対応通貨は130以上ーーサイトに動画を埋め込むほど簡単に決済サービスを提供できる「Stripe」が日本に上陸

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Stripe-website
決済プラットフォーム「Stripe」が日本で正式ローンチ

デバイスやテクノロジーの進化に伴って膨れ上がる世界のEコマース市場。海外ではShopify、日本でもSTORES.jpやBASEなど簡単にオンラインストアを開設できるサービスの登場で、個人がブログを持つようにストアを持つ時代が確実に近づいています。

ところが、オンラインストア開設の容易さに反して、相変わらずストレスフルであり続けるのが決済です。そんな課題に対して、ウェブサイトやアプリ開発者がこれまでになく簡単に決済機能を追加できるようにするプラットフォームが「Stripe(ストライプ)」です。

130通貨に対応予定ーー日本で招待制ベータ版の開始

Stripeは2011年9月に立ち上げられたグローバルな決済プラットフォームです。年間数十億ドルもの支払いを処理するまでに成長した同プラットフォームが、本日、日本市場で招待制ベータ版の提供を開始しました。正式リリース時点では、130以上の通貨への対応を予定しています。

日本市場では、サービス提供面において三井住友カードと提携。VisaやMasterCardとのアクワイアラーとして、三井住友カードが加盟店契約業務を行うとのこと。ベータ版の利用を希望する人は、公式サイトから申し込むことができます。

130以上の通過に対応するStripeを使えば、世界中どこからでも瞬時に決済を受け付けることが可能になります。Stripeの手数料は一律で、取引額の3.6%。決済機能の提供に加えて、Stripeのダッシュボードを使うことで収益計算、チャージバック管理、銀行口座への入金確認などの情報を可視化することができます。

Apple PayやAlipay、FacebookやTwitterも導入

決済サービスにはGoogleやPayPalなど競合が少なくないものの、わずか数行のJavaScriptコードを埋め込むだけで決済機能を搭載できる簡易性がStripeの最大の特徴です。

またStripeは、対応サイトを使うユーザーにとってもより摩擦の少ないスムーズな決済体験を実現します。例えば、PayPal導入サイトでは一度購入サイトを離れてPayPalにリダイレクトされる仕組みですが、Stripeでは購入サイトにいるまま決済が完了します。別サイトに遷移することが与えうるコンバージョンのダメージを軽減することにも貢献します。

Shopify、Facebook、Twitter、Lyft、Instacartなどの著名企業、アジアではAlibabaグループの「Alipay」とも提携。今では数億人規模に及ぶと言われるAlipayユーザーは、Stripeに対応する国外のショップで買い物することができるようになりました。また昨年9月には、Appleのペイメントサービス「Apple Pay」のパートナーとして、Visaなどに名を連ねてリスト入りしています。

マーケットプレイスを対象とした「Stripe Connect」

Lyftのチェックアウト画面
「Stripe Connect」を活用したLyftのチェックアウト画面

Stripeが、マーケットプレイスを対象に展開する決済システムが「Stripe Connect(ストライプ・コネクト)」です。同サービスもまた、日本市場で提供されます。Stripe Connectの導入企業の一例が、ハイヤー配車サービス「Lyft」。Lyftでは、1回の乗車につき「乗客からLyft」へ、そして「Lyftから運転手」への2種類の決済が発生しますが、Stripe Connectを利用することで一つのモバイルアプリで2者間の決済が完結しています。

Bloombergの記事によると、Lyftでは2013年初期からStripeを導入しているとのこと。同社のCEOであるLogan Green氏は、切手を貼るだけに20人必要だった大がかりな決済プロセスをStripeが担ってくれているとコメントしています。

Stripe Connectを利用する企業には、他にもKickstarterやInstacartなど。商品やサービスを提供する出展者を登録すると、決済業務を数回のクリックに簡易化して、Stripeが展開する19ヶ国からの決済を受け付けることが可能になります。

決済機能の追加をブログに動画を埋め込むほど簡単に

Patrick & John
Stripeの共同ファウンダーで兄弟のPatrickとJohn Collison

Stripeは2010年にY Combinatorへの参加を皮切りに、PayPalの共同創業者であるピーター・ティール氏、イーロン・マスク氏、アンドリーセンホロウィッツなどからシード投資を受け、シリーズAではセコイア・キャピタルから2,000万ドルを調達。最近では、2014年12月に、評価額35億7000万ドルのシリーズC-1ラウンドで7,000万ドルを調達しています。

Stripeのファウンダーは、アイルランド出身のCollison兄弟。今回の起業は彼らにとって2度目で、それぞれハーバードとMITに在学中に最初のスタートアップ「Auctomatic」を立ち上げています。eBayの競合のこの事業は1年足らずして500万ドルで売却。その後、二人とも大学を休学してStripeを立ち上げて今に至ります。

サンフランシスコに拠点を構え、現在220名のチームから成るStripe。「ブログにYouTubeの動画やコードをちょっと加えるほど簡単に、決済機能も瞬時に追加できるべき」と話すCEOのPatrick Collison氏。海外の決済業界に新風を巻き起こす革命児が、日本でどんな成長を見せてくれるのか期待です。

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