ユーザ数300万を超える会計アプリの「Zaim」、国や自治体の給付金や医療費控除のもらい忘れを防ぐツールの提供を開始

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会計アプリのZaimは1月16日、国や地方自治体の給付金情報を集約・抽出するツール「わたしの給付金」、および医療費控除が受けられるかを自動判定して申請書類を生成するツール「わたしの医療費控除」の提供を開始した。最新版のZaimアプリからも利用可能となっている。

これまで、家計簿アプリとして多くの人たちに利用されてきたZaimが、今度は家計簿から合致する可能性がある給付金を自動で抽出し、受けられる手当や給付金を教えてくれるというもの。もちろん、住んでいる地域や自治体によって受けられる手当が違うため、Zaim内で情報を集約し、一覧化し、利用状況によって自動で抽出してくれるというものだ。これによって、忙しくて行政のウェブサイトなどに見に行けない人にとっても、探す手間が省かれ、受給対象である給付金があるにもかかわらず、情報を知らなかったばかりに受けられなかった機会損失を防ぐというものだ。

まずは、東京都23区および神奈川県横浜市・川崎市の合計892種類の給付金から利用が開始される。2月以降には、県庁所在地を中心に全国展開するとのこと。

医療費控除においても同様で、過去4年間の会計記録から医療費控除対象となる可能性がある支出を自動的に割り出してくれる。また、医療費控除を申請する書類における「医療費集計フォーム」を自動的に作成する機能もあるため、申請書類の準備の手間も省けるようになる。

お金を通じて、ひとりがよりよい選択ができて、豊かな生活を送れるために

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2014年12月の時点で、300万人を超えているユーザに利用されてきたZaim。最近では、auスマートパスに加わり、個人開発者向けのAPI公開だけでなく、2014年からは弥生会計の弥生や、NTTコミュニケーションズなどへ法人向けにAPIの提供を開始している。弥生の場合は、弥生の青色申告オンラインなどにもZaimのデータが取り込めるようになっている。

今回のツールを提供するきっかけとして、2014年7月にZaim 3周年イベントとして、ファイナンシャルプランナーに相談できる企画が大きかったと、Zaim代表の閑歳孝子氏は語る。

「イベントを通じて感じたのは、お金に関する基礎的な知識が不足して本当に困っている人が多く、そんな方々の行動を変えるサービス設計にしなくては、ということでした。知ってて当たり前、検索したらわかる、ではなく、基本的なことから丁寧にサポートしていくことが必要だと感じました」

その最初のアイデアとして、確定申告で申告する人が多いという医療費控除を機能として組み込めないかというアイデアがでたという。医療費は年間10万円を超えていたら戻ってくる、ということはなんとなく理解している人がいても、それが何が対象でいつまでに申告したら大丈夫か、どうやって申請すればいいのか、といったことをサポートする機能を追加しようと取り組み始めた。

さらに、医療費控除を調査する過程で、医療費以外にも返還されるお金や給付金について調べたところ、各自治体で取り組みがなされてはいるものも、普段なかなか一般の人が目に触れる機会がなく、一覧になっていなかったり探しづらい、などの課題が見えてきた。

「本来、もらえるものがもらえなかったり、自分が該当するのに見つけられない、知らなくて機会損失している人はいるのは問題だと考えました。色々調べたら、実は自治体は色んな補助金や助成金、障がい者やひとり親、地震関連の給付金の制度を設けているんです。けれども、それらを私たち自身が知らないというディスコミュニケーションが起きていることが問題と感じました。議員の人にも話を伺ったら、地方自治体の立場からもぜひ活用してもらいたいのに、制度が知られていないのが課題という声もあり、そこをつなげられないかな、と考えました」

こうした経緯から、医療費控除だけでなく、該当する給付金を見つけやすくするために、各自治体の情報を集約し、今回のサービスへと至ったのだ。

「お金って暮らしの判断を支える重要なツールだと思うので、そこを土台にひとりひとりがよりよい選択ができて、楽しみや思い出を増やせるようにしたいと考えています。お金を通してひとりひとりの暮らしを楽しく・いいものにしたいという気持ちで運営しているサービスとして運営しています。

分かりやすい機能として家計簿をうたっていますが、Zaimにとっては機能の一つ。これまでは記録する、振り返るということに重きを置いていましたが、2015年はっと先を見据えた、広い意味での「家計サービス」を展開していきたいと思っています。給付金や医療費控除は多くの人の家計に関係することですし、何よりも本当に困っている人にこそ知ってほしい情報・やってほしい作業。制度の複雑さや地域によってバラバラなものを、もっと効率的にできるような提案を通じて、個々人の行動や判断を変えるようなツールをいくつか出していければと考えています」

お金という一つの手段を通して、暮らしている人の日々の生活を豊かにする。テクノロジーによる日々の暮らしのあり方が少しづつ変わっていくような気がする。誰もが生活していくために必要なお金について、みんなが能動的に意識をして使い、そして振り返り、さらに給付や受給可能な人は行政などからのサービスをしっかりと受けること。こうした地域と個人の関係が広がっていくことを期待したい。

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