ。トリナス初の商品は、今年の7月頃を目処に進んでいるそう。

商品化については、デザイン一つ一つに対して、ユーザーから集まる「Want it」の総数などを加味して決定されます。素晴らしいアイディアが複数集まれば、そのアイディアの数だけ商品化することも。メーカーによる製品の試作品が完成すると、量産に向けては国内外のクラウドファンディングを活用します。

yonanpさんが投稿したデザイン案
金属変形技術に対して投稿されたyonanpさんのデザイン案

前職にヒントを得て誕生したトリナス

トリナスが上手く機能するためには、技術力を持つ中小メーカー、またデザイナーの協力が欠かせません。ここには、前職のアクセンチュアで関わっていた中小企業支援事業や社会貢献事業の経験が大きいと話す佐藤さん。人を介して面白い技術について知ったり、また、社会貢献事業で培ったデザイナーとのネットワークも活かされています。

トリナスのアイディアそのものも、そうした経験から生まれたものです。

「社会貢献事業の一環が、障害者の方がより社会に参加して自立することを目的としたものでした。障害者就労施設などで雑貨などを作って生活費にしている方が多い中、なかなか売れない。そこで、デザイン案を公募して商品の企画に力を入れたところ、BEAMSでも取り扱われる「Pos(ポス)」という貯金箱が生まれました。アイディアを公募することのインパクトと、面白い技術を持つ中小企業支援を組み合わせたらどうだろう、と考えてたどり着いたのがトリナスです」(佐藤)

トリナスのプロジェクトでは、デザイナーには、アイディアが採用されると5万円、商品化されるとトリナスの売上げの3%が報酬として入ります。現在は、大手メーカーのデザイン室などで働く人が週末に案を提出したり、若手のクリエイター、また、芸大や美大の学生などが参加しています。将来的には、英語版を展開し、海外のデザイナーなどにも参加してもらえるようにしていきたいと話します。

まず目指すは定期的な商品化と海外版

まずの目標は、トリナスで毎月、新商品が出るような状態にすること。デザイナーを集めることはもちろんのこと、デザイン案を評価し、その先で完成した商品を購入してくれるユーザーを集めることに注力していきます。直近では、ユーザーのフォロー機能などを追加する予定です。

「技術の目利きと、デザインの目利き。この2つが肝だと思っているので、現在は協力してくれているクリエイターと一緒にこの部分に取り組んでいます。トリナス上でユーザーのニーズをもっと見える化して、技術とユーザーのニーズを近づける仕掛けを作っていきたいですね」(佐藤)

技術力はあっても、日々の製造業に追われてしまい自社製品の制作まで手が回らずにいる中小企業。彼らを発掘して企画や販路を補うことで、ニッチな技術が商品に姿を変え、広く一般消費者の手元に届いていくことに期待したいです。

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