売り込みに終始するピッチはやめ、双方向参加型ピッチをしよう

startuppitching

(THE BRIDGE編集部注:この記事はUK拠点のベンチャーキャピタルBalderton Capitalのベンチャーパートナー、Roberto Bonanzinga氏によるもの)

世界中で行われているピッチコンテストの開催回数は、歯止めがきかない状態になっている。残念ながら、こうしたコンテストへの投資家の関心は、開催数の多さとは反比例しているように思う。つまり、コンテストイベントが開かれる数が多ければ多いほど、投資家たちは興味を無くしていくのだ。

私自身がピッチコンテストに対する興味を失ってきているのは、あまりにも数が多すぎるということ、ピッチイベントが投資家にとって「何の意味があるのか」と冷静に考えてしまうこと、そしてこれまでに出席したピッチイベントにまつわる経験全体が原因である。

個人的には、ピッチは双方が対等にお互いを知るためのイベントであり、そのように位置づけられるべきであると思う。起業家と投資家の両方が、ピッチに参加するときに留意しておいた方が良い点がいくつかある。

ピッチは相手を会話に引き込むためのもの

起業家は、投資家を自分の話にいかに惹き付けるか、じっくりと真剣に考えるべきだ。双方向の会話に引き込むというのが、投資家が耳を傾けてくれ、そのビジネスの重要な側面について本当に理解してくれているのを確かめるためのベストな方法だからだ。一方通行のコミュニケーションになってしまっているような長々としたプレゼンを行うのは全く意味がないと思う。

起業家は、プレゼンは投資家の興味をかき立てるための手段と考え、プレゼンそのものを目的にしてはならない。私がこれまでに見た中で最も良かったプレゼンは、SpotifyのCEOで創設者のDaniel Ek氏によるものだ。彼は一度もノートパソコンを開かず、ホワイトボードも使わなかったが、私を会話にぐいぐい引き込んだ。

しかしながら、「タンゴを踊るには2人必要だ」というように、それは片方だけで成り立つものではない。投資家も、取引について前向きに考える努力をし、賢明な質問をしなければならない。しかし、その質問は、起業家とそのビジネスをより良く知るためのものであり、自分の知識をひけらかすためのものであってはならない。知識人の横柄な態度というのが、私が今までピッチセッションで見てきた投資家の振る舞いで最も悪いものである。

ピッチセッションは、双方向の参加型セッションと呼ばれるべきであり、お互いをより良く知ることを目的とすべきである。投資家と起業家の双方が自分の売り込みに終始するばかりで、中身のある会話をすることもなく終わる例をこれまでにうんざりするほど見てきた。

ピッチは人物を知るためのもの

投資家と起業家は何よりもまず、「相手を知る」ための努力としてピッチセッションを利用すべきだ。特に、相手の人柄が自分と合うかどうかを見極めるべきだ。相手がどんな人物で、どんなバックグランドを持ち、モチベーションは何かを理解するために両者が努力しなければならない。

しかし、投資家も起業家も、ピッチセッションの間の自分に対する相手の態度を観察することが、将来の取引の良し悪しを見極めるための素晴らしい方法となることもあるので心に留めておくべきだ。現在の振る舞いは将来の振る舞いを見極めるための良い目安となる。

起業家のことをよく知るために、投資家は、起業家にとって不意打ちの質問をしてみて、起業家が予想外の質問に対してどのような態度を取るか観察してみるべきだ。これは議論をお決まりの台本から別の段階へと導き、起業家の人格を観察するためにしばしば最上の策となる。

起業家はセッションの間はためらわずに異なる意見を主張すべきだ。ピッチは、目の前にいる人にリップサービスを行うための場所ではない。セッションの間は意見交換と相互理解の場なのだ。将来の投資家が、異議を唱えられた時にどのような反応をするかを見ておくと良い。

ピッチは動機を理解するためのもの

起業家と投資家どちらも、あらゆる質問の中でも最も基本的な質問をお互いに投げかけるべきだ。それはつまり、どうしてそれをするのか、動機はなんなのか、ということだ。

お互いの動機を明確に把握することによって起業家と投資家との関係に全く違った深みが出てくる。深い動機とは、物事が予定通りにうまくいかなくなった時に必要となるエネルギーの隠れた糧となる。

ただ良い話だからという理由で投資をするケースや、ただ面白そうだからという理由で起業をするケースは、非常に考え物である。要注意だ。

ピッチとは選択をすること

投資家であれ起業家であれ、ピッチを「たくさんピッチする=良い巡り合わせの確率が上がる」という考えに基づく統計学的ゲームと見なしてはならない。

投資家も起業家もお互い会う約束をする前に、事前の作業をしておかなくてはならない。そのようにすることが価値があると判断する時にのみ、互いを学習する機会を持つようにしよう。ミーティングをすると決める前に両者が事前にレビューし、分析しておく情報で、一般に利用できるデータは今では山ほどある(例えばLinkedInのレファレンス情報、Twitterのプロフィール、Appストアのランキングなど)。

ピッチによる深い相互取引は、何よりもまず発見プロセスの始まりだ。起業家も投資家も、これに伴う精神的エネルギーを費やすことができないのであれば、職業を変えるなり、起業を辞めるなりした方が良い。金融業なり何なり、仕事は他にもたくさんあるだろう。

結論として、良いピッチミーティングのための7つの秘訣をここに挙げよう。

  1. 売り込みベースのピッチは最悪だ。目指すべきは、相手を会話に引きつけることだ。
  2. ピッチとは、出資を受ける確率を上げるのを目的とした統計学的ゲームではなく、学ぶための発見プロセスだ。雑音が少なく、内容が多いのが狙いである。意味のないピッチはできる限り避けるべきだ。
  3. 見た目のよいスライドなど意味はない。相手を会話に引き込むきっかけとなるツールを作ろう。シンプルなスライド、ホワイトボードセッション、デモなどだ。
  4. 最初のピッチセッションで起業家と投資家の相性が良くなかったら退散しよう。直感にしたがえ。
  5. ピッチとは台本に従うことではない。可能なら台本など抜きにして、他の人にもそう仕向けよう。不意打ちの質問をして、反応を見よう。
  6. 起業家と投資家がなぜそのビジネスに関わっているか、関わりたいかを深く理解するために、ダイレクトな質問をぶつけてみよう。意味のある「どうして」がない場合は懐疑的になろう。
  7. ピッチミーティングの前に事前作業をしておこう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】