中国で教育アプリを開発するBabyBus(宝宝巴士)は、未就学児向けの教育ゲームやその他のコンテンツを制作し、モバイルアプリストアや最近ではスマートテレビのアプリプラットフォームを通じて販売している。同社がモバイルに集中しようと決めた2010年以降、80以上のアプリが開発された。
BabyBusの設立者兼CEOのTang Guangyu(唐光宇)氏は、多くの中国テック系起業家たちと同様の考えを持っている。デジタルコンテンツやアプリは無料で提供されるべきで、プレミアムサービスに頼らなくても、収益はいずれ相互補助的に生まれるという考えだ。Qihoo 360(奇虎360)はしばしばこのモデルの成功例として引用される。無料のオンラインセキュリティサービスから得られたユーザを広告を通じて他社のゲームや検索マーケティングへ誘導することでマネタイズしているのだ。
しかし、主な市場を中国本土に持つQihoo 360とは異なり、BabyBusは2011年以来、アプリを国外に輸出している。中国のアプリ開発者の多くが海外市場に目を移す理由は、それらの市場の多くではAppleのApp Storeのユーザはアプリに料金を払うことに抵抗がないか、アプリにお金を費やす余裕があると考えているからだ。一方、BabyBusは前述のフリーモデルが地域を問わず機能すると考えている。しかし、アプリを無料で提供すればいいというものではない、とTang氏はいう。ユーザにとっては他の無料アプリに乗り換えるのは簡単なことであるため、彼らのアプリが最高の品質でなければならない。
現在、コンテンツのライセンス供与と、インターネット接続されたデバイスへのプリインストールが同社にとって2つの収入源である。BabyBusはベンチャーキャピタルのShunwei Capital Partners(順為中国互連網基金、Xiaomi=小米のCEOであるLei Jun=雷軍氏が共同設立)およびTAL Education Group(好未来教育)からの投資を2013年と2014年にそれぞれ受け入れた。
海外に輸出されたサービスは9ヶ国語での利用が可能だ。同社によると、合計4000万人を超えるユーザがおり、うち半数以上が中国本土で、350万人が台湾、香港、マカオといった大中華圏のユーザだという。
海外展開が日本や他のアジアの国・地域から始まったのは、アジアの文化においてコンテンツが受け入れられやすいと考えられたからだ。BabyBusのアプリにはパンダが2匹必ず登場する。パンダは中国固有のものだが、アジアに限らず世界中の子供たちが好むだろうと同社は考えている。BabyBusは様々な国からスタッフを採用しており、リリースされたコンテンツがその地に住む親子に確実に受け入れられるようにしている。
同社はこれまでコンテンツに関する問題に直面したことはないが、アプリの配信方法については別である。2014年12月、ユーザのGPS情報の取得に際して保護者の許可を得ていない点について、Federal Trade Commission of the U.S.(FTC)が警告を行っている。同社によると、BabyBusはGPS情報がパートナー解析サービスで収集されていたことを後になって知ったものであり、結局この機能は使用できなくしたという。
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