世界で500のゲームタイトルが導入、アジア進出に精力的な「Kamcord」の創業者に聞く海外進出成功の秘訣

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ゲームのプレイ動画を簡単に共有

ゲーム攻略の動画共有ソリューション「Kamcord」。同社は、世界で500タイトルのゲームへの導入、またSDK導入端末へのリーチが1.8億を突破したことを発表しました。KamcordはY Combinatorの卒業スタートアップで、2012年10月にサンフランシスコで誕生。以降、米国はもちろんのこと、グローバル展開も着々と進めています。

Kamcord SDKを導入すると、ゲームデベロッパーはゲーム内に動画撮影ボタンをつけることができます。ユーザーは、ゲームの中でこのボタンを押すことで、自分のプレイ動画を撮影し、Kamcord上、またYouTubeやFacebookといったSNSなどでも共有できます。膨大な数のゲームが存在し、ゲームの内容が複雑化を増す中、ユーザーによるプレイ動画の需要は高まる一方です。ユーザー同士で盛り上がるだけでなく、Kamcordはゲームデベロッパーとユーザー間の一種のコミュニケーションツールとしても機能しています。

Kamcordの急成長を後押ししているのは、アジア市場への進出、中でも日本のゲームタイトルへの導入です。2014年11月時点で、既に、コロプラ、DeNA、GREE、gumi、セガといった企業が導入していましたが、最近では、2月にDeNAの「TRANSFORMERS: Battle Tactics」がゲームアプリ紹介欄で取り上げられました。また、EitarosoftやDonuts、Cygamesなど、日本国内における導入タイトルが着々と増えています。

戦略的にアジア圏の投資家から資金調達

文化や習慣の違いなどから、海外スタートアップによるアジア市場への参入はとても難しいと言われる中、Kamcordは現地のパートナーなどと組むことでそれを非常に上手くやってきました。今回の新たなマイルストーン達成について、Kamcordの創業メンバーのAditya Rathnamさんはこうコメントしています。

「アメリカの会社が日本、韓国、今後中国にオフィスを開設することは、アジアのゲーム市場で大きくなるためにはとても重要です。App Annie社や SuperCell社のように各国の文化を理解し、デベロッパーやゲームユーザーのニーズに応え、マーケットに反映していきます」

Kamcordは、ゲーム攻略の動画ソリューションとして、最初からアジア市場を非常に大きなマーケットとして捉えていました。そこで、シリーズAの資金調達では戦略的にアジア市場に強い出資パートナーを模索。最終的に、シードラウンドではTencent、デジタルガレージ、またシリーズAではDeNA、KLab、M&S Partners社の眞下弘和氏などから資金調達をしました。

「調達をした時点では、まだ日本などに進出する準備が出来ていなかった。でも、地域の素晴らしい投資家とパートナーシップを組むことで、適切なタイミングが来たらいっきに立ち上げる準備ができた。面白いことに、アジアの投資家の方が僕たちの事業についての理解が深くて、アメリカの投資家に比べてすごく仕事がしやすかったよ」

「アジア」とひとくくりにするな

アジア市場に参入する際、投資家から受けた最も重要なアドバイスの一つは、「中国、日本、韓国にそれぞれ別に拠点を設けるべき」というものでした。それぞれ文化が異なる国なのだから、「アジア」とひとくくりにしても上手くいかないと。このアドバイスをもとに、Kamcordのファウンダーらは2013年12月から翌年12月までの1年で、投資家から学び、各地域の最新トレンドを理解するためにアジアへの出張を繰り返しました。

その結果、市場が成熟し、Kamcordを導入する準備が最も整っているのは日本だと判断。翌年2014年の2月18日にSDKを日本語にローカライズしました。また同年10月には日本オフィスを開設。先週になって韓国にオフィスを構え、近日中国にも拠点を構える予定です。

一連の流れを振り返って、海外拠点を構える際に大切なことは、まずカントリーマネージャーを採用することだとAdityaは話します。責任者を見つけてから、彼女または彼に人事を任せて採用してもらう。日本では、責任者を立てる前に他の役割を持ったメンバーを既に採用していましたが、韓国と中国ではその順番を逆にしてアプローチしています。

また、サンフランシスコの本社には、海外支局を管理する専任の担当者の存在も。北米におけるビジネス開発の責任者とは別に、インターナショナルな事業開発の責任者を立てる。一言で事業開発といっても、北米と他国ではやるべきことが異なるため、異なるオーナーを立てることが必須です。

日本のチームを結成するために行った5つのこと

Kamcordの日本市場への参入、現地でチームを採用したことなどから、海外市場に参入する際に効果的だったことを5つ挙げてくれました。

1. 自分たちの投資家、採用会社、またIVSなどローカルなカンファレンスなどに参加することで築いたネットワークに頼ること。これは、現地の人を採用する面ですごく有効だった。

2. カントリーマネージャーや一部の人間が英語でコミュニケーションできることは重要だけれど、僕たちは日本オフィスの全員の英語力が堪能であるべきだとは思わない。ここにこだわらないことで、現地の素晴らしい人材を迅速に採用することができた。

3. サンフランシスコの本社に、日本のチームメンバー全員に1週間来てもらったことはすごく良かった。日本とアメリカのチームの絆が深まった。

4. その際、日本のインテグレーションエンジニアの布施さんが、漫画、アニメ、ビデオゲームなどの日本の文化についてプレゼンテーション。アメリカのチームが文化的側面を理解するためにすごく役立ったし、今後プロダクトを作っていく上でも有用だった。

5. 日本とアメリカ両方のビジネスカルチャーを理解している人を採用することはすごく大切。採用面接の際に、アメリカの文化をどこまで理解しているかもテストするし、同時に日本のビジネスカルチャーをどこまで理解しているかを日本の投資家が確認する。

Kamcordでは、普段からアメリカと日本のオフィスが密接にコミュニケーションをとっているとのこと。SkypeやSlackを使ったコミュニケーション、また対面でもなるべく会うことで、普段から相談や協業しやすい透明性の高い関係ができています。

「どこに注力すべきかがわかるから、明確なKPIを設けることもすごく大切だ。新しくオフィスを開設する時、やるべきことは山ほどある。でも、フォーカスして優先順位をつけることが重要だと思う。小さくても何らか成果を出すことで成功のパターンが見えてくるから」

仕事柄、海外のスタートアップから「日本市場に進出したい」といった類いの相談を受けることはありますが、自分たちは来日することもなく現地のパートナーを探すような人たちも少なくありません。Kamcordのアジア市場参入のプロセスは、日本企業が海外市場に進出する際にもきっと参考になるはずです。

 

 

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