東大の授業から生まれてSXSWにーーキーボードの拡張を目指すガジェット「Trickey」の開発ストーリー

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Trickey

日本から海外のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」にプロダクトを掲載し、お金を集めるプレイヤーも多くはないが出てくるようになっている。現在、Kickstarterで資金を集めている「Trickey」はそんな日本発のプロダクトの中でもユニークなストーリーを持っている。

Trickey」は従来のキーボードとは異なり、配列や機能を自由に変更することができるカスタマイズキーボードだ。キーに文字を記憶させ、自分が押しやすいよう配置を変えることができるガジェットだ。目標金額が3万ドルのところを、残り2週間ちょっとで1万8千ドルまで資金を集めている。

研究とロボコンで培った力でプロダクトを開発

実は、「Trickey」は東大の電子情報機器学という授業で生まれたプロダクトだ。メインで開発しているのは、東京大学工学部電気電子工学科4年の城啓介氏。ロボコンサークルにも参加している彼が、電子情報機器学の授業をとったことがきっかけだった。

開発者の城啓介氏
開発者の城啓介氏

城氏「電子情報機器学の授業で作品を作って、優勝者した人には、SXSWに行かせてあげると川原教授がご褒美を設定してくれたんです。それまでの授業と違って、部品代とSXSWへの出場代が出るようになったことでやる気がでました」

東京大学の川原圭博氏といえば、スマート農業センサー「SenSprout」や紙の電子回路を手がける東大発ベンチャー「AgIC」にも関わっている人物だ。

城氏「授業の中で、川原先生がイノベーションについて話すことがありました。「これが世に出てから、もうそれが生まれる前には戻れなくなった製品は?」と考えたとき、キーボードは生まれたときから形が変わっていないことに気づきました。それでキーボードをテーマに。最初は、頻繁に打つキーが大きくなるようなキーボードを考えたんですけど、実装が難しくて。タブレットを利用すれば可能なんですが、授業で作るモノは回路を備えてないといけなかったので」

城氏は、ロボコンサークルでも一緒に活動していた小川徹氏に声をかけ、共にキーボードの新しい形に取り組み始めた。

城氏「考えていく過程で、キーが引っこ抜けたら面白いのでは?と思いつきました。何に使えるかを考えていったところ、PCゲームに使えるのではと思い至りました。僕がPCゲームが好きで、押しにくいキーが存在していることがわかっていたので、キーを引っこ抜いて左手の近くに置けたら便利だなと」

そうして彼らは「Trickey」の原型となるカスタマイズキーボードを開発した。ただ、授業で発表する時間は5分。プロダクトの魅力を伝えるのにそれでは時間が短いと考えた彼らはGIGAZINEのようなサイトを作成し、実際にユーザに使ってもらっているところを想定した記事を書いたことで発表時間の短さをカバーしたという。Amazon流の開発では、まずプレスリリースを作るところから始めるというが、ユーザの利用イメージが明確だったことも彼らの強みだったとのかもしれない。

授業で生まれ、Kickstarter、そしてSXSWへ

見事彼らは優勝を獲得し、SXSWへの出場権を獲得した。だが、話はここで終わらない。城氏は「BreadBoard Maniac」やその他のプロダクトについてKickstarterでクラウドファンディングを成功させた経験があるQibiTechでアルバイトをしていたため、同社に「Trickey」のプロダクトを持ち込んだ。

QibiTechのサポートを受ける形でKickstarterへのプロジェクト掲載もでき、SXSWに出場するころには宣伝が可能な状態になっていた。キーボードがキーから外せる時点で、SXSWに来るような人々からの反応は良好。ゲームデバイスの開発者といった人たちからもフィードバックをもらうことができたそうだ。

面白いのはこの一連のプロセスだけではなく、未だ「Trickey」というプロダクトは進化の途上にあるという点だ。Kickstarterに出し、SXSWに出場し、様々な人々からフィードバックを受けることで新たな可能性を見出している。

トリッキー

城氏「ひとつの文字だけではなく、メールアドレスなども打てるようにしたいですね。ひとつのキーにパスワードの文字を記憶させて、家の鍵と同じようにパスワードを持ち歩くことも可能です。あとは、イラストレーター用にフィーチャーされたキーがあってもいいと思います。Adobeのソフトのショートカットキーに対応したバージョンがあってもいいと考えています」

キーひとつひとつに文字を割り当てることができ、ハードであるキーの形やラベルも自由に変更することが可能になる。

key

城氏「キートップが外せるんだから、色々なキートップの形があっていいんじゃない?という話をしています。顔文字が表示されたキーボードにカスタマイズできても面白いかも、とか。機能も数もキートップもいくらでも拡張できるのが「Trickey」なんです」

授業をきっかけに生まれたプロダクトがSXSWに出場し、kickstarterにプロジェクトを掲載しえ、商品化を目指している。これが成功したら多くのモノづくりをしている若い人たちにとって良い事例となりそうだ。Kickstarterのプロジェクトページはこちら。あと2週間ちょっとの期間、資金を募っている。

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