人気消費者ブロガーがキュレートするお菓子やパン作りのレシピやツールが集まるEC事業連動の「me likey」

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Melikey-website
「本当に食べたいレシピ」と「使える材料とツール」が見つかる「me likey」

先日、DeNAがキュレーションプラットフォーム事業を今年12月末までに合計10サービスにまで拡大する「DeNA Palette」を発表したり、Twitterもまとめ系のサービス「Curator」をリリースしたりするなど、キュレーション関連の話題が絶えません。そんなキュレーション領域に、既存のEC事業との連携やノウハウを活かして取り組むのが、TUKURUが開発する「me likey(ミーライキー)」です。

TUKURUは、親会社タイセイが運営する製菓・製パン資材を扱うショッピングサイト「cotta」のEC事業をサポートするために、2014年1月に完全子会社として設立されました。現在はcottaの戦略から運営までを引き取り、cottaの事業ありきでその周辺事業を展開しています。me likeyについて、代表取締役の石川森生さんにお話を伺いました。

レシピが多過ぎて探せないという課題を解決

あいりおーさんのフォルダ一覧
あいりおーさんのフォルダ一覧

cottaのEC事業を底上げする施策として誕生したme likeyは、お菓子作り、パン作りが好きな人の「これイイ!」という情報が集まり、「本当に食べたいレシピ」と「使える材料とツール」を簡単に探すことができるソーシャル・キュレーション・メディアです。今年3月の正式リリース後、登録アカウント数は2,000件超。デイリーのユニークユーザー数は、最大で3,000〜5,000人を推移しています。

me likeyに集まるユーザーは、cottaのユーザー層でもある、家でお菓子やパンを作る30代半ばくらいの女性が中心です。子どもの誕生などを機に家族の健康への意識が一層高まり、手作りすることが増えた人たち。そんな彼女達に対してお菓子やパン作り、またその際の情報収集における課題をヒヤリングしたところ、レシピの数が多過ぎることが最大の課題であることが判明しました。

例えば、ECサイトであるcottaですら、提供するレシピの数は1万件にのぼります。主要レシピサイトなどを含むとその数は膨大で、もはやどれがいいのかを選ぶことすらできないのが現状です。me likeyでは、ネット中の大量のレシピなどの中からキュレーターがお気に入りを見つけて、それを写真とリンクのみのシンプルな形で紹介しています。

とあるキュレーターのマイページを見てみると、「お気に入りの道具、材料」や「アイシングクッキーレシピ」といったフォルダが並びます。各フォルダにはそのテーマに沿ったウェブページが収納され、特定のレシピや、とあるブランドの小麦粉がなぜおすすめなのかの理由と共にまとめられています。キュレーターのセンスでもって、ベーキング関連のこれぞという情報に巡り会えるのです。

「信頼できる消費者」のお墨付きが持つ影響力

現在、me likeyへの流入の3〜4割がブロガーのブログ経由。そう、me likeyでキュレーターとして動くのは、既に個人ブログなどで一定数のファンを抱える人気消費者ブロガーたちです。cottaのEC事業から、この消費者ブロガー1%を巻き込むことが、残りの99%に影響力を最大限に発揮する方法であることがわかっていました。

cottaで行ったのが、消費者の購入行動にまつわるコンテンツを探る実験。その結果、cottaが独自配信する特集記事コンテンツによる効果は前後比平均250%増、信頼できる第三者(プロのパティシエ)によるレシピ紹介が前後比200%増、信頼できる消費者ブロガーの「私のマストバイ」といったコンテンツの前後比平均は350%増とダントツでした。このことが、me likeyの「消費者ブロガーによるキュレーション」というコンセプトに直結しています。

me likey上のユーザー動向で興味深いのは、レシピよりもベーキングアイテムなどへの反響の方が大きいことだそう。楽天で売っている1本1,000円のスプーンや、しっとりしたクッキーを作るのにおすすめの小麦粉など、レシピを作る際の周辺情報である「アイテム」に注目が集まっています。

「本来の主役はレシピですが、ブロガーが掲載した写真に使われている小物やプレートなんかが気になるという方が多くて。でもこうした情報は今はどこにも掲載されていません。me likeyでは、ユーザーさんのそうしたニーズにも応えてあげることを目指しています。最終的にはそれがEC側に繫がるものだと考えています」

ネットでも最後には「情報」と「人」が物を言う

3月の正式リリース後の1ヶ月で、レシピの数は1,000件集まりました。まだまだSEOが利いて来るまでには時間がかかることが見込まれますが、ようやくインデックスの数が増え始めたところ。また、ポイント付与という形でECサイトのcottaと連携することで、既存事業からの流入も着々と増えています。

「そもそも、お菓子とパン作りというのはとてもニッチな市場です。ですから、まずはベーキングを楽しむ人たちの裾野を広げていくことが大切です。cottaの売上げに直結しなくても、まずはユーザーにとって「必要なものがme likeyで見つかる」ことを目指してサービスを作って行きます」

石川さんは過去に、ECサイト向けのASPソリューションを扱うベンダー立ち上げに参画し、その後、EC事業の提案の幅を広げるために事業会社に移り、toBとtoCの両サイドを経験しています。様々なEC事業者が共通して抱える課題を認識し、その課題解決の一つとして今回のme likeyのモデルにたどり着きました。今後はこのモデルを多業種にも展開していくことを検討していると言います。

「結局、一番いい情報を持っているのは消費者なので、そこを引き出すことが購入にも繫がると思っています。事業として儲かるモデルを作らないと、長期にわたるサービス改善やユーザーのニーズに応えていくことができません。強みである「物を持っている」というインフラに、ネット的な収益が加わることで企業として強くなれると考えています。まずはその第一弾としてme likeyを展開していきます」

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