
Image Credit: Newzoo
分析企業Newzooが近々発表する2015 Global Games Market Reportによると、今年、中国は世界最大のゲーム市場になるという。
同社の予測によると、今年の中国の売上高は222億米ドル、これに対し米国は220億米ドルとなる。今後3年でこの差はますます拡大し、最終的に中国は328億米ドルに、安定的な米国は241億米ドルになると、NewzooのPeter Warman社長は述べている。

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中国、メインストリーム媒体の流行を牽引するか
この変化は、各種類のゲーム媒体が世界市場においてそれぞれ占める割合を大きくシフトさせると同氏は語った。
中国のモバイル市場はいまだ爆発的に成長しているため、これにより全体の市場に占める「エンターテイメント媒体」(主としてコンソールゲーム)の割合を2018年までに24%まで引き下げてしまうという。 これに対し米国では今後も45%を維持する見込みだ。
「2012年にScreen Segmentation(媒体別市場占有率)のレポートを行った時の私たちは、消費者の生活にとってこれら4種類の主要媒体が全て等しく重要なら、彼らはこの4媒体それぞれに等しく時間とお金を費やすだろうと考えていました」とWarman氏は語る。「状況は当時の予想通りに動いています。ただ、今までの生活習慣が変化を妨げているだけです。」
「例えば、中国では住居が狭いことやコンソールゲーム市場がないこともあり、テレビでゲームをするという文化背景がありません。一方西洋、特に米国ではコンソールゲームが長い間市場を席巻しており、ボックス版や先行プレミアム版などがいまだ順調に発売されている唯一のプラットフォームとなっています。」

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プレイヤーの需要に変化、MOD文化の流行
Warman氏は今やゲームを数あるサービスの1つとして提供するのが主流であり、現状のコンソールゲームトレンドは変化していくだろうと語った。氏は、もしコンソールゲームプレイヤーが今の閉鎖的で時代遅れな小売契約システムに縛られ続けられたままであるなら、市場の純デジタルモデルへの移行は遅くなると懸念し、「この状況はNvidiaのShield、AmazonのFire TVやValveの『Steambox』などにとっては競争のチャンスにもなります」と語った。
アメリカのゲーム市場は次第にデジタルに移行している。これにはボックス版ゲームソフト以外のほぼ全て、すなわちモバイル、ソーシャル/カジュアル、デジタルダウンロード、ゲーム内課金やサブスクリプション課金が含まれる。
今年、99億米ドルという米国のコンソールゲーム市場の49%はデジタル販売由来のものになるだろうとWarman氏は述べた。同国における42億米ドルのPC及び大規模多人数同時参加型の収入の83%はオンラインからになる見込みだ。
両者を合わせると、米国においては72%がデジタルである。これに対し中国は97%(世界全体だと78%、709億米ドル)である。
デジタルが販売の大半を占めている中、プレイヤーはますますお気に入りのゲームのデジタル用コンテンツを制作し、改造してほしいというMOD需要が増えているとWarman氏は述べた。
「今後数年で成功するゲーム企業とは、多種多様で常識をくつがえすような消費者主導のトレンドを理解し、ゲーム、サービス、ビジネスモデルにしっかり取り入れていくことのできる企業でしょう」と彼は述べた。
Newzooは、eスポーツもまたゲーム売上げの全体にますます影響を及ぼすとみている。これはハードウェア、デジタルメディア、イベント、物販収入を合わせ、5年以内に2000億米ドルの大台にゲーム業界を押し上げることにつながるだろう。

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バーチャルリアリティが優位になるとは限らない
「エンターテイメント媒体」にはバーチャルリアリティのヘッドセットも含まれるという点は重要である。しかし、2018年までにこれが市場で大きな進歩をもたらすとはみていないとWarman氏。
「バーチャルリアリティ関連製品の短期的な売上げを実態よりも大きく見積もるのは簡単なことです」と彼は言う。「Facebookやその他大手はこの分野にかなり長期間投資してきています。AR(拡張現実)が大衆に受け入れられるのは次の世代になるかもしれませんが、画面に対して働きかけることからARに移行していく変化を見逃すわけにはいかないのです。」
短期的には潜在市場規模は限定的で、立ち上がったとしても、恐らくPCやコンソールゲーム市場の売上げとのカニバリゼーションになるでしょうとWarman氏は述べる。2018年までにVRはエンターテイメント媒体市場の売上げの10%(約30億米ドル)程度になるとNewzooは予想しており、イギリスのアナリストKZeroの見積もりと合っている。
バーチャルリアリティやApple Watchなどのスマートガジェットは、どちらも新しい市場を創るわけではないとWarman氏は言う。(Newzooは、両者を電話も含む「パーソナルスクリーン」市場セグメントで一まとめにしている)
「両者とも主に、ゲームを趣味としている普及価格帯のゲームマニアに浸透すると思います」と彼は言う。「スマートフォンやタブレットは新たにゲームをする時間と場所を生み出しましたが、スマートウォッチとバーチャルリアリティは違います。両者とも成功するでしょうし、ハードウェアの売上げはかなり増えることになるでしょう。しかし実際のところ、新たなゲームの売上げはどれだけもたらされるでしょうか?」

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コンピュータはいまだに荒稼ぎ
今後も変わらないのはPCゲームの売上げが市場全体に与える影響度であるとNewzooレポートは報告する。「コンピュータ媒体」セグメントは2018年までに市場の36%(412億米ドル)を占める見通しである。この間の年成長率は約7%と健全な数値であり、これはゲーム産業全体の成長率とほぼ同じである。
市場は主にPCが牽引しており、特にPC上のマルチプレイヤーゲームが圧倒的な牽引者であるとレポートは報告する。(マルチプレイヤーゲームには、League of LegendsなどのMOBA(Multiplayer Online Battle Arena)とWorld of WarcraftなどのMMOロールプレイングゲームなどがある)
スマートフォンと時計を含む個人向けスクリーンは伸びており、2018年には市場シェアで27%、金額ベースで302億米ドルに到達する見込みである。最後のカテゴリ、フローティング媒体は、タブレットやNintendo 3DSとPlayStation Vitaなどのハンドヘルドデバイスが含まれる。
そのカテゴリでは、2018年までにハンドヘルド関連の販売は22%以上減少、タブレット関連の販売は17%伸びることが見込まれており、全体のトレンドとしては横ばいの見通しである。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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