台湾のAppWorks(之初創投)が第10期のデモデイを開催、ピッチしたチームのうち約半数をIoTが占める

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台湾最大のスタートアップ・アクセラレータ AppWorks(之初創投)は17日、第10回のデモデイを開催し、インターネット・エコシステムの新しいバッチを披露した。合計1,200人が21チームのピッチを観覧するために参加、約半数のチームはソフトウェアとハードウェアを融合したサービスを開発しており、今回のイベントは、台湾のソフトウエア・ハードウェア産業がイノベーションの方向性を示す形となった。

AppWorks の共同創業者である Jamie Lin(林之晨)氏はデモデイの開演にあたり参加者について触れ、聴衆の9割がデモデイに初参加で、これはインターネット技術産業が大きな影響を与え、さまざまな人がつながり始めた結果だと述べた。

多くの産業がイノベーションを声高に叫んでいる。Bank 3.0、スマートシティ、モバイルなど、これらを陰で支えているのはインターネットだ。台湾は現在、最悪の時代を経験している。インターネット産業が共に一つにならず、従来からの産業を革新させるレベルにまで達していないからだ。AppWorks の目標は、全力でそのようなことを可能にすることだ。

先人たちよ、若い人々にチャンスを与えよ。

Lin 氏は、台湾の産業が発展していない理由として、3つの理由を挙げた。人の不足、機会の不足だ。従来産業の巨人の手に、これらのリソースが過度に集中しており、若い人たちの成長を阻害しているというのだ。しかし、先代の人たちは既にそのようなリソースにアクセスできているため、次世代の発展のことを気にしない。先人たちは、台湾の次の世代の人々が、以前よりも困難に直面していることを心配していないのだ。

台湾の現在の高等教育は、ソフトウェア人材の輩出に不足をもたらしており、主要産業の需要に適合していない。さらに、従来からの産業は若い人々に機会を与えていない。Alibaba(阿里巴巴)は、社会人6〜7年の若い人たちに仕事を渡しているのに、台湾は若い人たちに、新会社を作る機会にアクセスさせたがらない。でも、最終的には、若い人たちには信用が不足していて、財務を運用する資本家はそれを支援すべき、ということだ。

私はここでそれを訴えたい。もし、台湾の発展を牽引したいなら、どうか若い人たちに手を差し伸べてほしい。

AppWorks の生み出したスタートアップの営業売上は総額約290億円に

台湾の若い世代が野心を失っているのを垣間見て、AppWorks は科学技術の新しいエコシステムを作るべく、総合的なイノベーションの力を注いできた。インターネット・サービスを始めようとするソフトウェアやハードウェア会社が居れば、それを協力・支援しようというのが AppWorks の目標だ。今年初めに設立した2つめのベンチャーファンドは、Eコマース、ネットワーク産業のシードスタートアップに資金を提供するのに加え、台湾の IoT スタートアップの起業を促すべく、AppWorks 共同創業者でリーダーの詹益鑑(英語名通称:Dr. IC)氏がオープンした AppWorks IoT Space は、ラボ機能、オワーキング・スペース、投資家、起業家、サムライチェーンの交流プラットフォームを提供する。

このような努力が楽観的な結果を見せている中、Jamie Lin 氏は次のようにコメントした。

AppWorks のデータによれば、AppWorks のアクセラレータ・プログラムはこれまでに226のスタートアップ・チームを輩出しており、創造した営巣総額は 73.3 ニュー台湾ドル(約290億円)、雇用は2194人以上に上る。この数字は営業売上ベースで昨年の385%、雇用人数ベースで昨年の151%に上り、台湾の経済発展や産業のモデルチェンジに貢献している。

台湾の視線は現在、中国の広大な市場に向いているが、そこにはアドバンテージは無い。むしろ、アングルを東南アジアに向けることで、そこには6億人の人々が居て、スマートフォンを持っている人だけ見ても1億人の人々がいる。したがって、今後30年間の台湾は、東南アジアのパワーハウスになることで、ビジネス機会が得られるだろう。

現在では、AppWorks を卒業したチームの多くが台湾を離れ、東南アジアの市場に事業展開しており、例えば、EZTABLE はタイ市場に参入、AppWorks Fund(本誠基金)からの出資を獲得した UITOX は東南アジアで経営に尽力、欧米の越境コマース・東南アジア横断の O2O シェアドライビング・サービス DingTaxi(叮叮包車)は増資を完了するなど、よい結果を出し始めている。

ハードウェアとソフトウェアを融合させたサービスが約半数を占め、日常の不便を解決しようとするソリューションが多い。

第10回を数える AppWorks の今回のバッチには27チーム、82人の起業家が参加しているが、うち21チームがこの日のデモデイに登壇した。台湾の科学技術の大企業出身の起業家も多く、彼らのプロダクトはソフトウェアとハードウェアの融合したものであり、概ね半数のチームが IoT に特化している、という結果になった。

今日のチームは、生活の中で未解決の不便を見つけ、創業のアイデアを考え、大掛かりなデモを次々に披露した。その中でも、有名店で並ばなければならない問題を解決する「WAITABLE(排一下)」、食の安全を提供する「Formosa Fresh(寶島農業合作社)」、アジア人女性の体型にあわせたウェディングドレスをデザインする「東京婚礼」は、専門的な分野の不便を解決しようとした事例だ。以下に、TechOrange では今日のデモデイで披露された興味深いチームのサービスを紹介する(登壇順に紹介)。

クラウド翻訳「WritePath」

WritePath は、クラウド翻訳ユーザとマシンラーニングを掛け合わせた翻訳プラットフォームだ。10万人のフリーランサーが居て、35ヶ国語が取扱可能。財務金融、科学技術、ビジネスの翻訳を処理する。人が翻訳を繰り返すことで、バックエンドのマシン・ラーニング・エンジンにデータが蓄積される。これまでに200万字を翻訳しており、420億ドルの市場規模がある。

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出産育児支援プラットフォーム「Iaunty(愛月嫂)」

子供が生まれた後に必要となるコスト、労力、時間を省くために、CEO の Jack は「Iaunty」プラットフォームを設立した。妊婦や新生児のケアを考慮し、産後1ヶ月間通院しなくても、自宅で養生できる環境を提供する。O2O により助産婦や育児ヘルパーを紹介、全世界の8つの国で華人の助産婦・育児ヘルパー派遣のサービスを展開。現在、プラットフォーム上には90人の助産婦・育児ヘルパーが居て、全員が3年以上の職務経験を有し、専門課程の訓練を受けている。

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スマートぬいぐるみ「MooreDoll(摩豆創意科技)」

Foxconn 出身の CEO 郭柳宗氏は、子供向けのスマートぬいぐるみ「MooreDoll」を作ることを決めた。熊のぬいぐるみを通じて、子供たちは家族や友人たちとおしゃべりができる。チームは既に IoT モジュール、iOS と Android アプリを開発している。ぬいぐるみは、会話、付き添いに加え、教育のよきパートナーとしての機能も備えている。

NoaCare

Noa チームが披露したエレガントなデザインのスマート飲水器「Pura」は、ペットの猫の飲水習慣をトラッキングし、スマートフォンアプリでモニタ、クラウドとシンクロさせ猫の健康状態を分析できる。飼い主は健康状態を把握し、飲水の不足が招く猫の腎不全を予防し、高額な医療費用を回避することができる。

IIOT(愛物連)

商用 Wi-Fi を用いて、O2O ソリューションと CRM を提供するアイデア「IIOT」。従来からある店舗をスマートストアフロントに変貌させ、顧客サービスの最適化、顧客獲得、マーケティングの問題を解決する。IP Camera と Wi-Fi ホットスポットで構成され、クラウドプラットフォーム上でデータを分析管理、顧客がショッピングバッグを持っている率や販売状態のよいエリアを映像から分析し、より精緻なマーケティングにつなげる。

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Aeroprobing(多軸旋機部件開発会社)

Aeroprobing は、小さな男のが抱くパイロットとF1レースの夢を一つにした、軽量なコンテスト向け無人飛行機を発表。無人機は10億ドル市場と言われ、コンテスト向け無人機の市場を開拓し、誰もがレースのスリル感を体験できるようにする。

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Dessert365(找甜甜網)

Dessert365」は、隠れた手作り菓子が予約出来るアプリ。有名菓子メーカーや独立企業との提携により、消費者は家にいながらオンラインで、日を指定する形で、宅配または店舗でのピックアップを予約できる。

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Formosa Fresh(寶島農業合作社)

安全な野菜・果物の供給のために、Formosa Fresh は新鮮な野菜や果物のEコマース・プラットフォーム。第三者による検品とフード・トレーサビリティを提供し、収穫から最短6時間でフレッシュな野菜や果物を消費者の手元に届ける。環境にやさしい農業を営む農家のビジネスや販路開拓を支援する側面を持つ。

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FLUX

昨年、FLUX のチームは Kickstarter 上で164万ドルを集め、これは台湾のクラウドファンディング史上で最大の金額となった。FLUX は素晴らしい3Dプリンティング・プラットフォームを開発しており、ユーザはアプリを使って、簡単に記事を操作できたり、ハードウェア・デザインにおいてノズルを変えたり、レーザー切断したり、3D スキャンしたりできるなどなど多機能を併せ持つ。その他、デザイナーが互いに自分の作品をシェアできるプラットフォームも立ち上げており、3Dプリンティングの応用範囲を広げようとしている。

Linqapp

Linqapp は異言語間のコミュニケーション・プラットフォームで、ユーザは言葉に関する質問をタイプしたり、写真撮影したり、録音したりしてアップロード、Linqapp コミュニティから即座に回答を受け取ることができる。中国語のみならず、多数の言語をサポート。将来的には、異言語間の翻訳サービスや、正確かつ即時通訳サービスを提供することを計画している。

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全体を通して、今日行われたデモはすべてがハイライトであったが、最も重要なのは、やはり、スタートアップがユーザのニーズを捉え、その解決方法を導きだせていたかどうかだ。多くのスタートアップはドラマティックな演出方法を理解していて、「愛月嫂」の CEO が最後に、突然「努力生吧!」と叫んだのは、集まった人々に大きな印象を与えた。冗談はさており、本日の AppWorks デモデイでは、台湾の科学技術産業の将来に向けた、多くの希望に出会うことができた。

【原文】

【via TechOrange】 @TechOrange