「夜中3時に相談メッセージを見てくれないVCとは関係を見直すべき」——シンガポールの有名投資家Jeffrey Paine氏が語るスタートアップとVCの関係が重要な理由

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Panel on bootstrapping versus venture funding at Startup Capitals conference in Singapore
シンガポールで開催されたStartup Capitals カンファレンスでのパネル・ディスカッション

もし深刻な事態になって、朝3時に WhatsApp で大事な相談メッセージを送ってもすぐに見てくれないようなベンチャーキャピタル(以下VC)と付き合っているのであれば、関係を見直した方が良いだろう。

シンガポールで開催中の Startup Capitals カンファレンスで本日午後「ファンディングの基礎:自己資金かベンチャーキャピタルか」と題したパネルディスカッションの中で、Golden Gate Ventures の共同設立者である Jeffrey Paine 氏が、VC と投資先スタートアップの親密な関係を強調した(編集部注:原文掲載5月20日)。

パネリストは他に、スタートアップアクセラレータ Muru-D Singapore の客員起業家(EIR)のJoseph Ziegler 氏、Playware Studios Asia のチーフプロデューサー Srividya Maliwal 氏が同席した。

実際のところ、Paine 氏は Founder Institute Singapore 代表の立場で話をしていた。Golden Gate Venturesでの活動もまだ非常に活発だ。Founder Institute は最近、2回目の資金調達で5,000万米ドルを調達したばかりである。

ファウンダーとベンチャーキャピタルの関係

彼のもとに届くプライベートメッセージの内容は多岐に渡る。どれも不眠症にファウンダーを陥らせるような、頭が痛くなる類の問題だ。

私たちはスタートアップを支援するために、信頼を築くためにいるわけでして、朝3時にWhatsAppでメッセージを受け取り携帯が点滅し始めても驚くことはありません。よくあることであり、週に何回かはあります。

色々なメッセージが届きます。たとえば『この人をクビにしたいんだけど、どうすれば良いかわからない』とか。余り聞くことがない内容かもしれませんが、この手の相談は良くあります。明け方の4時にファウンダーと話をすることは良くあることです。

こうした話はVCと投資先企業の親密な関係を良く表しており、評判が良く専門性があるVCから投資を受けることがスタートアップの成否にとってなぜ最も大事な意思決定となるのか理解できる。一番弱っているときに間違ったアドバイスを受ければ、そのダメージは計り知れない。

私たちにはSlack上にチャネルを作って、投資先企業のCEOがお互いに案件の話や、雇用、財務、その他色々な話ができるようになっています。

しかし、早朝に WhatsApp メッセージで届くのは Slack のような公開のチャネルで相談するのが憚られるような内容のものばかりだ、とも同氏は補足する。

皮肉なことに、Slackの共同ファウンダー Stewart Butterfield 氏は最近「あなたの取引先VCの質が如何に重要か、どんなに重く見ても重視し過ぎることはない」と述べている

ほとんどのスタートアップはVCの資金を受けるべきではない - VC談

アジアの状況をよく知れば知るほど、アジアのスタートアップの多くはまだまだ「クローン」すなわち他地域のビジネスモデルのコピーとローカライズである。こういうスタートアップは競合他社に取って代わられぬように急激に防御を固め拡大する必要がある。Paine氏によれば、こういう状況は自己資金ではなく、VC の資金が便利であると主張する。

しかし、何故ほとんどのスタートアップがVCの資金を受けるべきではないか、実際2~3%程度しか受けるべきではない、という点について彼は他にも説得力ある主張をしている。実際、べき論に至る以前の問題で、ほとんどのスタートアップは資金調達をしたくても、上手くはいかないのである。

資金調達をした瞬間から自分が一番偉くはなくなってしまうのです。これは多くの点で、自分でビジネスを経営するとはどういうことかの感覚を変えてしまいます。ですから、少なくとも私にとって、最高のビジネスとは誰からも一銭も調達しないビジネスだと常に人々にお伝えしているのです。自分が一番偉ければ2週間でも3週間でも休めるのですから。

一緒に戦いに行く

ファウンダーとVCの関係の重要性について追加のコメントで、Ziegler 氏は一緒に戦いに行くようなものだと表現した。先月、VCからかなりの支援を受けていたデータ分析スタートアップ Iris Data Services が1億3400万米ドルのイグジットをしたが、Ziegler 氏もその一員であった。

パネルディスカッションの後、Ziegler 氏は e27 に次のように述べた。

いくつかのレベルがあると思います。VCとファウンダーの関係は一度きりのものではないのです。Iris Data Services は同じVCとCEOと一緒に立ち上げる2回目のスタートアップであり、私にとって2回目の大規模スタートアップでした。私たちは皆つながっており、VCも含めて一緒に戦いに行くのです。

そしてまた一緒になり、また別の戦いに行くのです。傷が癒えて完治してから(願わくば多少のお金を持って)。こういうVCが必要なのです。なぜなら一度きりのことではないのですから。これは繰返しなのです。

明らかに自己資金でやるべき時と場合もある。実際、ほとんどの場合(97%)でこれが唯一の道だったりもする。なぜならVCから資金調達ができないか、もしくは株式を手放したくないか、または株主に対する責任があるからだ。

しかし本当にVCの資金が必要であり、調達にこぎつけたのなら、戦いが始まったと考えるべきだ。そして、もし付き合うことになったVCが、あなたの会社が深刻な事態になって、朝3時にWhatsApp で大事な相談メッセージを送ってもすぐに見てくれないようであれば、関係を見直した方が良いだろう。なぜなら、それがそのスタートアップにとって最も重要な問題であるかもしれないからだ。この点にPaine氏はきっと同意すると思う。

【via e27】 @E27sg

【原文】

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