
シリコンバレーの投資家たちはパロアルトの University Avenue をぶらつくだけで簡単に他の投資家と会えるが、アジアの投資家コミュニティの中には、個人的に会う機会を持つのが難しい人たちもいる。
顔を合わせて会うことの価値は明らかだ。投資家たちは最近のディールや気になるホットなスタートアップについて話を交わすだけでなく、コインベスト(共同出資)について計画を相談しあうこともできる。これは、より適切な条件で、新市場に参入する上でも有用だ。
グローバル・ブレインの島津寛司氏にとって、アジアの投資家たちと出会う機会は極めて少ない。
日本国外からの投資家に会う機会はごくまれです。国内にはエコシステムがあるので、国内でネットワークを作るのは問題無い。しかし、国外となると話が違ってきます。(島津氏)
島津氏は、日本と東南アジアの投資家は互いにつながる必要があるにもかかわらず、物理的な距離、言語、文化的な相違点を出会いを阻む要因に挙げた。
東南アジアの投資家たちは日本の投資家に会いたがっているが、互いの間には多くの障害があります。一つ目は言葉の違い、二つ目に文化的な相違点と時差です。日本の文化では顔を合わせて会うことを良しとするが、(国外とそれをやることは)距離的な理由から難しい。(島津氏)
島津氏は、グローバル・ブレインがアジアじゅうの投資家と会って、シンガポール、インドネシア、タイの投資家たちと協業したいと語った。
東京に本社を置くグローバル・ブレインは、シリコンバレーやソウルにもオフィスを構えているが、今のところ東南アジアには投資拠点を持っていない。同社は Eコマース、IoT、アドテク、B2Bアナリティクスの4つの分野に投資をしており、主にシリーズAラウンドを終えたスタートアップを対象に、300〜500万ドルの資金を注入することで彼らを支援している。同社のポートフォリオの中では、テックブログのVentureBeat、化粧品の Luxola、アドテクの AdNear などが有名だ。
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これまで多くの日本企業に投資してきました。国内外の投資比率では、国内60〜70%に対し、国外はアジアとシリコンバレーで30%〜40%です。この5年間、投資活動を日本国外、特に東南アジアへと拡大しようとしています。(島津氏)
ディールの多くが日本市場におけるものが占めているのにもかかわらず、島津氏はグローバル・ブレインが日本国内に閉じた投資会社にしようとは考えていない。その大きな理由は、日本にはアクティブなVCが多数いて、非常に競争の激しい投資環境を生み出しているからだ。言い換えれば、これは企業のバリュエーションを引き上げることにつながるが、島津氏はこれが世界的な問題だと捉えている。
アジアでは、グローバル・ブレインは日本への新規参入を考えるスタートアップを支援できる。
我々は、スタートアップが日本でビジネスを浸透させ成長させるのを支援できます。日本は今でも、世界で二、三番目に大きな市場ですから、どんなスタートアップにとっても魅力的な市場です。しかし、言語や文化の違いが彼らの参入を難しくしています。(島津氏)
グローバル・ブレインはスタートアップの支援に加え、東南アジアやそれ以外の世界の投資家を支援し、日本の市場を案内できると考えている。
投資家限定カンファレンス「VentureCon」は4月23日、東京証券取引所で開催される。東南アジアの投資家に日本のVCとつながれる機会を提供するだけでなく、ディールやコインベストの機会を議論を盛り立てるプラットフォームとしても機能するだろう。VentureCon についての詳細はここから参照できる。
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