投資先50カ国1,000社を超えた500 Startups、2015年の注目市場と日本への期待感をDave McClureに訊く

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筆者は比較的海外に出ることが多い方で、旅程を管理するために TripIt というサービスを長年使っている。TripIt には、自分とつながりがある人が、どれだけ移動しているかをもとにランキング表示してくれる機能が備わっているのだが、筆者のソーシャル・グラフでは常に最上位にいる人物が居る。Dave McClure だ。

500 Starups の設立パートナーであり、いわゆるペイパル・マフィアの一人でもある彼は、世界のあらゆるスタートアップ・シーンで目撃されている。忙しい人物なので、なかなか面と向かって話を聞く機会は無いのだが、東京の投資家や起業家と会うことを目的に来日中で、500 Startups の近況や最近のスタートアップ・シーンの動向についての彼の洞察を聞くことができた。

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(本稿における引用は、いずれも Dave McClure の発言を翻訳したもの)

ファンド成績は好調

500 Startups は2010年7月の設立以来、500 Startups Global Funds として3つのファンドを組成している。現在は、2013年10月にスタートした第3号ファンドを運用中で、今回の Dave の来日はその追加資金を調達する意図が大きいようだ。ファンドの運用成績は順調とのことで、日本の企業からもさらなる資金を募って投資活動を強化したい、と鼻息は荒い。

これまでに50カ国1,000社以上投資してイグジットは40社ほど。IPO はまだ無いけど、その可能性を伺っている会社はいくつかある。大きなイグジットで言えば、4億ドルで買収された MakebotGoogle が買収した Wildfire楽天が買収した Viki などだ。

日本にいると、アジアやアメリカにおける投資活動ばかりが目立つが、500 Startups のファンドは常にグローバル・フォーカスだとのこと。中東やラテンアメリカなどにも投資範囲を広げている。

投資以外のインキュベーションやメンタリングという点では、基本的に各地域の既存の投資家らと協力している。ただ例外として、メキシコだけは自前で活動を行っている。シリーズA前のスタートアップに、グロースハッキングを促すようなプログラムだ。

アジアでも、マレーシアではスタートアップ数社に小さなプログラムをやってうまくいった。今後は、他の地域でも、このような活動は広げていけるだろう。ベイエリア(=シリコンバレー)でも、シードのポートフォリオ企業を支援する活動を行っている。

メキシコやマレーシアでは、500 Startups 自らがスタートアップ支援の活動を行えるのは、彼らのパートナーが現地にいるからだろう。投資という点では世界中にネットワークを張り巡らせた 500 Startups だが、今後は世界各地で資金注入以外のスタートアップとの関わりも強化していくようだ。

日本と韓国の体制強化が今後の課題か?

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Yahoo Japan で要職を務めた経験を買われ、約2年にわたり 500 Startups のマネージング・ディレクターを務めた George Kellerman が昨年、ワシントン DC の Crystal Tech Fund に移籍した。日本人以上に日本を知る George をボードから失ったのは、日本企業からの資金調達や日本のスタートアップへの投資を強化したい 500 Startups にとって大きな痛手だっただろう。

500 Startups のアジアでの体制を見てみると、東南アジアはマネージング・パートナーの Khailee Ng が統括しており、中国や台湾など大中華圏はパートナーの Rui Ma(馬睿)が見ている。Makeleaps のように、日本にも 500 Startups から資金提供を受けているスタートアップは存在がいるものの、いかんせん、日本や韓国市場における手薄感は否めない。

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そのあたりを Dave に聞いたところ、どうやら、近いうちに、日本や韓国にもそれぞれの市場に特化した、パートナーかそれに似た人事の配置を考えているようだ。Makeleaps の Jason Winder は、事あるごとに日本からスタートアップ・シーンの現況を Dave に伝えているようだし、Cubie Messenger の共同創業者 Cjin Cheng(程希瑾)は 500 Startups の EIR (Entrepreneur-in-Residence) となって、500 Startups の台湾における活動をバックアップしている。

彼らの世界に拡がる起業家ネットワークをもってすれば、敏腕の適任者が発表される日もそう遠くないだろう。

インドと韓国に注目

世界を飛び回り、数々のカンファレンスで威勢のいいコメントを放つ Dave なので、「世界のスタートアップ・シーンを知る立場から聞きたいのだが…」と話を向けてみたところ、彼は謙虚にも自分がわかる範囲でと断った上で、注目している市場について共有してくれた。

インドは、この1年くらいで躍進してきた。選挙で新しい首相が選ばれてからだ。ソフトバンクもインドに100億ドルの投資を表明している。数年前からは状態が大きく変わった。

東南アジアもそうだ。インドネシアを皮切りに、タイなど。Rocket Internet や Sequoia などの投資も台頭してきている。韓国は政府の実践的な投資やサポートが功を奏している。

中国はにぎやかだが、シリーズA のスタートアップらのバリュエーションが高い。90年代後半のアメリカを見ているようだ。

ソフトバンク以外にも日本からは Beenos などが、インドのスタートアップへの投資を強化している。以前から拠点を持つサイバーエージェント・ベンチャーズに加え、グローバル・ブレインもソウル・オフィスの開設を発表するなど、韓国のスタートアップ・シーンへの注目は急激に高まりつつあるようだ。

しかし、Dave は日本のより多くのスタートアップに投資し、500 Startups の活動に参加してほしいとも考えている。今回の東京滞在中には、都内でイベントが企画されている(動画中継も有り)ようなので、これらの機会に自らのスタートアップの可能性を売り込んでみてもいいかもしれない。

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