
日本のEコマース大手である楽天が、サンフランシスコを拠点とする乗り合いスタートアップ Lyft の5.3億ドルの投資ラウンドをリードした。TechCrunch が最初にこのニュースを伝え、まもなくして Lyft がそのことをブログ上で確認した。楽天は Tech in Asia に対し、Lyft の11%の株式を3億ドルで獲得したと語り、三木谷浩史氏の発表を提供してくれた。
これまで、我々は未来を見てきました。そして、これこそそうだと思います。人と人とのつながりを強くすることで、シェアリング・エコノミーはサービス産業を根本から変化させ、社会に利益をもたらします。Lyft のような、人々や社会に潜在する可能性を解き放つビジネスが、未来への鍵を握っていると確信しています。
楽天は、Lyft の「国内と海外展開」のために投資したとも語っている。
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今回の調達は Lyft が東アジアのインターネット巨人から獲得した最初の投資ではない。約1年前には、Lyft は中国の主要Eコマース企業 Alibaba が参加する2.5億ドルの調達ラウンドを実施している。
有名なアジア企業から出資を受けているにもかかわらず、Lyft はアメリカ国内でしか利用できない。一般人も自分の車に乗客を乗せてお金がもらえるという同社のビジネスモデルは、多くの都市において法律上のグレーゾーンとされるからだ。この言及が世界展開を難しくしている。一方 Uber は、〝街のショーファーカー(高級車)〟としてのレイヤーで先に市場に食い込み、後に一般車利用の登録を始める方法を取っている。市場のプレゼンスを得る上で、この戦略は時間を稼ぐ方法として有効に働いている。
交通ネットワークに対する投資が増え続ける中で、乗り合い業界は西洋でも東洋でも飽和しつつある。退場するスタートアップもあり、ライバルが彼らを買収していく。したがって、一から乗客のネットワークを築こうとする新参者は、非常に難しい局面にも遭遇する。
しかし、仮に Lyft が短期間のうちにアメリカ国外への進出することが明らかになるとすれば、アジアのインターネット企業が投資する理由が他にも存在することになる。乗り合いサービスを提供するスタートアップは、地図や交通パターンという〝お宝データ〟を集められる。時が来れば、Lyft のシェアリング・エコノミーのビジネスモデルをどうやってアジアに導入しようかと、彼らは伺っているのかもしれない。
中国の主要な交通ネットワークは、最近合併した Kuaidi Dache(快的打車)と Didi Dache (嘀嘀打車)で、両者とも一般人ではなくタクシーがサービスを展開している。インドの Ola、東南アジアの GrabTaxi は主にタクシー呼出を提供しており、日本は LINE TAXI のおかげでオンデマンド・タクシーのブームが到来しそうだ。しかし、P2P の乗り合いサービスは、今のところ、市場の支配者はいない(UberX はアジアの多くの都市で利用可能だが)。
この2年間にわたって、楽天はチャットアプリの Viber、ビデオ・ストリーミングの Viki、Eコマースアプリの Slice、クーポンサービスの Ebates、電子書籍リーダーの Kobo など、世界的な買収劇を繰り広げてきた。同社はヨーロッパにも複数のEコマース企業を保有しており、楽天ベンチャーズを通じてアーリーステージ企業に投資している。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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