今後eコマースを東南アジアで成功させるために、新興国市場がなすべき5つのこと

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Source: Wikipedia

国際的なマネージメントコンサルティング会社であるAT KearneyCIMB ASEAN Research Instituteは最近、東南アジアのeコマース分野における障壁を取り除くことに関するレポートを発表した。両社は、今年の終わりまでにASEAN経済共同体が発足することと合わせ、オンライン小売企業が地域の経済発展に大きなインパクトを与えようとしていると論じている。

レポートによると、現在のところ、eコマースの売り上げは東南アジアの小売販売合計額の1%未満しかない。これはヨーロッパや中国、アメリカといった場所での6~8%という数字に比べるとまだかなり低い数字だ。しかし、東南アジアにおける中流階級の購買力の着実な上昇、インターネット普及率の高まり、eコマース関連企業数の増加により、この地域でのオンライン小売業は今後数年で毎年25%もの成長を見せる可能性がある。

ASEAN地域の「6大国家」であるシンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、そしてタイのオンライン小売市場は現在70億米ドル規模だ。うちシンガポールは17億米ドルを占めており、およそ13億米ドルでマレーシアとインドネシアがシンガポールに続いている。さらなる成長のため、ASEAN Business Club Forumは東南アジアの新興国市場がeコマースを次なる段階へと推し進める際にとるべき5つの行動を明示した。

1. インターネットアクセスを増やす

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東南アジアでは、インターネットユーザの割合は国によって異なる。インドネシアでは人口のおよそ16%(3900万人)しかインターネットを利用していない。タイ、フィリピン、ベトナムも普及率は50%以下だ。しかし、シンガポールとマレーシアは人口の3分の2を超える普及率で、「先進的インターネット経済圏」に近づいている。この6ヶ国のうち5ヶ国では、インターネット利用者の60~80%がオンラインショッピングも行っている。インドネシアが例外で、オンラインショッピングを行っているのは今のところインターネット利用者のわずか12%に過ぎない。

シンガポールを除くすべてのASEANの国では、人口の半分以下の人しかブロードバンドやモバイルインターネットにアクセスすることができない。その理由はさまざまだ。インドネシアでは1万8000以上の島々を結ぶことそれ自体が、ロジスティクス上の課題である。さらに、アクセスが不足していることによってインドネシアの文化において目に見える「都市と地方の格差」が生み出されている。同じ現象はベトナムでも起こっていて、ホーチミンシティとハノイは国内のその他の地域とはまったく異なっている。インターネット速度が遅い、コストが高い、そして認知度さえも低いといったことが東南アジアでのインターネット普及率を考える上で問題である。

ASEANは、これらの問題に取り組むため2015年度の情報通信技術に関する基本計画を作成した。地元の投資家は既にブロードバンドやモバイルのインフラに強い関心を寄せ始めている。しかしレポートによると、東南アジア諸国はインターネットの普及率を高めるために政府からも支援を受けるべきだとしている。基本計画はアジア全域に張り巡らせた地上の光ファイバー網経由で海外との接続性を向上させることや、インターネットの認知度を草の根レベルで上げるため、まずは小学生を対象にスタートさせることにも触れている。

2. 新参者をサポートする

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いくつかの地元eコマースが有力プレーヤーとして台頭してきたものの、消費者は、地元に必ずしも進出していない海外のオンラインリテーラーにより関心を持っているようだ。アメリカ拠点のAmazon、GrouponやeBayは依然6ヶ国全てで最も人気のeコマースサイトだ。

根本原因には、地元企業のオンライン製品が世間的に疑惑が持たれていることが含まれている。もう1つ大事な点は、財源、適切な人材や一般的なノウハウなどを含むリソース不足が、地元プレーヤーのeコマースへの可能性をいかに妨げてしまうかということだ。

現在、ASEANのいくつかの政府機関がこれらの問題を解決しようと取り組んでいる。マレーシア政府が出資するMultimedia Development Corporationもその1つだ。この機関は最大2万5000米ドルの賞金をeコマースサイトを運営する中小企業のトップ25に与えている。

レポートはまた、資金や人材が不足した小規模な会社には、楽天やLazadaといったマーケットプレイスの利用も促進されるべきだと述べている。それらのサイトを使えば、リソースを拡充する必要なくオンライン販売を行うことが可能になるからだ。

3. オンラインにおける安全性を強化する

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ASEAN地域の消費者はなおオンライン取引の安全性を疑問視している。この地域のオンライン買い物客は、世界平均に比べ、より自身のクレジットカード情報を提供することに消極的だ。その理由に、規制間の隔たりや国をまたいだ司法権の欠如、またサイバー攻撃の脅威が高まっていることなどが挙げられる。

現在のところ、規制の枠組みを改善しようという動きは現地レベルでしかなされていない。サイバーセキュリティに関して地域全体にまたがる成功事例は、ほぼないに等しい。基本的にレポートは、政府間組織がより多くの情報を共有し合うことを勧めている。また、各国の法的枠組みも6ヶ国間で協調されるべきだと述べている。それによりサイバー犯罪者はどこにいても、同じ結果に苦しめられることになる。

4. 電子決済をめぐる状況を改善する

Image credit: asawinklabma / 123RF

eコマースはASEAN全域に広がってはいるが、依然として支払の大部分はオフラインで行われ、ATMによる振込や代金引換のような支払方法が相変わらず最も人気が高い。この根本的な原因の1つには、ベトナム、フィリピン、インドネシア国民の70~80%が銀行口座を持たないという事実がある。また、もう1つの原因は、これらの地域で広範囲に渡り顧客熟知プロセスが存在していることにある。これに関してPayPalが昨年自社レポートの中で次のように説明した。

(顧客が)取引を進めるためには、自分の国民IDの写しをスキャンし、支払いプロバイダーに送って、彼らがそれをチェックするまで2~3日待たなければなりません。その後支払い手続きが実行されるのです。しかし、そうしているうちに、商品の売り手が支払いを迫ってきて、冷やかしを食らってしまったのだろうかと考えるのです

提案されている解決策には、電子決済規制の改定のほか、繰り返しになるが、国境を越えて規制を協調させることなどが挙げられている。

5. ロジスティクスを快適にする

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ASEAN各国におけるロジスティクスのプロセスは、オンラインで買い物を楽しむ人たちの期待に応えていないように思われる。地域の地理的な条件がロジスティクスの生来の課題となっていることに加え、それ以外の要素もボトルネックとなり問題を悪化させている。それは乏しい交通インフラや倉庫の準備不足、非効率なラストワンマイルの配送や悪夢のような通関手続きなどだ。

これらの問題に取り組むために、ASEANのほとんどの国は交通インフラのプロジェクトに投資することを決めている。一方で主要関連企業もまた、資金を投入することを計画している。DHLがその一例で、地域の倉庫の増強に1億8000万米ドルを投資し、自社のサプライチェーンを倍増させようとしている。

将来に向けて鍵となる提案の1つは、地域を横断してロジスティクスシステムの統合を加速させることだ。それには、繰り返しになるが、6ヶ国がそれぞれサプライチェーンに関してよりいっそう協力する必要がある。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】