顧客行動を指標化するNPS、半年で1000店舗に導入ーーwizpraがグリーV他から2.3億円を調達

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株式会社wizpra___顧客と従業員をファンにするクラウドサービス

顧客マネジメントサービスを提供するwizpra(ウィズプラ)は1月27日、グリーベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。

調達金額は総額で2億3000万円、内訳などの詳細や払込日については非公開。これに伴い、wizpraではグリーベンチャーズのパートナー、堤達生氏を社外取締役に、また早稲田大学大学院教授の東出浩教氏を監査役に迎える人事も発表している。

wizpraの創業は2013年3月。提供するのは顧客体験のマネジメントサービス「wizpra NPS」と従業員の体験マネジメント「wizpra card」の二つ。2014年8月から開始しているNPSは開始半年で既に飲食店やフィットネス関連を中心に1000店舗への導入が進んでいる。

利用料金はwizpra NPSが導入規模によって月額10万円から35万円、wizpra cardがユーザーあたり400円の月額課金となっている。同社では今回の資金調達を機に、組織強化に努めるとしている。

さて、このwizpraのNPSというサービス、元々はNet Promoter Score(NPS)というある指標がサービスのベースにあるのだが、なかなか興味深いものだった。まず彼らのサービスを紹介する前にこの指標について説明をしておこう。

NPSは顧客のロイヤリティを測定する指標のひとつで、質問事項としてシンプルに「あなたはこの製品(サービス)を親しい人に勧めますか?」というものだけを投げかけ、その回答を数値で測定する。

この回答数値が0から6までの場合を批判者、7から8を中立者、9から10を推奨者と分類、推奨者から批判者の割合(%)を差し引きした数値を「スコア化」する。従来型の訂正的なアンケートに比較してシンプルで数値化がしやすく、アンケートを取られる側も取る側も運用がしやすいのがメリットとされている。

wizpraNPSご説明資料

wizpra NPSはこの指標をサービスのコンセプトに据え、顧客に対してスマートフォン画面で回答が可能なアンケートサービスを提供し、その結果をリアルタイムに分析、集計するダッシュボードを店舗側に提供する。自由回答のアンケート結果は批判者、中立者、推奨者ごとに分類され、そこから抽出されたキーワードによって視認性をよくするなどの工夫をしている。

ダッシュボードイメージ2

「米国ではやはり同様のMEDALLIAというサービスをAppleが導入するなど、多くのメーカー、事業者が最重要KPIとして採用しているのがこのNPSなんです」ーーこう説明するのはwizpra代表取締役の今西良光氏。元々メーカー営業からキャリアを開始し、その後アパレルメーカーで店舗マネージャーを経験するなど、組織や顧客マネジメントを現場で経験してきた人物だ。

「NPSの良さは売り上げに直結、連動している指標だということです。現在、wizpra NPSを導入してもらっている店舗からは、データがリアルタイムに入ってきてお客さんの声を見える化できた、とか、セグメンテーションができるようになったのでロイヤリティが高い人、低い人を分類してそれぞれ次回来店時の対応を変える対策ができるようになった、などのフィードバックを頂いています」(今西氏)。

このようにして前述の通り、開始半年程度で1000店舗が利用するサービスに急成長、利用企業もイベントなどの業種にまで拡大しているということだった。

ただ、問題はアンケートの回収率だ。どれだけ指標がよくても顧客にはあまり関係ない。アンケートの体験性が悪いと、サービス自体の良さを毀損することに繋がりかねない。

アンケート画面(商品)アンケート画面(ブランド)

ただ、この点についてもNPSという回答方法が楽だったからか、それとも回答へのインセンティブが効果的だったからか、明確な答えがあるわけではなさそうだったが、アンケートへの回答率は紙のものに比較して高くなっているという。

また、従来顧客情報を取りにくかったスポーツイベント(実際の事例ではバスケットボールの試合など)での顧客情報取得にも効果を発揮しているという話もあるそうだ。もしかしたらスマートフォンのインターフェースが回答しやすい、という部分も影響しているかもしれない。

バスケットボールリーグで配布されているパンフレットにアンケート用のQRコードが入っている
バスケットボールリーグで配布されているパンフレットに入っているアンケート用のQRコード

こういった顧客マネジメント関連のサービスは、とにかくエンドユーザーがストレスなく、また自然に回答をできること、情報を集める従業員サイドがある一定のモチベーションを持って、積極的にこのKPIにコミットできること、さらに管理者がこれを分析して次の戦略に活かせることが重要なポイントになってくる。

そういう観点でこのNPSという指標はシンプルで、店舗側にとっては追いかけやすいKPIという印象だった。エンドユーザーの回答ストレスが限りなくゼロに近づけば、効率的な顧客マネジメントが実現できるのではないだろうか。

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