データサイエンティストとマーケティングテクノロジストが、2015年の最もアツい仕事である理由

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Travis Wright氏はチーフマーケティングテクノロジスト、ベンチャーカタリスト、コラムニスト、講演者、データ分析専門家、スタートアップ育成ハッカー、意識覚醒家、CMTO、スタンダップコメディアンであり、子どもを持つ父親でもある。

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Intel Free Press“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

データサイエンティスト、マーケティングテクノロジスト。もしこれらの職種を今は聞いたことがなくても、近いうちに耳にするようになるだろう。同様に「ソーシャルメディアマネージャー」という職業が真面目に受け取られなかった時期があったが、今ではそのプロの稼ぎは6桁にも及ぶ。

しかし、「データサイエンティスト」や「マーケティングテクノロジスト」は実際どんなことをしているのか? これらの職種の名前だけでも、あらゆるビジネスが競争に打ち勝つために必要としているような、ハイテクを活用して情報を組み合わせる仕事だと想像できるだろう。今まさに大ブームのこれらの職業をもう少し掘り下げて、なぜスピードを上げているダークホースとなったのかを見ていこう。

データサイエンティスト

これは、マッドサイエンスなのか? データサイエンティストは、2012年の平均年収が10万2190米ドルにもなった(労働統計局による)。

AOL Jobsは、12万~17万米ドル範囲の現職種を考慮し、6桁にまで成長している裏には「できる人材が少ない」という理由があると結論付けた。これらの専門家は新たに急成長をみせる業界、「競合情報分析」の重要な一部となっている。実際の職務記述は会社により異なるが、最も一般的な仕事は(もちろん)データマイニングである。 「ビッグデータ」は2014年に大流行したバズワードだったが、どの企業にも重要なものとして付きまとうものになるだろう。データは「掘り出され」なければ、つまりは、最適に収集・分析・整理・活用されなければ役に立たない。

規模の大きな企業ほど、専門性があり競争力を備えた情報部門を持っていることが多いが、データサイエンティストは流行に遅れずについて行くため企業にしがみつかなければならないというわけではない。求人全体の約半数は常勤の正社員、残り半数は契約社員向けだ。テック分野のあらゆる職に当てはまることだが、契約社員として働けば稼ぎ自体は増えるが、健康保険や有給休暇、雇用主負担退職金制度などの手当てはもらえない。しかし、雇用形態に関わらず、バーチャルオフィスつまり在宅勤務のポジションを得ることはできるかもしれない。

特殊なサイエンス(今のところ)

この職業は大きな問題を伴う。需要と供給の問題だ。データサイエンティストとしての資格を有する人や、データサイエンティストになるべく自分磨きに励んでいる人にとっては嬉しい話だろう。高まりつつあるデータサイエンティストの需要を埋めるだけの腕のたつ人材が全く足りないのだ。McKinsey and Companyのレポートによると、2018年までに14万件から19万件の求人案件が満たされないままの状態になるという。(企業にとって)なお悪いことに、有効データの最適化には150万人ものマネージャーが必要となるそうだ。言い換えると、データサイエンティストにとってこの先3年は紛れもなく金鉱だということだ。だが、この不均衡な状態は長くは続かないだろう。

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サーチ・エンジン・オプティマイゼーション(SEO)が同じ境遇にあったのを覚えているだろうか? 巧妙な手法を使って検索結果を上げるブラックハットを行うには、SEOの「天才」をやっつけなければならない。データサイエンティストが自身の腕を磨き、多くの有効求人の中から見つけた職につき、リーダーとしてその立場を確立させるのは、早ければ早いほど良い。2011年、カリフォルニア大学サンディエゴ校は、「データマイニングと分析」が新卒者にとって4番目に人気のキャリアの道だとしている。

データサイエンティストが適切な要素全てを持っているという裏付けがこれ以上必要だろうか? EnsightenLiveRampThink Big Analyticsのようなデータ管理会社は、明らかに多くのデータサイエンティストを採用しており、中でもThink Bigは今年100名以上のデータサイエンティストを採用している。しかしこれはデータ管理会社に限ったことではない。もし、Cheezburger Networkがデータサイエンティストを採用していれば、彼らは本気だということがわかる。LOLCats(おもしろ猫画像)は、お金(もしくは、レーザーポインター)に関しては真剣なのだ。

マーケティングテクノロジスト

マーケティングのプロとテクノロジーのプロが半々に混じった最高のハイブリッドだ。労働統計局に認定されるには新しすぎる分野だが、今後数年の間にも認定されることになるだろう。だが、LinkedIn、Indeed、そしてCraiglistにも仕事の内容同様給与も様々な多くの求人案件が掲載されている。マーケティングテクノロジストはかなり新種の職業であるため、腕が立つ人であれば基本的に好きなだけ稼ぐことができる。6桁を稼ぐマーケティングテクノロジストや、彼らが専門家や思想的リーダーとしての地位を確立している姿を目にするのは珍しいことではない。だが、彼らの実際の仕事とはいったい何なのだろうか?

Gartnerのレポートによると、「大企業」(毎年5億米ドル以上の収益を上げている企業)の81%に、チーフマーケティングテクノロジストが雇用されているそうだ。1年前はたった71%だったが、2016年にはさらに8%増える見込みだ。レポートの筆者の1人、Laura McLellan氏は、CTO(最高技術責任者)やCIO(最高情報責任者)のような人たちと比べCMT(最高マーケティングテクノロジスト)は、「戦略家の役割の一部、クリエイティブな部門とテクノロジストの役割の一部」を果たしていると考えている。彼らはブランディング、コンテンツマーケティング、データ管理を含め、マーケティングのあらゆる側面を任されているとMcLellan氏は述べている。当然ながら、テクノロジーを使って全てができてしまうのだ。「CMO(最高マーケティング責任者)には、テクノロジーに対応したソリューションを組み込んだり評価することに長けた信頼できる上級アドバイザーが必要です」。

別の役職名がついていることも

役職に「chief(最高)」を付けるだけで、責任は重くのしかかってくる(願わくば、給料も増えればいいのだが)。しかし、マーケティングテクノロジストの役職名が、BIO(ビジネス情報責任者)などに変更されたものが次々に現れている。たとえどんな呼び方をしようとも、マーケティングテクノロジストはテクノロジー分野と連携しながら企業目標を達成させることを目指している。それに尽きる。彼らは、自社がどのテクノロジーを取り入れて採用すべきか判断したり、それらを管理したりしながらそのテクノロジーを活用してマーケティング戦略を上手く機能させる必要がある。

しかし、需要が多すぎて専門家が足りないという、データサイエンティストと同じ問題が起きている。マーケティングと技術の両分野で第一線に立つのは簡単ではく、また時間もかかる。例えていえば、小学校で多くの子供たちが創造的なコースで学ぶのに対して、STEM(科学、技術、工学、数学)分野を好む子供たちもいる。マーケティングテクノロジストを求めることは、飛び級レベルの数学と英語が共に得意で楽しめる子供を求めているようなものだ。もちろんいるだろうが、めったにいない。

これは今後のマーケティングテクノロジー業界でかなり見込みのあるポジションだ。2015年に入っても企業はいまだにこの道のプロの価値を探っている。そして喜んで報酬を支払う用意がある。業界で自己を確立すれば仕事は選びたい放題だし、給与面においても優位な交渉ができる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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