台湾の音楽ストリーミングKKBoxがチケット販売スタートアップに投資、無料サービスもまもなくローンチ

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台北を拠点とする音楽配信企業 KKBox は、同市にあるチケット販売スタートアップ WalkieTicket(華娯售票)に投資したことを発表した。(編集部注:原文掲載4月24日)投資条件および規模は明らかにされていないが、この取引により、KKBox は WalkieTicket 最大の株主となる。日本のコンビニエンスストアチェーンの台湾国内支店である Taiwan FamilyMart(台湾全家商店)もこのラウンドに参加した。

同社CEOである Jay Wang(黃振峰)氏によって2010年に設立された WalkieTicket は、地元の業者と連携し、コンサートやイベントのチケットを販売している。ユーザは WalkieTicket のウェブサイトやアプリ、あるいは複数あるサードパーティの1つを介して直接チケットを購入することができる。中でも注目すべきは FamilyMart だ。台湾に2900以上の店舗を持つこのコンビニエンスストアチェーンは、FamiPort でさまざまな商品やサービスを販売している。

KKBox 独自のチケット販売サービス KKTix ローンチしたのは2014年の初めだった。その数か月後、Spotify が台湾に初めて進出した。BusinessNext(数位時代)によれば、この投資によって KKTix と WalkieTicket チームおよびテクノロジーが完全に融合されるだろう。WalkieTicketのウェブサイトを利用するユーザは、じきにKKTix.comにリダイレクトされるようになる。

このコラボレーションによって両社は互いの弱みを補うことになるだろう。KKBox は音楽配信アプリ上のトラフィックを通してチケット販売を促進することができ、一方 KKTix よりも歴史がある WalkieTicket は、自らと密接な関係のある業者ネットワークを分かち合うことができる。加えて KKBox は、ユーザのリスニング習慣データを利用して、近々行われるイベントを勧めることができる。

KKBox は、アジアの iTunes として2005年にローンチし、会員登録したユーザが従量課金制のダウンロードや著作権侵害をせずに、曲を無制限に利用できる定額制のストリーミングサービスを提供している。現在同社のライブラリーへのアクセス料は、月額149ニュー台湾ドル(約5米ドル)となっており、マレーシア、香港、シンガポールそしてタイでも利用可能だ。同社の有料会員数は2014年時点で500万人以上に達しており、昨年8月、シンガポールのGIC主導で行われた投資ラウンドでは1億400万米ドルの資金を調達している。

無料のストリーミングし放題サービスはまだ用意されてないが、同社によれば、まもなくローンチする予定だそうだ。

2013年後半、Spotifyがアジア市場に参入すると、多くの台湾人は KKBox の将来性に疑問を抱いた。昨年、共同創立者のChris Lin(林冠群)氏は、アジアのロングテール型のレーベルとの長年の付き合いのお陰で、ユーザを繋ぎ留めておけるだろうとTech in Asiaに対して語っている。それでも同社は様々な戦略を練って今まで通り動き回っている。KKTix をローンチしたり、WalkieTicketの買収以外に、リアルタイムオークションプラットフォームのPaganini+にも出資している。まもなくローンチ予定の無料サービスは Spotify や YouTube 時代においては不可欠で、その費用は Paganini+ を買収したことで捻出できそうだ。

台湾のチケット販売サービスで有名なのは KKTix だけではない。Eventbrite を手本にした Accuvalley(盈科泛利)の Accupass(活動通)は、昨年シリーズA資金を調達し、台湾で最も資金を調達したスタートアップだった。同社は、台湾と中国本土に別々の社名とビジネスモデルでサービス展開している。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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