スマートフォンの普及でインターネット接続時間が拡大し、PC時代に比べて新たに接続される層が拡大している現代、メディアやコンテンツはどうあるべきなのだろうか。
拡大を続けるBuzzFeedのようなキュレーションやUpworthyのようなバイラルの文脈、Business Insiderのようにビジネス・カテゴリでの挑戦、NowThisはウェブページを捨て、分散型コンテンツとしてソーシャル上での再生回数を伸ばす戦略に出ている。
世界的な最先端メディアのチャレンジの一方、国内でもこの分野に挑戦しつづける人物がいる。そう、いつも楽しい話題を提供してくれる「けんすう」こと、nanapi代表取締役の古川健介氏だ。
彼がある日突然、私のfacebookにメッセージを送ってきた。二人のチャットをほぼそのまま掲載する。
けんすう:メディアって3つのステップがあると思っていて、1)コンテンツの元ネタ / ソース、2)コンテンツの流通加工、3)コンテンツの流通なんですね。
筆者:うんうん。
けんすう:で、キュレーションって要は単なる加工なんですね。だからコンテンツの元ネタがあるキュレーションサービスは強い。例えば「iemo」は複数の事業者と組んでいるし「MERY」はECサイトと組んでやっている。「ログミー」は、書き起こしという誰でもできる加工方法なんだけど、それを元ネタをアライアンスで抑えているから強い。逆に2chまとめみたいな元ネタが誰でも使えるものだと競争が激化していく。
そう思ったんですよ。
筆者:なるほど。確かにそうだね。
けんすう:コンテンツの流通というのは、FacebookとかTwitterとかなんだけど、ここを押さえると一番儲かる。ただし既にレッドオーシャン状態。そして、流通部分がよく変化があるので、流通加工はそれについていかないといけないというのが現状かな。
筆者:国内で言えばスマートニュースやGunosyが出現してこの流通箇所を取ろうとしている現象だよね。昔でいうところの新聞の制作、印刷(コンテンツ製造)ではなく、配達(コンテンツ流通)を押さえる方法だ。コンビニとか他の業界でも同じだよね。NewsPicksは流通から入って製造に手を出してるイメージかな。
けんすう:で、僕らはですね、元ネタからしっかりと抑えたいなと。
ーーというメッセージの後に紹介されたのが今月に入ってオープンしたこのアンサー劇場だ。
アンサーはnanapiが提供している即レスコミュニティで、簡単に言えばスマートフォンに最適化された掲示板だ。元々はQ&Aから始まったが、徐々に時間を持て余す人たちのコミュニケーションの場所として役割を変え、昨年8月に即レスコミュニティへとコンセプトを変更した。

アンサー劇場はそのいわゆる「まとめ」になる。古川氏がチャットで言及していたことをまとめると「2chと2chまとめを独占した状態がコンテンツ製造側として最も強い」、ということになろうか。
アンサー劇場のことを2chまとめみたいだ!と紹介するのは簡単かもしれない。しかし、こうやって彼の思考を分解してみると、メディア作りに対して色々なヒントも見えてくる。
特にキュレーション時のコンテンツ2次利用については著作権の問題などのトラブルも頻繁に目にする。引用とキュレーションの境目はグレーが多いが、元ネタも自社のものであればそういう課題に引っかかることは少ない。
ちなみにビジネスモデルや収益性について尋ねたが「お金関連は難しいね」とだけコメントしてくれている。
今日時点で最終更新日が6月4日となっているので少々不安も残るが、この先アンサー劇場がどのように進化するのか、彼が投げ続ける次の変化球を興味深く待つとしたい。
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