競合を追い抜き9ヶ月で180万DLを突破、ユーザーの半数が7日間連続ログインする「Couples」のグロースハック術

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Couplesを運営するエウレカのCEO 赤坂優さん
Couplesを運営するエウレカのCEO 赤坂優さん

累計180万ダウンロードを突破し、2月9日に全国でTVCMの放映を開始したカップル向けアプリ「Couples」。このニュース、注目すべきはその期間。競合アプリはそれぞれ3年で「Pairy」が60万ダウンロード、「Between」が日本国内で170万であるのに対して、Couplesは9ヶ月で180万ダウンロードに到達しています。

一気にダウンロードが伸ばせる魔法があるはずもなく、それはASOやリファラルなどの地道な施策と努力を繰り返した結果の賜物。Couplesを運営するエウレカのCEOである赤坂優さんに、Couples流 グロースハックについて伺いました。

二極化したCMへの反響:「ポジ・ネガも含めてバズ」

CouplesのTVCM
CouplesのTVCM

Couplesが取った具体的な施策の話に入る前に、先日公開されたTVCMについて聞いてみました。まとめると、初のCMにしては一定の効果を得られたというところでしょうか。CMを見た人がApp StoreやPlayストア、検索エンジンでCouplesを検索してインストールするといったクロスマーケティングが発生し、TVCM単体でダウンロードに直結したということはなかったものの、全体としてかけたコストに対するCPIは見合ったと振り返ります。

そもそも、Couplesのようなアプリはプロモーションが難しい面があると話す赤坂さん。これまでTVCMを行ったことがあるニュースキュレーションアプリやフリマアプリは、どれも新聞やフリマといった消費者にとって既に馴染みのあるものをデジタル化したもの。一方のカップル向けアプリは、置き換えるものがまだ世にない全く新しいサービスです。

Couplesが全国の10代から30代までの男女を対象に行った事前認知調査では、カップル向けアプリの認知率はわずか15%に留まりました。10代は他の世代に比べて若干認知率が高いものの、それでもほぼ知らないに等しい。そんな現実に対して、見た人が共感できる恋愛ドラマ仕立てのCMを展開することで、カップル向けアプリの「新常識化」をテーマにCM放映に踏み切りました。

「恋人間のコミュニケーションを繋ぐアプリがあるということを伝えたいと思いました。CMへの反響は二極化してますね。カップル向けアプリなんてあるんだ!というポジティブな反応と、「リア充向けアプリでしょ」といったネガティブな反響と。でも、ポジもネガも含めてバズだと思っています」

特定キーワードでNo.1を獲得したASO対策

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ユーザーがCouplesを見つけてくれるようにリリース初期から強化しているのがASO(App Store Optimization)です。「カップル」や「カップル専用アプリ」といった特定のキーワードで、先行して展開している競合を抜いてアプリストア上位を獲得するにはどうすればいいのでしょうか。

順位に影響する要素の一つが、レビュー数やその評価。最大のライバル Betweenのレビュー件数が累計5,000件弱であるのに対して、Couplesは累計70,000件弱を獲得し、現在では「カップル」や「カップル専用アプリ」の検索で1位に躍り出ています。

ユーザーから高く評価してもらうには、普段からユーザー体験にフォーカスしてプロダクトを作って行くしかありません。Couplesがそれを忠実に実行している証拠として、平均4.5の評価を得ています。

ソーシャルからの流入を加速させるリファラル施策

2人だけで使うカップルのためのアプリ。あまり外に共有されないのかと思いきや、Couplesのダウンロードの多くがソーシャル経由です。最も流入が多いのがTwitterで、それに次いでLINEとFacebookと続きます。シェアしてもらえるようにインセンティブを提供したり、思わずシェアしたくなるような利用シーンを上手く活用したりしてリファラルを増やしています。

リファラルポイント1:写真の同時アップロード枚数制限

2人で撮った写真を溜めていくことができるCouplesのアルバム機能。ラブラブのカップルは一緒に撮る写真の枚数が多く、一度に大量の写真をアップロードします。ご丁寧に1枚1枚アップロードしていられないし、できるだけ簡単かつ早くアップロードしたい。リファラルすることで、通常は同時に15枚のアップロードを50枚まで増やせるようにしています。

また、写真を投稿する際のユーザー負荷を最小限にする工夫も忘れません。大事な写真をアップロードしている最中にサーバーの応答が遅くなってユーザーを苛々させてはいけない。そんな事態を防ぐため、ユーザーが写真を選択し、アルバムに保存するボタンを押した時にはアップロードが完了しているというスムーズかつスピーディーなユーザー体験を実現しています。

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リファラルポイント2:大切な記念日を彩るメモリアルカード

2人の記念日やイベントを管理することができる記念日カウントダウン機能。例えば、「ホワイトデーまであと20日」といった形、イベント当日までの残り日数をカウントし2人の気分を盛り上げてくれます。イベントの上部にある枠には、アルバムでユーザーがお気に入り登録した写真が自動で表示されます。2人で記念日を祝うだけでなく、そこに表示されたメモリアルカードを「今日で付き合って1年5ヶ月」といった具合にそのままSNS等で周囲にシェアすることも。

大人からすると、「よくもそんなふうに世間に対して発信できるな」と恐れおののいてしまいますが、これも時代の流れ。特に最近の若者たちにはTwitterアカウントを複数持っていることが珍しくなくなっています。本アカウントには知り合いがいて恥ずかしい場合は、サブアカウントで恋人との近況を共有するんだそう。

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リファラルポイント3:コミュニケーションとしてのふたりのQ&A

カップルが写真の他に頻繁に楽しんでいる機能が、ふたりのQ&A。例えば、「手をつなぐ、腕を組む、どっちが好き?」など、カップル同士が同じ質問に2人で回答し合う機能です。CouplesのTVCMにも、このQ&A機能をテーマにしたものがありました。

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このQ&A機能の下部にあるのが、また別のリファラルポイント。「私たちの場合の回答はこうです」とQ&Aへの2人の答えをカップルがソーシャルメディア上に発信していく。若者向けのサービスに共通しているのが、サービスの使い方をユーザー自身が編み出して行くこと。Couplesも同様で、複数のQ&Aの回答結果を一枚のキャプチャにまとめてシェアするユーザーが増えています。

「Twitterで「カップルズ Q&A」と検索すると、この結果がたくさん出てくるんです。このように、頼まずともユーザーが自発的にシェアしてくれた結果ユーザーがさらに増えていっています。こちらが想定していなかった使い方をしてくださるようになったりするので、見ていて興味深いですね」

この機能に関しては、カップルではない人たちによる利用ケースも確認されていて、その一つがアイドルグループのAKB48です。メンバー間でQ&Aに答えて、それがTwitterなどでシェアされてファンなどを中心に盛り上がる。最近では、AKB48の倉持明日香さんとNMB48の梅ちゃんこと 梅田彩佳さんがCouplesを使ってくださっています。その中で梅田さんが「中学・高校の部活はなんだった?」という質問に「和太鼓」と渋く回答したことがバズったそう。

目指すはカップルにとってのデイリーツール化

目指す究極のゴールは、毎日使われるようなサービスにすること。ユーザーに毎日帰って来てもらう、毎日使ってもらうための工夫を次々に施しています。

毎日19時に届く2人への質問

例えば、「今日のQ&A」。前述のQ&A機能には、デフォルトで約400項目のQ&Aが用意されています。なんとラブラブなカップルはこれを登録したその日に回答しきってしまうのだとか。

「初めて会ったときの第一印象は?」「意外と似ているところは?」「ハネムーンはどこに行きたい?」「付き合う前に行った思い出の場所は?」「犬派?それとも猫派?」「相手に正直もらいたくないプレゼントは?」など、自分から聞きにくいこともCouplesのQ&Aが代わりに聞いてくれる。

これらの質問に回答しきった後も、アプリには毎日19時に新しいQ&Aが届くため、ユーザーが毎日Couplesを開くトリガーになっています。最近は、LINEの大量のグループチャットや返信するプレッシャーに悩む若者の声も聞かれます。一人の恋人とやり取りするCouplesならそんな心配もなく、むしろ毎日積極的に開きたいアプリというポジションを獲得しています。

祝日もわかるカレンダー機能とLINEチャットのエクスポート

カップルが喜ぶことを考えて作られたCouplesのカレンダー機能。他のカップルアプリが土日のみを表示するのに対して、Couplesでは祝日も含め全ての休日、さらには週間天気予報を表示。祝日や連休の予定やその日の天気予報が一目でわかり、事前にデートの予定を立てることができます。

またCouplesは、ユーザーがエクスポートしたLINEやBetweenのトーク履歴をCouplesにインポートすることも可能。LINEのグループチャットなどに紛れてしまっていた彼氏・彼女とのチャットをCouplesにお引っ越しさせて、過去のやり取りをさかのぼって2人の空間を新たに育むことができる。ユーザーがCouplesにインポートしたLINEトークの数は累計7億件を超えています。

全体の50%超の7日間連続ログインはトークで育む

image_talkデイリーツールになるためにCouplesが重要視する指標が、7日間連続ログイン率です。既に、全カップルのうち半数以上が7日間毎日ログインするロイヤルユーザーなんだそう。

アルバム、カレンダー、Q&Aなどカップルが欲しそうな機能や2人の関係をより密にしてくれる機能で盛りだくさんなCouples。連続ログインしているカップルの共通点を調べたところ、トークやQ&Aなどコミュニケーションに直結する機能の利用率が比較的高いことが判明しました。

「分析の結果、Couplesへのロイヤリティを高めるのは『ふたりだけの特別感』だということがわかっています。アプリをダウンロードして最初のチュートリアルを突破したら、まずその過程でふたりだけのアプリを作っていくメイン機能の利用を促して早めに成功体験を味わってもらう。こうして細かいチューニングを繰り返すことで、7日間連続ログイン率のアップを図っています」

可能な限りのASOやリファラル施策を実施するCouplesですが、まったく価値のないアプリが同じことをしたとしたら、瞬く間にユーザーは離れてしまうでしょう。カップルにとって貴重なユーザー体験を提供しているからこそ、様々な施策が機能する。Couplesが9ヶ月で180万ダウンロードを突破した手法が皆さんの役に立ちますように。

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