Echelon Asia Summit 2015: オンライン質屋サービス「PawnHero」が審査員賞、上海発の大学入学支援サービス「ChaseFuture」が聴衆賞を獲得 #ECAsia2015

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本稿は、Echelon Asia Summit 2015 の取材の一部である。

6月23日〜24日の2日間にわたり、シンガポールのテックニュース・ブログ e27 が開催する年次のスタートアップ・イベント「Echelon Asia Summit 2015」が開催された。アジア14地域の予選で選ばれたスタートアップがピッチで凌ぎを削る「Top 100」で、フィリピンのオンライン質屋サービス「PawnHero.ph」が審査員賞(Judges’ Award)、上海に拠点を置くオンラインの大学入学支援サービス「ChaseFuture」が聴衆賞(People’s Choice Award)を獲得した。

「Top 100」の最終戦では、スタートアップ10チームが登壇した。このピッチ最終戦の審査員は、次の方々が務めた。

  • グローバル・ブレイン・シンガポール 代表 鈴木尚氏
  • グリーベンチャーズ プリンシパル Kuan Hsu 氏
  • 楽天ベンチャーズ マネージング・パートナー Sae Min Ahn 氏
  • Kickstart Ventures 社長 Minette Navarrete 氏
  • 500 Startups マネージング・パートナー Khailee Ng 氏

審査員賞:PawnHero(フィリピン)

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一般的な質屋は月利6%〜10%と高利で、質草も宝石などに限られる。これに対し、PawnHero はモバイルを使った質屋サービスだ。ユーザは質入れしたい商品をスマホで撮影し見積を取得、宅配便でセンターに送ると商品が評価され、現金を手にすることができる。

質草の評価はセンターに集約されているため、利回りも低く宝石以外にも様々な商品が取扱可能だ。ユーザには、ATM で現金が引き出せたり、公共料金の支払、オンラインショッピング、モバイル通話料のトップアップ、他者に送金ができたりするカードが発給される。4月末にフィリピンでローンチしており、7月にはベトナムでもローンチ予定。

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聴衆賞:ChaseFuture(中国)

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ChaseFuture は、留学生向けの大学入学支援サービス。各大学の受験のプロセスに詳しい人と、留学を希望する学生をマッチングさせる。有料で、エキスパートと学生の 1-to-1 メンタリングを提供。これまでに120万ドルを売り上げており、有料会員は1,500人。毎月1,000万人のユニークビジターが居て、120カ国にリーチ。ソーシャルメディアには20万人のファンがいる。

欧米の有名大学にユーザを入学させる上では実績を上げており、98.7% のユーザは満足しているとの回答が得られている。大学との連携により、大学の教授や講師によるウェビナーもユーザ向けに提供している。現在、シリーズAラウンドで500万ドルを調達中。

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BrainTree_PayPal 賞:ChaseFuture(フィリピン)

副賞:PayPal のトランザクション無料利用権。

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同上のため省略。

グローバル・ブレイン賞:MyRealTrip(韓国)

副賞:Global Brain Alliance Forum 2015 への無料招待。

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MyRealTrip は、旅行者を訪問先の地元のガイドや詳しい人と結びつけるサービス。代理店などを通さず、フルタイムや副業でツアーガイドをやっているとをつなぐ。2015年5月の第1週には750件の予約があった。

2012年7月、韓国から海外へ旅行するユーザを対象にスタート。2015年3月に、海外から韓国へ来る旅行者を対象にもサービスを拡大、2015年7月には新しいサービスをローンチ予定。

現在の社員数は17名。これまでに140万ドルを調達している。

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以下は、入賞はならなかったもののファイナリストに残ったスタートアップの顔ぶれだ。

Nanu(シンガポール)

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2G でも通話が可能な VoIP アプリ。通常、Skype や Viber などは Wi-Fi もしくは、3G か 4G が無いと通話が難しい。一方、東南アジアの多くの国では 2G の地域や、3G であってもネットワークが混雑していて、従来からある VoIP アプリが使えないケースがある。このような地域でも通話できるようにしたのが Nanu である。

アドウォールからの広告売上でマネタイズし、ユーザには無料で提供される。このほか、ユーザの位置情報を元にしたターゲティング広告、発信地域から着信地域を意識したターゲティング広告などを提供する。2014年8月にローンチし、これまでのダウンロード件数は230万件。Android と iOS で利用可能で、主にインドネシアやフィリピンなど、モバイルデータ通信が必ずしも高速ではない地域を対象としている。

FlowAccount(タイ)

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欧米企業で開発された会計ソフトの多くは、タイ国内の企業向けにはローカライズされていない。会計手続は国によって異なるのにだ。一方で、会計専任の人員を雇用するのはコストもかかる。

FlowAccount は、タイに300万社あるという(ちなみに日本は380万社)中小企業向けのクラウド会計システムで、可能な限り煩雑な業務を自動化する。銀行決済との連携、税金支払との連携、キャッシュフロー計算との連携など。今年の第3四半期にリリースされるプレミアム版は年利用料100ドルで、経費連携、P/Lのレポーティング、クラウドストレージ機能などをサポートする予定。

EcoSocket(カザフスタン)

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EcoSocket は、電源コンセントと家電の間にデバイスを装着、モバイルアプリと連携し、遠隔でスイッチのオンオフが制御できるほか、使用している電力量、想定される電力料金がアプリ上に表示される。OpenAPI を出すことで、他の競合サービスとも連携を想定。B2B の需要にフォーカスしている。

2015年8月〜9月に出荷を予定しており、これまでに100件以上のプリオーダーが集まっている。ハードウェアでの差別化は難しいため、特にソフトウェアの機能を強化したいとしている。

SellInAll(シンガポール)

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SEllInAll は、複数のEコマース・プラットフォームに一括出品でき、在庫を一元管理できるマルチチャネルeコマースソフトウェア。eBay、Facebook、Pinterest、Shopify などと連携する。各種マーケットプレース、ソーシャルネットワーク、ショッピングカート提供会社などとの提携を模索。

SellInAll は、eBay のシンガポール拠点で十年以上にわたり勤務してきたエンジニアらによって設立された。

WOVN.io(日本)

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WOVN.io は、ウェブサイトやブログの多言語化をサポートするサービス。世界のインターネットユーザの90%は英語以外の言葉を母国語としており、ウェブサイトをローカライズすることで、大きな商機が生まれる。現在27ヶ国語をサポートしており、無料利用からエンタープライズ向けまで料金体系も充実。

世界には現在、10億件のインターネットドメインがあり、企業サイト、ブログ、Eコマースサイトまで、さまざまなウェブサイトの翻訳やローカライズに貢献したいとしている。

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AirShr (オーストラリア)

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ラジオは有用なメディアだが、インターネットを始めとする各種のニューメディアと競い合うことになっている。一方で、自動車でドライブ中に運転している人が情報を取り入れやすいのラジオだ。リスナーはラジオで聞いたことを忘れにくい、という統計結果もある。

AirShr はハードウェア・デバイスを提供し、ラジオで気になる情報を耳にしたら、運転しながらであっても、このデバイスのボタンを押し下げるだけで、安全な状態で、情報を保存したり、商品を購入したり、アンケートに投票したりできる。6月15日にローンチし、現在8万人のユーザがいる。デバイスが押し下げられることで、リスナーがどこで聞いているか、どのような人が聞いているかなどのマーケティング情報をラジオ局にフィードバックできる。

都市部のラジオ局からは月に1.5万ドル、地方局からは月に5,000ドルを徴収しマネタイズ。ラジオに広告を出稿するスポンサーにとっては、例えば、ドライバーがラジオで聞いたハンバーガーチェーンの CM に応じて AirShr を押し下げ割引クーポンを獲得、そのままハンバーガーチェーンのドライブスルーに直行する、というようなユースケースが考えられる。現在、100万ドルを資金調達中。

Wiindi(ベトナム)

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Winndi は、eコマース・ショップと連携するソーシャル・ディスカバリー・プラットフォーム。商品を探しながら、自分だけのウィッシュリストが作成できる。現在、30店舗が参加しており、うち14店舗が有料のパートナー。毎週20%ずつ増加中。店舗には、Winndi を経由した商品購買に対し1〜3%の手数料をチャージ、アフィリエイト手数料とあわせてマネタイズする。

2015年中に300店舗、ユーザ10万人の獲得を目指す。ベトナムはEコマースによる購入度合いが高く、モバイル利用率もこの一年で57%増加しており、この分野の成長可能性が高い。現在、40万ドルを資金調達中だ。


このほか、シンガポール総理府参加の National Research Foundation(シンガポール国立研究財団)からは、9月21日〜22日に Marina Bay Sands で開催されるイベント「TechVentures 2015」へのブース出展権が、次の9社のスタートアップに進呈された。

  1. Smipter
  2. Adcoin
  3. PawnHero
  4. Jewel Paymentech
  5. FlowAccount
  6. Replicon
  7. Globetrekker Challenge
  8. Sustainable Alternative Lighting
  9. Gentay Communications

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