
以前紹介した「世界の水問題を解決するセンサー」が商業化に向けて一歩を踏み出した。
スマート農業センサーの「Sensprout」は5月12日(PSTでは11日)からクラウドファンディングIndiegogoでのキャンペーンを開始する。目標金額は1万ドルで、これから約60日間に渡ってバッカーを募集する。バックしてくれた人へのリターンは9種類で、Sensprout本体が貰えるプランは55ドル(アーリーバードは45ドル)。
このキャンペーンは以前受賞した飲料メーカーのビジネスコンテストと連動したもので、Sensproutは1000社以上のスタートアップ・エントリーから最終選考の16社のひとつに選ばれたそうだ。一般の投票などを経て優勝者には1万ドルが贈られる。(※投票とクラウドファンディングは別なので少々ややこしいが)

Sensproutが解決しようとしている水資源の問題については以前の取材記事をご覧いただきたい。
同社代表取締役の三根一仁氏に今回のクラウドファンディングについて聞いたところ、リターンに設定されている工作キットには、センサーが印刷してある「葉っぱ」の紙と基板がセットになったものが用意されているそうだ。但しこれはスマートフォン・アプリとの連動はなく、水量によってLEDの色が変わる仕組みが用意される。
また動力については太陽光や無線給電ではなく乾電池で動作させることになる。
このWiredなどの記事でも話題になっていた無線給電(微弱電波による動力確保)については、技術的に不可能ではないものの、バッテリーの装着が必要になり、それがどうしてもコストに跳ね返って商品化の際に考えている40ドルから50ドルあたりの価格に収めるのが難しくなるのだそうだ。
クラウドファンディングが成立した場合、これらのリターンは夏から秋にかけて提供されることになる。
また三根氏の話では、スマートフォンアプリについては現在開発を進めている状況で、実際の商品化は今年の秋から冬あたりになるということだった。当初計画では夏頃の発売だったが、予想よりも大規模な農業法人や商社からの引き合いが多く、もう少し先に予定していた大型センサーの「プロ版」を前倒したのが原因らしい。
「参加したSXSWでは非常に好評で、フィードバックもいつ売るの?っていうのが多かったです。その時に確認したニーズとしては家庭菜園ですね。トマトとかイチゴとかって水のやり方がセンシティブで、センサー自体もあまり深く埋められないので木じゃない葉物の野菜には使えるねって」(三根氏)。
国内では現在帯広と茨城の大学関係施設および農業法人と共同でプロ版の大型センサーのテストを実施しており、その過程で協力している商社側も肥料などとの「セット販売」に商機を見いだしているという話だった。
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