立ち上がりフェーズを終え、スマートトイ「Moff」は今年次のステージへと進む

by Junya Mori Junya Mori on 2015.2.4

2014年はハードウェアの話題が数多く登場した一年だった。

Nestが32億ドルでGoogleに買収され、Oculus Riftは20億ドルでFacebookが買収AppleはBeats Electronicsを30億ドルで買収し、GoProのIPOもあった。ドローンや自動運転車、ロボットに関する話題も多く、ハードウェアが好きな人にとってはワクワクが途切れない一年だったことだろう。

筆者の印象に残っているのは、日本のハードウェアスタートアップによるプロダクト「Moff」の躍進だ。一年ほど前、THE BRIDGEの虎ノ門のオフィスにてプロトタイプを見せてもらっていたプロダクトが、2014年の終わりには市販され、世界に送り出されている。

2014年躍進した「Moff」

スマートトイ「Moff」を一番最初に目にしたのは、2013年10月に開催された「第6回SF Japan Night」のステージだった。当時も動きを計測し音を出すというコンセプトは同じだったが、そのときはまだウェアラブルではなく、手に持っているものに装着するタイプだった。

その後、改良を行い、ウェアラブルなおもちゃとなった「Moff」が発表されたのが2014年の2月。プロダクトを発表した翌月には、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」にプロジェクトを掲載。SXSWやモバイル・ワールド・コングレスなど海外カンファレンスにも出展し、海外メディアに取り上げられた。

2014年4月には目標の4倍近くの金額を集めてプロジェクトを達成した「Moff」は、7月にプロダクトの予約受付を開始10月に販売を開始するに至った。



「Moff」の2014年を振り返る

Moff 代表取締役の高萩昭範氏
Moff 代表取締役の高萩昭範氏

Q:2014年、Moffは大活躍でしたね。

高萩氏:ありがとうございます。でも、個人的にはもっとスピードを上げられたのでは、と思っています。

Q:まだまだスピードの上げようがあったと。

高萩氏:私たちはハードウェアスタートアップではあるものの、ソフトウェアを開発し、プラットフォームを作ろうとしつつ、アプリも作っいます。手がける領域が広いので、関わる人もたくさんいます。一緒にやりたいという声をたくさんいただいていたのですが、応えられていなかった。色々なリソースを集めることができていれば、今のステージは違ったと思います。

ハードウェアスタートアップならではの部分

Q. スピードを上げられなかった要因はなんだったのでしょうか。

高萩氏:ITスタートアップと比較してお話すると、ハードウェアスタートアップはデバイス開発や生産にかかるコストが高くなるため、人材にかけられる費用が少なくなります。

Q. ハードウェアスタートアップでは、資金調達についてもITスタートアップとは違う考え方が必要になりますよね。

高萩氏:そうですね。まだ成功事例がないため確証を持てるまでには時間がかかります。VCから資金調達ができない代わりにKickstarterで資金調達を行ったのですが、その際もストレッチゴールのストーリーを事前に描いていなかったため、目標金額は達成できましたが、まだ上を目指すことができたと考えています。

Q. ソフトウェアと比較するとハードウェアはユーザの反応を見るまでに時間がかかってしまいますよね。プロダクトに人々がどう反応するのかということを知るためにもKickstarterは役立ちました?

高萩氏:反応を知るのにはかなり役立ちましたね。ただ、プロダクトは届けてなんぼなので、第一ハードルがクリアできているかどうかの確認にはなりますが。

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Q. 今後は資金調達も考えている?

高萩氏:現在は、資金調達も検討しています。確証を持てるようになってきたので。逆に言えば、確証を持つ前に投資を受けるのは怖い面もあったので、ようやく準備が整ってきたと言えますね。

海外に出展してみて

Q. Kickstarterの掲載以外に、実際に海外に行くことはやはり重要でした?

高萩氏:それはありますね。北米では「テックトイ」のカテゴリは非常に人気で、2200万人潜在ユーザがいると言われていて、マーケットができています。ユーザの準備が出来ている状態なので、良いフィードバックをもらうことができました。

Q. 昨年は何度も海外に行かれていたかと思うのですが、海外で学びになったことはありましたか?

高萩氏:フランスの「ジャパン・エキスポ」、スペインの「モバイル・ワールド・コングレス」、ルクセンブルグの「ICT Spring」、アメリカの「ウェアラブル・テクノロジーズ・カンファレンス」「Digital Kids Summit」「SXSW」、上海の「Bluetooth Asia」などに参加しました。学んだことは色々ありますが、ハードウェアにおけるマクロの流れを確認できたこと、北米のプレイヤーの中でのポジションを確認できたことなどがあります。ハードとしての強みは相対的なものなので、ポジションを確認できたことは大きかったですね。

Q. その他に印象に残ったことはありました?

高萩氏:北米でも欧米でも日本はなぜウェアラブル、IoTのスタートアップが少ないのかと聞かれましたね。あとはBluetooth Asiaでは「第一次ウェアラブルの波が終了した」といった話が出てました。

Q. 第一次ウェアラブルの波が終了とは?

高萩氏:これは非常に面白い話で、2014年は色々なウェアラブルデバイスが登場しましたが、需要は一巡して、プレイヤーも飽和状態になっていて、これは明確なユーザ体験がない、ユーザの行動に変化を及ぼさないという点が問題だとされていました。何かユーザに具体的なアクションを提供すること、アルゴリズムを提供することが必要だ、ということが話されていました。

Q. 何かユーザに具体的な価値を提供する必要があると。

高萩氏:そうですね。「ウェアラブル・テクノロジーズ・カンファレンス」では、スポーツ特化など特定の用途に特化したウェアラブルデバイスが発表されていました。新しい領域なので、体験は明確化しないといけないなと思いますね。そういう意味では、Moffはセンサーでは技術的なことを使っていますが、体験は子どもで使えてわかりやすい体験になるようにしています。

ハードウェアの面白さ

Q. ハードウェア領域で活動していておもしろいなと感じる部分ってありますか?

高萩氏:GoProはブランディングとディストリビューション力、それにファイナンス(資金調達)の上手さで上場までいったんですよね。実はハードそのものじゃない部分の要素が大きいんです。成功する際の変数が多いのは面白いですよね。

Q. 日本のハードウェアスタートアップももっと盛り上がってほしいと思いますか?

高萩氏:日本発のハードウェアスタートアップは増えてほしいですね。業界として盛り上がると、出資も出やすくなると思いますし、情報共有もしやすくなります。量産する際に必要になる工場の人の目も今より厳しくなくなると思いますしね。

Q. 2015年の展望を聞かせてください。

高萩氏:今は子どものおもちゃとしての体験がメインですが、徐々に大人も楽しめる音楽体験やヘルスケアなど、他の体験も提供できるようにしていきます。2014年で色々仮説検証などは終えたので、あとはどこまで深堀って、どこまで広げていくか。また、米国の店舗で実験を始めています。売り方もリーンでやっていけたらと。ニューヨークで開催される「Toy Fair 2015」に出展予定なので、そこで商談するときのために、店舗での実績も含め、色々準備していけたらと思っています。Toy Fairでは同一会場で行われるカンファレンス「Digital Kids Conference」へのパネル登壇も決まっていて、「Generational reach into their digital roots」というテーマで話す予定です。

インタビューここまで

2014年、Moffは立ち上がりのフェーズを終えた。彼らは今年、新しいことや世界への取り組みにチャレンジしていく。プロトタイプ段階から見てきたハードウェアスタートアップが、今後どうなっていくのか。引き続き注目していきたい。

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