.comドメインの誕生から30年、これまでの歴史を振り返る

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via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.c
via Flickr by “Julian Burgess“. Licensed under CC BY-SA 2.0.c

1985年3月15日。この日が特別な1日としてあなたの記憶に残っている可能性は、そう高くはないだろう(もしかすると、あなたは生まれてもいないかもしれない)。この日が何の日かというと、.com(ドットコム)というドメイン名が初めて産声をあげた日だ。その日もまた、今日と同じく30年前の3月第3週目の週末だった(編集部注:原文掲載3月14日)。

この日、コンピュータの製造を手がけるSymbolicsという企業がSymbolics.comというドメイン名を登録している。当時はどんな言葉でもドメイン名に使うことができた。それこそ、地球上に存在するどんな言葉や名前でも使えたが、同社の名前を考慮すれば、 Symbolics.comというドメイン名は1番的を射たものだった。

このドメイン名は今現在も現役であり、インターネット上に現存する最古の.comとして正式に認められている。もっとも、2009年にXF.comという小規模の投資グループに売却されており、持ち主は変わってしまっている。現在のサイトの「About」ページによると、いまは「ビジネスとインターネット史に関係のあるユニークな情報、興味深い事実」を提供しているそうだ。

上: 現在の Symbolics.com
上: 現在の Symbolics.com

「ドットコム」はいつしか「インターネット」とほぼ同じ意味になり、バブルの形成に力を貸した。そのバブルは、シリコンバレーとその外の世界で多くの人の夢と希望を粉々にする結果となった。とはいえ、ドットコムがまだ初期段階にあった頃(ちなみにこの当時World Wide Webは実現さえしておらず、その考案者であるTim Berners-Lee氏の頭の中にしか存在していなかった).comドメインはなかなか普及しきれずにいた。

1987年までに登録されたのは、たったの100ドメインにすぎない(ちなみに、当時は米国国防総省がドメイン名の登録を扱っていた)。この時の最初のドメインの多くは現在の有名ブランドが取得したものだ。一例を挙げると、Xerox.com(1986年1月9日)、HP.com(1986年3月3日)、IBM.com(1986年3月19日)、Intel.com(1986年3月25日)、Adobe.com(1986年11月17日)、Apple.com(1987年2月19日)などがそうだ。

1990年はインターネットにとって重要な年だ。この年、スイスにあるCERNの1室でWorld Wide Webが誕生した。まともに使えるインターフェイスがインターネットに与えられた瞬間である。それまでのインターネットも昔ながらのありきたりなテキストを通信できたが、ウェブの登場で音声や画像も伝達できるようになった。また、一般向けの美しい外見といったユーザを意識したインターフェイス、すなわち「ユーザインターフェイス」が取り入れられたのもこの時だ。

それから25年の間に、数々の画期的なドットコムが誕生することになる。1993年のMicrosoft.comを皮切りに、AOL.com(1995年)、Amazon.com(1995年)、eBay.com((1995年)、Google.com(1997)、Facebook.com(2004年。当初のドメインは「thefacebook.com」だった)、YouTube.com(2005年)、Twitter.com(2006年)などが次々と産声を上げた。

上: 1995年の Amazon.com
上: 1995年の Amazon.com

ドメイン名(とりわけ.comドメイン)の登録業務はNetwork Solutionsという会社が手がけていたが、2000年の買収を経て、同社はVerisignの子会社となった(この時点で登録ドメインは2000万件を超えている)。Verisignは今も公に認められた.comドメインの管理会社であり、早くとも2018年まではその権利を保持することが決まっている。

そして2015年現在、.comドメインは毎秒何件というすさまじいペースで登録されている。筆者が最後に確認した時点での登録ドメインは、およそ1億1700万件。5年前の登録件数は9100万件だったから、2600万件の増加である。

このように、.comドメインの人気はかつてない高まりを見せている。その一方で、意味のある文字なり数字なり言葉なり、希望の組み合わせが見つかりにくくなったのも事実だ。最近では.com以外のトップレベルドメイン、例えば.netや.orgなども増えてきたが、その裏にはこういった事情もある。英国の.co.ukや、ドイツを表す.deなど、国ごとのドメインも増えてきた。とはいえ、まだまだ十分とは言えない。もっと多くのトップレベルドメインが必要だ。だからこそ、ドメイン名を管理するICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、.NYC(ニューヨークを拠点とする企業向け)や.dev(開発会社向け。これについてはGoogleから物言いがつくかもしれない)など、よりローカル色の強いドメインを認めるようになったのだ。

こうした流れを受け、今後は風変わりなドメイン名や訴求力のあるドメイン名が続々と登場するだろう。それでもなお、.comの王座が揺らぐことはないはずだ。何と言っても、.comはオリジナルなのだ。大手ネット企業が依って立つ、大切な創業の礎なのだ。実際に、フォーチュン500に名を連ねるすべての企業が自社ホームページのアドレスに.comを使っている。使用率100%は驚異的だ。

重要なのは、.comドメインはスタートアップ企業にも人気があることだ。ネット上にショップを開く際、彼らは.comドメインを喉から手が出るほど欲しがるのである。これから30年先も.comドメインは健在だ。そう考える根拠として、これは十分な事実ではないだろうか?

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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